「公益信託制度の施行準備に関する研究会」の公益信託認可ガイドライン案の「公益事務該当性の判断」の検討について ~ 公益信託[42]

公益信託の記事を掲載します。
第6回の研究会では「第2章公益事務該当性の判断」についての各委員から意見が出ています
を紹介します。
公益信託認可ガイドラインガイドラインは令和7年12月の策定予定です。
「第2章公益事務該当性の判断」についての各委員からの意見は次のとおりです
① DAF(ドナー・アドバイスド・ファンド)との関係など
説明資料P13に関して、「求められる」という言葉などをはじめとして、その記載は法的な義務なのか、そうではない推奨事項なのかを明記するようにしてほしい。認可申請書に書いたがすぐには実施しない事業に関しては、DAFとの関係もあると思う。
アメリカのDAFでは資産を出した後、相当先に実施することにドナーのアドバイスがある。事業実施時期の裁量権を、誰が、いつ、どのように設定するかという点でDAFの議論が出てくる。
もう一点、残余公益信託に関して、当初は所持している財産のうち100万だけ用いて細々と事業を実施することとして、10年後に残っている財産全てを拠出するなど、事業を区切る形はありうる。
② 受益対象者の明確化と受益者への義務の能否
「受益対象者」という言葉に広がりがあるため、明確にした方がいい。公益信託では、広義の受益者は美術館が信託財産の場合の来館者などだろうが、奨学金などの場合には、助成先の者に義務を課す、例えば「奨学金を与える分ちゃんと勉強せよ」などの義務を課すことは可能なのか気になった。もう一点は、寄附の位置づけが信託行為によるものなのか否かも明確にした方がいいと感じた。
③ 公益事務の内容について
現行の法令上、残余や指図の方向性に関して自由度はあると理解した。そうなると、公益信託開始後10 年間は資産運用だけを行って資産を増やしてください、10 年後から助成事業をしてくださいという公益信託も、法令的には禁止されていないと読めるがどうなのだろうか。
④ 合議制機関の設置について
合議制機関の書きぶりに関して、資料「03」P17では、合議制機関が基本的に必要であるというトーンで記載されている。一方、他の章では合議制機関は必要なときに有効な手段の一つとして書かれており、比較して前者の書きぶりが強く感じられた。
⑤ 合議制機関を求めることに関して公益信託制度全体で整理が必要
合議制機関を必置的なものにする議論があるのではないか。信託管理人を3人にするという記載もある。本来、公益信託は公益法人と異なり理事会がないことで軽量軽装備をアピールできるはずが、機関設置を求める方向になってしまっていないか。
それぞれの論点で、合議制機関を含めどういった要素が必要かを検討しているのは真摯だが、公益信託全体としてどういった類型があるのかを考えたほうが、利用者目線での分かりやすさに繋がると思う。
合議制機関を信託の中に入れることはこれまでもあまり議論されていないのではないか。既存の信託銀行が受託者である公益信託において、合議制機関が慣習的に設置されてきたことは理解するが、合議制機関を求めることに関して各公益信託個別での要否でなく公益信託制度全体で整理が必要であると思う。
この問題は公益信託において基礎的な問題になると考える。勿論、一般的な合議制機関を否定しているわけではないため、個別議論でなく法人・個人などの類型に応じて全体像を整理することが必要という意図である。
⑥ 合議制機関が必要な場合とは
合議制機関の話が出たが、専門的な能力が必要な時に合議制機関を設けるのか、それ以外のパターンでも合議制機関が必要なのかということも論点である。当面は専門性を要するときに必要だと理解している。
専門性とは、例えば公益信託における「運用」の場合、信託銀行のような団体の場合は団体内に専門性を有する合議的な部門があるパターン、個人の受託者について複数人の受託者の中に専門性を有する人が1人は含まれるパターン、外部の専門家に当該業務を委託するパターンの計3パターンがありうるところで、受託者が必要な体制を判断することになるのだろう。
⑦ 預貯金以外はすべて合議制機関が必要だというのは過度な規制
安全資産に関して、預貯金は安全だとして、投資信託は安全ではないのだろうか。個人が投資信託で運用を行っていることも多く、安全でないと言ってしまうと言い過ぎではないか。預貯金以外はすべて合議制機関が必要だ、というのは過度な規制である。
また、委託者の意向として安全な運用ではなくリスクがある運用を求める場合もあるのではないか。リスクの取り方の考え方について、資産運用だけでなく公益信託事務に関してもリスクのある事務を行えるかという点を含めて悩ましい点であると考える。
⑧ 運用に特化した整理をした方が良いのではないか?
資料「04」P6に、株式等による資産の運用について記載されているが、運用の場合求められる専門性や考えられるリスクが特殊であるため、運用に特化した整理をした方が良いのではないか。
専門性の3パターンの話が非常に勉強になると感じたため、運用の種類とそれを実施する受託者のパターンに応じて運用の難易度や適する人選があるのだろう。一定の専門性を確保する手段として、どういったことが可能なのか特化して議論すべきと考える。
(出所:第6回会議関係資料 内閣府公益法人行政担当室)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
処暑の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
クライアントに提案したいのは節税ではなく、より良い人生です。
[編集後記]
消費税の記事はお休みしました。
ブログは、曜日によりテーマを決めて書いております。
月曜日~木曜日に、おもに消費税の記事を書いております。
金曜日は公益信託の記事を掲載しております。
土・日・祝日は、ブログをお休みしております。
・「贈与や相続・譲渡など資産税」または「確定申告などの所得税」
・「公益信託」
免責
ブログ記事の内容は、投稿時点での税法その他の法令に基づき記載しています。
また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。
本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。