国外事業者に支払うインターネット宿泊予約サイトへの掲載手数料の取り扱い ~ インボイス制度 消費税[712]

消費税の記事を掲載します。
「特定課税仕入れ」を受けた場合、役務の提供を受けた事業者が「一般課税で、かつ、課税売上割合が95%以上」または「簡易課税制度を選択」のときは特定課税仕入れなかったものとされます
を紹介します。
たとえば
Q:
① A社は、国内でホテルを経営する法人です。
② 外国人旅行者による宿泊者数の増加を目的として、国外事業者が運営するインターネット宿泊予約サイトにA社のホテルを掲載することとしました。
③ この宿泊予約サイトにA社のホテルを掲載するに当たっては、国外事業者に対して掲載手数料を支払います。
④ A社は簡易課税制度を選択していません。また、課税売上割合は95%以上です。この手数料に係る消費税の課税の取り扱いはどうなるのでしょうか?
A:
① 国外事業者から受けた「事業者向け電気通信利用役務の提供」については、「特定課税仕入れ」として役務の提供を受けた国内事業者に納税義務が課されており、リバースチャージ方式により消費税の申告をする必要があります。
② 特定課税仕入れは、他の課税仕入れと同様に、役務の提供を受けた事業者において仕入税額控除の対象となります。
③ ただし、国外事業者から「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受けた場合であっても、役務の提供を受けた事業者の次の課税期間については、当分の間、「事業者向け電気通信利用役務の提供」(特定課税仕入れ)はなかったものとされます。「特定課税仕入れ」として申告する必要はなく、また仕入税額控除の対象にもなりません。
A:一般課税で、かつ、課税売上割合が95%以上の課税期間
B:簡易課税制度が適用される課税期間
③ A社が、国外事業者の運営する宿泊予約サイトへ自身が経営する国内のホテルを掲載するために支払う手数料は、国外事業者から受ける「事業者向け電気通信利用役務の提供」の対価に該当します。
④ したがって
A社の特定課税仕入れに該当することとなりますが、A社はその課税期間について簡易課税制度を適用しておらず、課税売上割合が95%以上の事業者です。
その特定課税仕入れはなかったものとされ、リバースチャージ方式により申告をする必要はありません。また、その手数料は仕入税額控除の対象にもなりません。
<参考>
リバースチャージ方式による申告要否の判定フロー図

(国税庁:消費税 質疑応答事例 国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
小暑の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
クライアントに提案したいのは節税ではなく、より良い人生です。
[編集後記]
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