井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2017.10.04.Wed | 税金(法人)

法人成りのメリットとデメリット!税金面だけ考えると法人成りをした方が有利ですが。

水曜日のブログでは会社で事業をした場合のメリットを、おさらいしてお伝えしています。

個人事業者が株式会社等を設立し、その会社に事業等を移し、法人として事業を行うことを「法人成り」と言います。

 

税金面だけ考えると(いわゆる節税)、一定の所得があれば法人成りした方がもちろん有利です。しかし、法人成りをする場合は、その事業の目的や実態、法人事業のメリット・デメリットを慎重に検討したうえで、意思決定ください。

「法人」を有効に活用できる計画を立てて、デメリットを含めて総合的に判断することをおすすめします。

 

では、今まで水曜日に「法人成り(全26回)」についてお話してきたことの要点をまとめますと、次のようになります。ぜひご参考にしてください。

 

法人成りのメリット

① 事業の信用

株式会社等を設立するには、登記所に商業登記する必要があります。そうした手続き等をしているため、個人事業と比べて、法人としての株式会社等の事業は社会的に信用されています。(あくまで社会通念上のことです)

 

② 資金調達

個人の信用で少額の資金は調達できますが、多額の資金を調達する場合には、会社組織として、株式等により出資を募る方が資金を集めやすいです。

 

③ 税金の面

ⅰ 個人課税は超過累進税率ですが、法人課税(比例税率)です。

個人事業であれば、その利益は事業所得として、他の所得と合算されて、最高45%の超過累進税率で課税されます。法人の所得に課される法人税は、一定税率(15%、23.4%)です。

例えば、所得が5千万円の場合

個人 50,000,000円×45%-4,796,000円=17,704,000円(所得税の負担

法人 8,000,000円×15%+42,000,000円×23.4%=11,028,000円(法人税の負担

単純な比較ですが、利益が多くなれば、法人の事業にした方が税負担は少なくなります。

※ 復興特別所得税は含めていません。法人が平成30年3月期の中小法人の場合

 

 法人であれば所得の分散が可能です。

ア 自分に必要経費として役員報酬を支払いことができます。

イ 給与所得の計算には、概算経費である給与所得控除を差し引くことができます。

ウ 家族に給与を支払うことができ、所得分散ができます。

エ 家族に給与を支払っても、一定の場合配偶者控除、扶養控除の対象とすることができます。所得を分散することにより各々の給与所得控除額を活用することが可能になります。個人でも青色専従者給与というものがありますが、一定の要件が必要になります。

 

 退職金の支給が可能です

個人事業では、事業主が事業をやめた場合、事業主が自分に退職金を支払った場合に必要経費にはなりません。法人事業では経営者が退職した場合、損金として退職金を支給することができます。

 

 「法人」は事業売却、事業承継(相続)に利用しやすい。

法人は事業を買収(購入)、贈与、売却する場合に、株式の移動だけでいいので、相続対策や事業承継で財産分けが楽です。相続税においても税負担を軽減できる対策が立てやすい。

 

法人成りのデメリット

 事務処理増加と社会保険負担が増大します。

税務申告は法人税の計算で複雑になります。税理士に依頼することになりますので、費用が増加します。また、社会保険が強制加入になり、事業主負担が発生します。

② 資本金の調達が必要になります。

最低資本金制度は廃止されましたので、負担は低減していますが、会社としての信用を考慮すれば資本金が大きいほうが望ましいとは思います。資本金の調達が必要になります。

 

将来の法人成りを検討されている方、法人で事業スタートを検討されている方など、よくわからない点や不安や心配な点について、お気軽にご相談ください。相談しやすい税理士を目指しています。

ご確認やアドバイスをさせていただきます。(初回は無料です)

 

月・水・金は次のとおり税務の記事を

 

月曜日は「マイホームの税金の手引き」

水曜日は「会社で事業をした場合(法人成り)のメリット」

・「経営セーフティ共済は不動産所得のみの個人事業主は必要経費に算入できません。法人では損金になります」こちら(9/27)

・「法人は赤字でも、土地等の取得に要した借入金利息は全部を控除できます」はこちら(9/20)

金曜日は「いざそのときにあわてないための相続税や贈与税に関する知識」

日曜日は「2018年3月申告用の所得税確定申告の手引き」

 

火・木・土曜日は、「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」として、記事を紹介しています。

 

「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」は、ケアビジネスに関心がある方やこれから介護事業の経営に取り組まれようと考えられている方を対象に、介護事業に関する基本的で重要な事項を紹介する内容にしていきます。

 

最近の火・木曜日の介護事業の基礎知識バージョンアップ編」の記事は次のとおりです。

・「自立支援促進のため、保険者への財政的インセンティブと介護サービスへのインセンティブを導入」はこちら(10/3)

・「自立支援に軸足を、現場での自立支援の取り組みを促すインセンティブ強化も必要!およびそのスケジュール感」はこちら(9/28)

 

土曜日は次のとおり「介護事業者のための会計ハンドブック」を連載しています。

・「介護会計のルールで大切なのは、会計の区分!」はこちら(9/30)

・「介護会計?介護事業における会計基準とは?」はこちら(9/23)

 

最近よく読まれている記事

・「平成30年度の介護報酬改定まで、あと4か月およびそのスケジュール感」はこちら(8/17)

 

会計、税務に関するご質問・ご相談については、窓口から電話やメールでお気軽にご相談ください。

 

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