井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2017.10.19.Thu | 介護事業

「グレーゾーン解消制度の活用!」ヘルスケアサービス事業(介護保険外事業)成功に向けて(志水武史氏)

日本総合研究所リサーチ・コンサルティング部門マネジャーである志水武史氏のお話をお伝えします。

5回目です。課題に対する対策や解決の方向性を紹介します。

 

大阪健康寿命延伸産業創出プラットホーム(略称「OKJP」)の「新規ビジネスプラン創出研究会」に参加しました。そこで同氏が示された点で、私が重要だと考えたことを以下に述べます。

 

三つ目の課題「診療・介護報酬対象となる医療・介護サービス(医師の診療行為等)との線引きの難しさ。言い換えるとグレーゾ-ンの存在、医療領域に入り込むと医療関係者等から反発があります」に対する対策は次のとおりです。

 

経済産業省がグレーゾーン解消制度を創設しています。医療・介護分野との関係が深く、事業者のニーズが大きい分野については、経産省と厚労省が連名でガイドラインを策定しています。

 

グレーゾーン解消制度とは

産業競争力強化法に基づくものです。

グレーゾーン解消制度とは、事業者が現行の規制の適用範囲が不明確な分野において、具体的な事業計画に即して、あらかじめ規制の適用の有無を確認できる制度です。

事業者が新事業活動を行うに先立ち、あらかじめ規制の適用の有無について、政府に照会し、事業所管大臣から規制所管大臣への確認を経て、規制の適用の有無について、回答するものです。

 

平成29年7月21日時点でグレーゾーン解消制度への申請案件は98件、そのうちヘルスケアサービス事業(介護保険外事業)は、29件あります。

これは全体の約3割を占めています。医師法、個人情報保護法、医療法、保健師助産師看護師法、介護保険法等に対する抵触の有無等の照会に対して、1か月以内には回答されています。勿論無料です。

少し、長文になりますが、29件のヘルスケアサービス事業(介護保険外事業)に関する照会事項を次に掲げます。アイデアの宝の山のように思います。

 

① 運動機能の維持など生活習慣病の予防のための運動指導

【申請事業者】フィットネスクラブを運営する企業

例えば、次のように回答が公表されます。

② 血液の簡易検査とその結果に基づく健康関連情報の提供

【申請事業者】簡易血液検査サービスを行う中小企業

③ レセプトデータ等の分析による保険者と企業が連携した保健事業の実施

【申請事業者】医療統計データの分析を行う中小企業

④ 医療機関と民間事業者の情報共有による複合的な健康・生活支援サービスの提供

【申請事業者】健康・生活支援サービスをコーディネートする企業

⑤ 健康診断業務代行事業者による診療所開設届出

【申請事業者】健康診断のサポート事業を行う中小企業

⑥ テレビ電話を用いた医師の指示に基づく採血行為の実施

【申請事業者】健康診断のサポート事業を行う中小企業

⑦ レセプトデータ等の分析結果に基づく医師からの受診勧奨レターの発出事業

【申請事業者】医療データの分析を行う中小企業

⑧ 歯科における治療費補償付予防メンテナンスの実施

【申請事業者】歯科関連製品の販売を行う中小企業

⑨ 医師の食事箋に基づいた配食サービスの提供

【申請事業者】給食サービスの提供を行う企業

⑩ 医療機関における外国人患者向け電話通訳サービス事業の実施

【申請事業者】外国人患者向け電話通訳サービスを行う中小企業

⑪ 薬局店頭における唾液による口腔内環境チェックの実施

【申請事業者】薬局店舗を展開する企業、口腔内の衛生用品等を提供する企業

⑫ 薬局店頭における検体検査サービス

【申請事業者】薬局店舗を展開する企業

⑬ 「残留洗剤ゼロ」を目指す洗濯用具の提供

【申請事業者】洗濯用具の販売を行う中小企業

⑭ 人間と動物の総合ヘルスケアサービスの提供

【申請事業者】人間と動物の総合ヘルスケアサービスを提供する企業

⑮ 唾液を用いた歯ぐきの健康の郵送検査サービス

【申請事業者】歯ぐきのセルフメディケーションサービスを提供する企業

⑯ 医療提供施設以外で行う妊婦健診と胎児4Dサービス提供の取扱い

【申請事業者】マタニティー関連サービスを提供する中小企業

⑰ 薬局及び薬店における外国人向けTV電話通訳サービス事業の実施

【申請事業者】医療関連サービスを提供する中小企業

⑱ 高齢者等に対するヘルパー派遣による旅行支援サービス

【申請事業者】旅行支援サービスを提供する中小企業

⑲ 超音波骨密度測定装置に係る医薬品医療機器法上の取扱い

【申請事業者】医療機器を製造・販売する企業

⑳ 高齢者等向け外出支援サービス

【申請事業者】外出支援サービスを提供する中小企業

㉑ 薬局等でのセルフ漢方薬服用コーナーの設置

【申請事業者】漢方薬の製造・販売を行う中小企業

㉒ 化粧品の販売促進のためのポイント発行事業

【申請事業者】美容関連サービスを提供する企業

㉓ 在宅療養支援診療所における電話応対業務の代行サービス

【申請事業者】コールセンターサービスを提供する中小企業

㉔ 薬局間における在庫流通システムの提供サービス

【申請事業者】薬局間における在庫流通システムを提供する中小企業

㉕ カルテの長期保管サービス

【申請事業者】カルテの長期保管サービスを提供する企業

㉖ 睡眠環境の総合コンサルティングを行うサービス

【申請事業者】

睡眠環境の総合コンサルティングを行うサービスを提供する企業

㉗ 中古福祉用具サプライ事業

【申請事業者】介護福祉機器をレンタルする企業

㉘ 高齢者施設向け補光照明事業

【申請事業者】LED照明システムを開発する企業

㉙ 薬局における待ち時間を短縮する薬剤の販売方法の導入

【申請事業者】薬局店舗を展開する中小企業

 

 

グレーゾーン解消制度は、介護事業を含むヘルスケア事業を行う企業者が、自ら申請してグレーゾーンを解消することで、解消されたグレーゾーンが他の事業者により活用される前に、積極的に事業展開を行うことが可能となる制度だと思います。

 

規制の適用が不明確な場合には、活用していただくと有用な制度です。

特に、ヘルスケアサービスは医療・介護サービス(医師の診療行為等)と交差する分野だと思います。制度の有効活用をおすすめします。

 

火・木・土曜日は、「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」として、記事を紹介しています。

 

「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」は、ケアビジネスに関心がある方やこれから介護事業の経営に取り組まれようと考えられている方を対象に、介護事業に関する基本的で重要な事項を紹介する内容にしていきます。

 

最近の火・木曜日の「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」の記事は次のとおりです。

・「ヘルスケアサービス事業(介護保険外事業)」成功に向けて、課題解決の考え方」はこちら(10/17)

・「ヘルスケアサービス事業の創出が難しい理由」はこちら(10/12)

 

土曜日は次のとおり「介護事業者のための会計ハンドブック」を連載しています。

・「介護会計では会計の区分のため、共通費用はルールに従って按分します」はこちら(10/14)

・「介護会計で大切なのは『会計の区分』です。処理ルールは4つあります。」はこちら(10/7)

最近よく読まれている記事

・「平成30年度の介護報酬改定まで、あと4か月およびそのスケジュール感」はこちら(8/17)

 

介護事業は社会課題解決事業です。

 

保険料と税で運営されている社会保険制度としての制度ビジネスです。3年ごとに改定される制度変更には、しっかりと対応することをおすすめします。

 

開業を準備されている方や準備を検討されている方は、ご相談ください。

ご心配な点について一緒にベストな解決策を検討しましょう。

電話やメールでお気軽にご相談ください。(初回は無料です)

 

制度変更により、収入が落ち込んで事業縮小や廃業を余儀なくされるケースを避けるために、制度改定や計数を予測して事業経営に活用することが大切だと思います。

 

月・水・金は次のとおり税務の記事を紹介しています。

月曜日は「マイホームの税金の手引き」

水曜日は「同族会社とその役員との取引」

金曜日は「いざそのときにあわてないための相続税や贈与税に関する知識」

日曜日は「2018年3月申告用の所得税確定申告の手引き」

 

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