水曜日は、「同族会社とその役員との取引」について税務上の問題点となるケースを取りあげて紹介しています。19回目です。

 

「会社が、社長から土地を借りる」ケースを検討しています。

今回は

「土地の無償返還に関する届出書を提出すると認定課税は行われません」

を考えます。

 

ざっくりの結論は

税務署に「土地の無償返還に関する届出書」を提出すれば、借地権の権利金の授受がなく、かつ、相当の地代の支払いがなくても借地権の認定課税は行われません。

 

「土地の無償返還に関する届出書」とは

会社が、社長から建物を建てる目的で土地を借りた場合

 

① 通常の権利金を支払う

② 権利金に代えて、相当の地代を支払う

などを行わないと、会社は借地権を無償でもらったとして借地権の認定課税が行われて、法人税が課税されます。

 

しかし、上の①または②に代えて、その土地について

□ 将来、その土地を会社が社長に無償で返還することを約束しており

□ 地主(社長)と会社がその旨を税務署に届けでることと

 

した場合には、「会社において借地権を無償でもらったことにしない」ということになっています。

この届出書のことを「土地の無償返還に関する届出書」といいます。

 

土地を借りた会社の税金は

この届出書を提出することにより、会社が借地権の認定課税は受けることはありません。

次に、その際の地代について検討します。例えば、地代が次のような金額だったとします。

相当の地代の額 500万円 契約地代の額 300万円

 

法人の仕訳は

(支払地代) 300万円  ( 現  金 ) 300万円

となります。

なお、法人は、差額である経済的利益の額(200万円)を益金に計上するとともに、同額を支払地代として損金にも計上することになりますので、経済的利益の額は処理不要になります。

 

土地を貸した社長の税金は

無償返還の届出書が提出された場合は、社長側では受け取った地代が不動産所得となるだけです。次のような上の同じ例で考えますと

相当の地代の額 500万円 契約地代の額 300万円

 

社長の方では契約地代の額300万円を、不動産所得の収入金額に計上します。相当の地代の額500万円を計上するわけではありません。

個人の場合は、実際に地代として受け取った金額を、所得税の計算上、不動産所得の収入金額として計算することになります。

 

このように、会社と社長の取引には、思わぬところで税務上のリスクが発生します。

ご注意をお願いします。

気になるケースがある場合は、お気軽にご相談ください(初回無料です)。

 

今日で「同族会社とその役員の手引き」は最終回です。

次回の水曜日からは「事業承継・税理士の視点」というテーマで、事業承継の場面から引き続き会社と社長の税金を考えていきます。

 

Every day is a new day!

みなさん!今日も冬の1日を元気にお過ごしください。

 

水曜日は、「同族会社とその役員の手引き」を紹介しています。あてはまる事例を参考にしてくださいね。

土地貸借の税務ルール

・「会社が、社長から土地を借りる」と税金の問題が発生します」はこちら(1/24)

・「会社が権利金を支払うケース」はこちら(1/31)

・「会社が相当の地代を支払うケース」はこちら(2/7)

・「権利金に代えて、相当の地代に満たない地代を支払うケース」はこちら(2/21)

 土地売買の税務ルール

・「会社が社長から土地を買う。その時の時価をどう算定するか」はこちら(12/13)

・「会社が社長から土地を買う。社長と会社の税金はどうなりますか?」はこちら(12/20)

・「会社が、社長から低額で土地を買うと税金の問題が発生します」はこちら(12/27)

・「会社が、社長から高額で土地を買うと…」はこちら(1/3)

・「社長が、会社から低い価額で土地を買うと…」はこちら(1/10)

・「社長が、会社から時価より高い価額で土地を買うと…」とはこちら(1/17)

建物貸借の税務ルール

・「会社が社長から建物を借りる」はこちら(10/11)

・「会社が社長から建物を借りる、社長の税金」はこちら(10/18)

・「社長が会社から建物を借りる、家賃のルール」はこちら(10/25)

・「社長が会社から建物を借りる、低額家賃の場合」はこちら(11/1)

 金銭貸借の税務ルール

・「会社が社長からお金を借りる」はこちら(11/8)

・「会社が社長からお金を借りる、高金利の場合」はこちら(11/15)

・「会社が社長からお金を借りる、無利息の場合」はこちら(11/22)

・「社長が会社からお金を借りる」はこちら(11/29)

・「社長が会社からお金を借りる、無利息の場合」はこちら(12/6)

 

ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。

・月曜日は「開業の基礎知識~初めて開業する方に税理士からお伝えします」

・火・木曜日は「介護事業の基礎知識バージョンアップ゚編」

・水曜日は「同族会社とその役員の手引き」

・金曜日は「相続税をわかりやすく!」

・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」

・日曜日は「贈与税の迷ってしまう事例」

 

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