社宅にかかる仕入税額控除について ~ インボイス制度 消費税[690]

消費税の記事を掲載します
住宅所有者から社宅などを会社が借り上げる場合、その借上料および借上住宅を従業員に貸し付ける場合の使用料は非課税です。関連する仕入税額控除の取り扱いは?
を紹介します。
たとえば
Q:
社宅や従業員寮の使用料は住宅家賃として非課税になります。一方、社宅や従業員寮の取得費、借上料や維持に要する費用に係る仕入税額控除の取扱いはどのようになりますか?
A:
住宅家賃については非課税です
社宅や従業員寮も住宅に該当します。その住宅家賃は非課税です。
また、その建物が住宅用であれば、他の者に転貸するために借り受ける場合の家賃およびこれを他の者に転貸した場合の家賃ともに住宅家賃に該当します。
すなわち
会社が住宅の所有者から従業員の社宅または従業員寮用に借り上げる場合の借上料および借り上げた住宅または従業員寮を従業員に貸し付ける場合の使用料ともに非課税となる住宅家賃に該当します。
社宅や従業員寮の取得費、借上料または維持に要する費用に係る仕入税額控除の取扱いについて
次のような取り扱いになります。
1 事業者(自己)が取得した社宅や従業員寮の取得費
使用料を徴収する社宅や従業員寮は、居住用賃貸建物に該当します。事業者が、国内において行う社宅や従業員寮の取得に係る課税仕入れ等の税額については、仕入税額控除の対象となりません。
なお、従業員から使用料を徴収せず、無償で貸し付けることがその取得の時点で客観的に明らかな社宅や従業員寮は居住用賃貸建物に該当しないことから、その取得費は仕入税額控除の対象となります。
この場合の個別対応方式による課税仕入れ等の区分は、原則として課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに該当します。
2 他の者から借り上げている社宅や従業員寮の借上料(借上社宅)
従業員に転貸するために借り受ける場合の家賃も住宅家賃として非課税になります。課税仕入れには該当しません。
したがって、仕入税額控除の対象となりません。
3 社宅や従業員寮の維持費の取り扱い
自己が取得したものか他の者から借りているものかを問わず、その修繕費用、備品購入費用などは仕入税額控除の対象となります。
この場合の個別対応方式による課税仕入れ等の区分は
A:従業員から使用料を徴収する場合は、その他の資産の譲渡等にのみ要するものに該当します。
B:従業員から使用料を徴収せず、無償で貸し付けている場合は、原則として課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに該当します。
仕入税額控除の対象とならないもの
その費用が居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等に該当する資本的支出となるもの、管理人の給与、固定資産税など不課税となるもの、非課税取引に該当するものは、仕入税額控除の対象になりません。
<参考>
居住用賃貸建物とは
→ 住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物(その附属設備を含みます。)以外の建物であって、高額特定資産または調整対象自己建設高額資産に該当するものをいいます。
高額特定資産とは
→ 一の取引の単位につき、課税仕入れに係る支払対価の額(税抜き)が1,000万円以上の棚卸資産または調整対象固定資産をいいます。
調整対象固定資産とは
→ 棚卸資産以外の資産で、建物、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で消費税等を除いた税抜価格が100万円以上のものをいいます。
(出所:国税庁 消費税 質疑応答事例)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
芒種の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
クライアントに提案したいのは節税ではなく、より良い人生です。
[編集後記]
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