新しい公益信託制度の「信託管理人報酬のルールと実務ポイントを整理」 ~ 公益信託[98]

公益信託の記事を掲載します。
信託管理人報酬はどう決まる?仕組み・上限・ガバナンスの全体像について
を紹介します。
公益信託における信託管理人の報酬については、信託財産が公益のために適正に使用されるよう、公益信託法およびガイドラインによりルールが定められています。
おもな内容は次のとおりです。
1 報酬の定義と根拠
(1) 報酬の意義
信託管理人が受託者の監視・監督といった職務を処理する対価として受ける財産上の利益を指します。
(2) 信託行為への記載
信託管理人に報酬を支払う場合は、必ず信託行為(信託契約や遺言)にその旨を定める必要があります。(信託法第127条第3項)
(3) 費用の考え方
事務に要した人件費や物件費などの「費用」を報酬に含めることが認められています。
その場合は報酬で賄われる範囲を明確にし、信託財産から別途「費用」として二重計上することは禁止されています。
2 認可基準と「支払基準」の作成
公益信託の認可を受けるためには、報酬が「不当に高額なものとならないような支払基準」を定めていなければなりません。公益信託認可基準とされています。
支払基準には、次の事項を明記する必要があります。
(1) 報酬の額又は算定方法
具体的な金額、あるいは信託財産残高や事務実績に連動させるなど、客観的に理解できる算定方法を定める必要があります。
(2) 支払の方法及び形態
支払時期(毎月末など)、支払手段(銀行振込など)、支払形態(現金など)を定めます。
(3) 報酬に含まれることとなる費用に関する事項
報酬で賄われる業務や費用の範囲を明確にします。二重払いを防ぐため、どの範囲の業務や費用が報酬で賄われるのかを明確にします。
なお、報酬を支払わない(無報酬)とすることも可能ですが、その場合も支払基準において「無報酬である旨」を定める必要があります。
3 「不当に高額」かどうかの判断基準
(1) 原則として
受託者が委託者に対し、事務に要する費用等について十分な情報を開示・説明した上で合意された基準であれば、明らかに不自然・不合理な場合を除き、妥当であると判断されます。
(2) 特別な関係がある場合
委託者や受託者と信託管理人が親族等の特別な関係にある場合は、類似の業務と比較して受託者が高額な利益を得ていないか?をチェックする必要があります。
4 財務規律および透明性の確保
(1) 管理費としての制限
信託管理人の報酬は会計上「管理費」に計上されます。
公益信託全体の財務規律として、管理費は全費用の30%以内に収める必要があります(公益事務割合を70%以上にする必要があるため)。
報酬額はこの制限を考慮して設定されなければなりません。
(2) 情報の開示
支払基準を記載した書類は、受託者の事務所に備え置き、閲覧請求に応じる義務があります。また、行政庁のホームページ(公益法人information)を通じて公表されます。
5 決定プロセスにおける独立性の確保
ガバナンスの観点から、誰が報酬額を決定・関与するかのルールに明確なルールがあります。
(1) 受託者から信託管理人への干渉禁止
信託管理人の役割は受託者を監督することであるため、監督対象である受託者が信託管理人の報酬額に影響を及ぼすことは不適切とされています。
(2) 信託管理人の関与
一方で、受託者の報酬額について、信託行為や支払基準に基づき、一定の幅の中で信託管理人が具体的な支払額を決定することは許容されています。
<参照>
ガイドラインP81
「公益信託報酬の額を、一定の範囲で誰かの判断に委ねることも排除されないが、受託者又は信託管理人のお手盛りを防止する必要があること、信託管理人の職責は受託者を監督することにあり、監督される対象である受託者が、信託管理人の報酬額に影響を及ぼすことは適当ではないことに留意する必要がある。」
ガイドラインP134
「加えて、受託者の信託報酬については、信託財産から支弁を受けるものであり、受託者の裁量に委ねることは利益相反の問題も生じ得ること、信託管理人の報酬については監督される立場にある受託者が決定することは不適切であること(逆に、受託者の信託報酬について、一定の幅の範囲で信託管理人が決定することは許容される。)等を踏まえ、委託者との合意事項として、信託行為に定めるべき事項としている。」
(出所:内閣府公益法人行政担当室HP『新しい公益信託制度について令和8年1月14日時点版』、『公益信託認可等ガイドライン令和7年12月版』)
「変わっていくことができるものが、変えることができる。」
(白夜飛行)
啓蟄の1日、笑顔の多い1日になりますようにお過ごしくださいね。
[編集後記]
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