金曜日は、贈与税や相続税について紹介しています。相続人の問題に続いて、遺産の分け方を相続税の視点から検討します。前回は「寄与分」。

今回は「特別受益の持ち戻し」を考えます。

 

「特別受益の持ち戻し」とは

相続人が贈与や遺贈を受けたときに、他の相続人との公平を期するために相続分から差し引く制度です。

例えば、父親(被相続人)が末っ子の次男ばかりを可愛がり、生前贈与で次男に対してたくさん財産をあげている場合では、同じ兄弟で長男がおれば、長男は不満を持ちます。

そのような場合に、次男の父親から生前にもらっていた財産を考慮して、相続人の相続分を決めます。このような制度を「特別受益の持戻し」といいます。

 

「特別受益」となるものは次のようなものです。

① 被相続人のからの遺贈

② 被相続人からの生前における婚姻、養子縁組のため、または生計の資本としての贈与

②をもう少し分かりやすく言いますと

・結婚や養子縁組のため持参金や支度金を支給してもらった

・独立のための資金を負担してもらった

・新居の新築費用を負担してもらった。

・兄弟姉妹で一人だけ高等教育(大学)の教育を受けさせてもらった。

 

特別受益を受けた者がある場合の計算

遺贈や生前贈与などの特別受益を受けた人がいる場合は、特別受益分を考慮した計算をします。被相続人が死亡時に有していた財産価額に、特別受益額を加えたものを相続財産とみなします。

特別受益を受けた者は、法定相続分等によって算定した相続分の中から特別受益額を控除し、その残額を相続分とします。

 

被相続人の「特別受益の持ち戻し」の免除

特別受益があったとしても、被相続人が特別受益の持ち戻しを免除した場合は、持ち戻さなくてよいのですが、その場合は遺言書で持ち戻しに関しての免除の意思を明示する必要があります。トラブルの軽減に役立ちます。

 

特別受益に関しては、相続人間で、特別受益分に該当するものは何か?という共通の認識・確認について、合意形成が難しくなる可能性が高いと思います。

特別受益に該当するような贈与が生前に行われていた場合には、被相続人が遺言書で特別受益の持ち戻し」の免除の意思表示をすることが、もめない相続の対策として有効です。

 

<参考> 民法第903条 特別受益者の相続分

共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前3条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。

2 遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。

3 被相続人が前2項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する。

 

相続や相続税に関することは、一人一人の方で異なります。ましてや、一生に一度のことです。気になっていることは、信頼できる専門家に相談されることをおすすめします。

 

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