井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2025.09.30.Tue | 消費税

「電気通信利用役務」とは。インターネット経由のサービスはどう扱われるか? ~ インボイス制度 消費税[739]




消費税の記事を掲載します。






「電気通信利用役務」に「該当する取引」「該当しない取引」の違いについて






を紹介します




「電気通信利用役務の提供」は消費税の課税対象となる国内取引に該当するか否かを、役務の提供を受ける者の住所等で判定します。したがって「電気通信利用役務の提供」となる取引が何か?を理解することは重要です。




1 そもそも「電気通信利用役務の提供」とは、具体的にはどのような取引でしょうか?




次のような取引です。




A1: インターネット等を介して行われる電子書籍・電子新聞・音楽・映像・ソフトウエア(ゲームなどの様々なアプリケーションを含みます。)の配信


A2: 顧客にクラウド上のソフトウェアやデータベースを利用させるサービス


A3: 顧客にクラウド上で顧客の電子データの保存を行う場所の提供を行うサービス


A4: インターネット等を通じた広告の配信・掲載


A5: インターネット上のショッピングサイト・オークションサイトを利用させるサービス



A6: インターネット上でゲームソフト等を販売する場所を利用させるサービス


A7: インターネットを介して行う宿泊予約、飲食店予約サイト(宿泊施設、飲食店等を経営

する事業者から掲載料等を徴するもの)


A8: インターネットを介して行う英会話教室 など




2 一方、「電気通信利用役務の提供」に該当しない取引とはどのような取引でしょうか?




一言でいうと、通信そのもの、または、その電気通信回線を介する行為が他の資産の譲渡等に付随して行われる取引です。


次のような取引です。




B1: 通信

電話、FAX、電報、データ伝送、インターネット回線の利用など、他者間の情報の伝達を単に媒介するもの(いわゆる通信)


B2: ソフトウェアの制作

著作物の制作を国外事業者に依頼し、その成果物の受領や制作過程の指示をインターネット等を介して行う場合があります。こうした取引も著作物の制作という他の資産の譲渡等に付随してインターネット等が利用されているものです。電気通信利用役務の提供に該当しません。


B3: 国外に所在する資産の管理・運用等(ネットバンキングを含む。)


資産の運用、資金の移動等の指示、状況、結果報告等について、インターネット等を介して連絡が行われたとしても、資産の管理・運用等という他の資産の譲渡等に付随してインターネット等が利用されているものです。電気通信利用役務の提供に該当しません。

ただし、クラウド上の資産運用ソフトウェアの利用料金などを別途受領している場合には、その部分は電気通信利用役務の提供に該当します.


B4: 国外事業者に依頼する情報の収集・分析等


情報の収集、分析等を行ってその結果報告等について、インターネット等を介して連絡が行われたとしても、情報の収集・分析等という他の資産の譲渡等に付随してインターネット等が利用されているものです。電気通信利用役務の提供に該当しません。

ただし、他の事業者の依頼によらずに自身が収集・分析した情報について対価を得て閲覧に供したり、インターネットを通じて利用させるものは電気通信利用役務の提供に該当します。


B6: 国外の法務専門家等が行う国外での訴訟遂行等


訴訟の状況報告、それに伴う指示等について、インターネット等を介して行われたとしても、その役務の提供は、国外における訴訟遂行という他の資産の譲渡等に付随してインターネット等が利用されているものです。電気通信利用役務の提供に該当しません。


B7:著作権の譲渡・貸付け


著作物に係る著作権の所有者が、著作物の複製、上映、放送等を行う事業者に対して、その著作物の著作権等の譲渡・貸付けを行う場合に、著作物の受け渡しがインターネット等を介して行われたとしても、著作権等の譲渡・貸付けという他の資産の譲渡等に付随してインターネット等が利用されているものです。電気通信利用役務の提供に該当しません。





これら、「電気通信利用役務の提供」に該当しない、資産の譲渡・貸付け、役務の提供については、これまで同様に、その資産の譲渡・貸付け、役務の提供の種類に応じて、消費税法第4条、消費税法施行令第6条により、内外判定を行います。

たとえば

著作権・著作隣接権という資産の譲渡または貸付けであれば、著作権・著作隣接権の譲渡または貸付けを行う者の住所または本店若しくは主たる事務所の所在地で内外判定を行うこととなります。

内外判定後、国内取引に該当し、消費税の課税対象となる場合には、これら資産の譲渡等を行った事業者に消費税が課されます。






<参考>


消費税法第2条第1項第8号の3

(電気通信利用役務の提供)




「資産の譲渡等のうち、電気通信回線を介して行われる著作物の提供(当該著作物の利用の許諾に係る取引を含む。)その他の電気通信回線を介して行われる役務の提供(電話、電信その他の通信設備を用いて他人の通信を媒介する役務の提供を除く。)であつて、他の資産の譲渡等の結果の通知その他の他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供以外のものをいう。」







(出所:国税庁 国境を超えた役務の提供に係る消費税の課税に関するQ&A 2-1)






「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」

(ピーター F.ドラッカー)

秋分の1日、朗らかにお過ごしくださいね。









クライアントに提案したいのは節税ではなく、より良い人生です。





[編集後記]





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