消費者向け電気通信利用役務の仕入税額控除の適用について~ インボイス制度 消費税[710]

消費税の記事を掲載します.
国外事業者が行う「消費者向け電気通信利用役務の提供」にはリバースチャージ方式の適用はありません。その取引は課税取引となりますが、取り扱いはどうなりますか?
を紹介します。
たとえば
Q:
① A社の課税売上割合98%です。したがって、A社が受ける国外事業者から受ける「事業者向け電気通信利用役務の提供」はなかったものとされます。
② では、同じ電気通信利用役務の提供に区分される次のサービスの取り扱いはどうなりますか?
A:国外事業者から提供をうける「消費者向けの電気通信利用役務」
B:国内事業者から提供を受ける「事業者向け電気通信利用役務」または「消費者向けの電気通信利用役務」
A:
① 特定課税仕入れ※に該当しない電気通信利用役務の提供にかかる課税仕入れは、課税売上割合の程度によりなかったものとする取扱いの適用は受けません。仕入税額控除の対象とすることができます。
② ただし、国外事業者から提供を受ける「消費者向け電気通信利用役務の提供」については、インボイスの交付を受けるもののみ仕入税額仕入控除税額の対象とすることができます。
※ 特定課税仕入れとは
国外事業者から国内で受けた「事業者向け電気通信利用役務の提供」や「特定役務の提供」を指します。たとえば、Google広告などのインターネットを介したサービスや、国外アーティストの出演料支払いなどが該当します。
特定課税仕入れについてはリバースチャージ方式が適用されます。特定課税仕入れを行った事業者が課税と税額控除を行うこととなります。
特定課税仕入れに該当しない次の取引はリバースチャージ方式が適用されません
A:国外事業者から提供をうける「消費者向けの電気通信利用役務」
B:国内事業者から提供を受ける「事業者向け電気通信利用役務」または「消費者向けの電気通信利用役務」
つまり、AとBの電気通信利用役務の提供は、通常の課税仕入れとして仕入税額控除の対象になります。
ただし、インボイス発行事業者に該当しない国外事業者から提供を受けた消費者向け電気通信利用役務の提供について、一定割合(80%・50%)を仕入税額とみなして控除出来る経過措置の適用はありません。
これらをまとめるとポイントは次の3つです
① 国外事業者から提供を受ける「事業者向け電気通信利用役務の提供」は、リバースチャージ方式が適用されます。国内事業者が課税と税額控除を行ないます。ただし、課税売上割合が95%以上である課税期間においては課税と税額控除の対象としません。
② 国外事業者から提供を受ける「消費者向けの電気通信利用役務」は、仕入税額控除の対象とすることができません。ただし、インボイス発行事業者から提供を受ける者は仕入税額控除の対象とすることができます。
③ 国内事業者から提供を受ける事業者向け「事業者向け電気通信利用役務」または「消費者向けの電気通信利用役務」は、インボイスの保存を要件として仕入税額控除の対象となります。インボイスの保存がないものについては、80%または50%控除の経過措置の適用を受けることができます。
(国税庁:リーフレット「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等について」)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
小暑の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
クライアントに提案したいのは節税ではなく、より良い人生です。
[編集後記]
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