会社から役員へ資産の「贈与」について適正な時価を計上しましたか? ~ インボイス制度 消費税[691]

消費税の記事を掲載します
消費税にかんする法人の役員に対する贈与の取扱い
を紹介します。
消費税は、原則として課税資産の譲渡等の対価の額が課税標準となります
例外として、対価を得ない取引に対して、対価を得て行う資産の譲渡とみなして課税される場合(みなし譲渡)と一定の取引でその対価の額が時価に比べて著しく低い場合には、その時価を対価の額とみなして課税されます。
法人が資産をその役員に対して贈与した場合
その資産を贈与した時のその資産の価額、すなわち時価に相当する金額を課税標準として消費税が課税されます。
ただし、棚卸資産を贈与した場合において、その棚卸資産の仕入価額以上の金額、かつ、通常他に販売する価額のおおむね50パーセントに相当する金額以上の金額を対価の額として確定申告したときはその取扱いが認められます。
次のポイントにも気をつけます
1 消費税は原則として時価による認定は行いません。実際の譲渡対価をもとに税額計算を行うものです。しかし、法人の役員に対する資産の譲渡についてだけは、このような例外があります。
2 税務判断に当たっては、消費税だけでなく、所得税や法人税の取り扱いも考慮した上で最終決定する必要があります。
3 法人が資産を役員に贈与したらそこで課税するというルールです。しかし、役員に対して無償での資産の貸付け、役務の提供について、このルール(みなし譲渡)は適用されません。
<参考>
消費税法第4条
(課税の対象)
「5 次に掲げる行為は、事業として対価を得て行われた資産の譲渡とみなす。
一 (省略)
二 法人が資産をその役員(法人税法第2条第15号に規定する役員をいう。)に対して贈与した場合における当該贈与」
消費税法基本通達10-1-1
(譲渡等の対価の額)
「法第28条第1項本文《課税標準》に規定する「課税資産の譲渡等の対価の額」とは、課税資産の譲渡等に係る対価につき、対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他の経済的利益の額をいい、消費税額等を含まないのであるが、この場合の「収受すべき」とは、別に定めるものを除き、その課税資産の譲渡等を行った場合の当該課税資産等の価額をいうのではなく、その譲渡等に係る当事者間で授受することとした対価の額をいうのであるから留意する。
(注) 同条第1項ただし書又は第3項《資産のみなし譲渡》の規定により、法人が役員に対して著しく低い価額で資産の譲渡若しくは贈与を行った場合又は個人事業者が棚卸資産又は棚卸資産以外の資産で事業の用に供していたものを家事のために消費若しくは使用した場合には、当該譲渡等の時におけるその資産の価額により譲渡があったものとされる。」
消費税法基本通達5-3-5
(役員に対する無償譲渡等)
「法第4条第5項第2号《役員に対するみなし譲渡》又は第28条第1項ただし書《課税標準》の規定により、法人がその役員に対し、資産を無償で譲渡した場合又は資産の譲渡の時における当該資産の価額に比し著しく低い対価の額で譲渡した場合には、当該譲渡の時における価額に相当する金額がその対価の額とされるのであるが、法人がその役員に対し無償で行った資産の貸付け又は役務の提供については、これらの規定が適用されないことに留意する。」
(出所:国税庁 消費税 タックスアンサー)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
芒種の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
クライアントに提案したいのは節税ではなく、より良い人生です。
[編集後記]
ブログは、曜日によりテーマを決めて書いております。
月曜日~木曜日に、おもに消費税の記事を書いております。
金曜日は公益信託の記事を掲載しております。
土・日・祝日は、ブログをお休みしております。
・「贈与や相続・譲渡など資産税」または「確定申告などの所得税」
・「公益信託」
免責
ブログ記事の内容は、投稿時点での税法その他の法令に基づき記載しています。
また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。
本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。