井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2017.09.09.Sat | 経理・会計

「キャッシュがない?税金が支払えない!」とならないように!手元資金と利益は一致しません。

土曜日は、〝介護事業者のための会計ハンドブック〟として、経営に必要な会計を分かりやすく紹介しています。

今回は4回目、「手元資金と利益は一致しません。」です。

 

「会計」と言っていますが、要するに「お金の管理」です。

領収書を整理したり、伝票をつくったりすることは、会社にとって必要なことですが、経営者にとって大切なことは、「お金の動きを通して会社の状態を把握し、経営をコントロールする。」(「起業の技術」浜口孝則:かんき出版)」ことです。

 

「キャッシュがないので税金を支払えない!」の原因は、「会計や税金の計算では、入金したときに売上を計上しない。」からです。

会計や税金の計算では、売上をいつ上げるのかは入金の時期とは関係ありません。「仕事が終わった日」に売上を計上することになります。(発生主義といいます。)

 

介護事業においては、介護サービスを提供した時点で売上をあげます(言い換えると帳簿に売上を記載します。)。経費についても同様です。仕入れ先からサービスを受けた時点で、経費を計上します。

現金の受取りや支払いの時点で帳簿に記載しません。

 

会計や税金の計算では、利用者に介護サービス提供を行った時点で、売上をあがったものと考えます。ようするに、入金の有無にかかわらず、売上があったものとして決算を行います。その後、法人税の税額を計算して申告します。

 

具体例で説明します。

月別資金資金繰り表(9月~3月)での手元資金の推移を見ますと

① A社は、平成29年9月開業、決算は翌年の1月末

事業年度は平成29年9月1日~平成30年1月31日

② 収入は介護報酬月額100万円、支出は給料等の経費月額80万円

③ 収入時期は翌々月の25日、支出時期は当月末日

④ 利用者の1割負担は介護報酬に含めています。(分かりやすくするため)

3月末日の手元資金は▲60万円ということが分かります。

 

会計・税金の計算で利益を計算しますと(損益計算書といいます)。利益計算は次のようになります。

A社の第1期(事業年度は平成29年9月1日~平成30年1月31日)

A社の第1期の法人税の申告・納付期限は決算日(1月末日)の2月後の3月31日になります。

第1期は100万円の利益が出ていますので、法人税等が課税されます。法人税等はざっくりと利益の30%とします。3月31日には、100万円(利益)×30%=30万円のキャッシュアウトが発生します。しかし、月別資金資金繰り表(9月~3月)での手元資金の推移を見ますと、5月末日の手元資金は▲60万円ですので税金は支払うことができません。

 

「キャッシュがないので税金を支払えない!」の原因は、「会計や税金の計算では、入金したときに売上を計上しない。」からです。

 

こういうことにならないために、資金繰りや税金等の計算や納付時期等は、事前に専門家と相談して、計画的に予測することをおすすめします。

 

火・木・土曜日は、「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」として、記事を紹介しています。

 

「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」は、ケアビジネスに関心がある方やこれから介護事業の経営に取り組まれようと考えられている方を対象に、介護事業に関する基本的で重要な事項を紹介する内容にしていきます。

 

このうち、土曜日は次のとおり〝介護事業者のための会計ハンドブック〟を連載しています。

・「現金回収と支払の「時間差」で起きる「黒字倒産」。介護事業では資金繰りが大切です。」はこちら(9/2)

・「資金ショートを防ぐ介護事業の開業時運転資金の調達は計画的に。」はこちら(8/26)

・「介護事業の開業時には、『運転資金』は4~5ヶ月分のお金が必要?の根拠」はこちら(8/19)

最近の火・木曜日の【介護事業の基礎知識バージョンアップ編】の記事は次のとおりです。

・「地域に根差した公的介護保険外サービスのポイント」【卯津羅泰生(うずらやすお)氏】はこちら(9/7)

・「ビッグデータを分析可能とする『保健医療データプラットフォームは2020年本格稼働』」はこちら(9/5)

 

介護事業は社会課題解決事業です。

 

保険料と税で運営されている社会保険制度としての制度ビジネスです。3年ごとに改定される制度変更には、しっかりと対応することをおすすめします。

 

課題をお持ちの開業を準備されている方や準備を検討されている方は、是非、ご相談ください。一緒にベストな解決策を検討しましょう。

 

制度変更により、大きく収入が落ち込んで事業縮小や廃業を余儀なくされるケースを避けるために、制度改定を予測して、事業経営に活用することが大切だと思います。

 

介護事業にかかわる会計、税務、経営に関するご質問・ご相談については、窓口から電話やメールでお気軽にご相談ください。(無料です。)

 

月・水・金は次のとおり税務の記事を

月曜日は「マイホームの税金の手引き」

水曜日は「会社で事業をした場合(法人成り)のメリット」

金曜日は「いざそのときにあわてないための相続税や贈与税に関する知識」

 

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