金曜日は、贈与税や相続税について紹介しています。相続人の問題に続いて、遺産の分け方を相続税の視点から検討します。

今回は「遺産は不動産だけ」を考えます。

 

遺産を相続人で分ける場合、遺産の個々の財産は、それぞれ「中身が違います」し、「時価が違います」し、「財産上のリスクが違います」

 

遺産がすべて現金であれば、そのような違いはありませんが、通常そういう遺産はありませんよね。つまり、分け方においては次のような問題があります。

 

① 遺産の内容は様々です。仮に預金と不動産しかない場合には、不動産の価値が高ければ、「平等」に分けることは困難です。

② また、例えば、遺産が不動産のみで、それが2件あった場合。次のように相続税評価額が同額でも時価が相違する場合があります。これも「平等」に分けることは困難です。

相続税評価額では  都心にあるマンション 3千万円 = 郊外の戸建て 3千万円

時価では           都心にあるマンション 5千万円 > 郊外の戸建て 2千万円

③ 現金と上場株式の2種類の遺産があった場合、相続時点では同じ評価額だったとしても、株式には将来の価値下落のリスクがありますし、一方で価値上昇のリターンの可能性があります。これも実質的には「平等」とはいえません。

 

例えば、「亡くなった父親の遺産が不動産だけ、相続人が2人(長女、次女)」の場合を検討します。

① 「現金をかわりに渡す」ことが選択肢として考えられます。

長女が不動産を相続して、長女が持つ現金を次女に手渡す代償分割という方法があります。しかし、難点は長女がその支払える現金を持っていない場合は、この方法は使えません。(下図参照)

※ 代償分割 …価値の高い財産を相続する相続人が、それ以外の相続人との利益均衡を図るために、債務を負担(代償金を交付)する方法です。

 

② 「不動産を売却して」長女と次女で分割する方法が考えられます(換価分割)。

一般的に良い方法と思われると思いますが、そもそも物件によってすぐに売れるとは限りませんし、買いたたかれて売却すると極端に損失が発生する可能性があります。現実的に有利な方法とは思われません。

 

③ 父親が生前に不動産を売却して、現金に換金しておくことが考えられます。

しかし、父親のその不動産が居住用であれば、売却後の住まいである老人ホームなどを確保する必要があります。計画的に進めないと、父親の日常生活に支障がでます。(下図参照)

④ 母親(存命であれば)に不動産を相続させる方法も考えられます。

不動産を母親に渡すことも考えられますが、その後、母親に相続が発生した場合には、同じ問題が生じます。本質的に問題を解消しているものではありません。

 

ご紹介したとおり、所有されている財産が不動産であったり、金融資産であったり、個々に相違します。また、相続人の人数や状態も異なります。

 

相続や相続税に関することは、一人一人の方で異なります。ましてや、一生に一度のことです。気になっていることは、信頼できる専門家に相談されることをおすすめします。

ご自身の相続や相続税に関することでご心配な方は、電話やメールでお気軽にご相談ください(初回は無料です)。まるごと話せる税理士です。

 

月・水・金は次のとおり税務の記事を紹介しています。

 

月曜日は「マイホームの税金の手引き」

水曜日は「同族会社とその役員との取引」

金曜日は「いざそのときにあわてないための相続税や贈与税に関する知識」

・「配偶者やこどもがいない方の相続税?おひとりさまの相続を考えます」はこちら(10/13)

・「面倒を見てくれていた同居の息子の嫁がいても、相続権はありません」はこちら(10/6)

日曜日は「2018年3月申告用の所得税確定申告の手引き」

 

火・木・土曜日は、「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」として、記事を紹介しています。

 

「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」は、ケアビジネスに関心がある方やこれから介護事業の経営に取り組まれようと考えられている方を対象に、介護事業に関する基本的で重要な事項を紹介する内容にしていきます。

 

最近の火・木曜日の介護事業の基礎知識バージョンアップ編」の記事は次のとおりです。

・「グレーゾーン解消制度の活用!ヘルスケアサービス事業成功に向けて」はこちら(10/19)

・「ヘルスケアサービス事業(介護保険外事業)成功に向けて、課題解決の考え方」はこちら(10/17)

 

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・「平成30年度の介護報酬改定まで、あと4か月およびそのスケジュール感」はこちら(8/17)