井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2018.06.01.Fri | こう考えています

500年前から変わらない複式簿記の原理原則と変わり続ける記帳技術~「簿記学入門(小島男佐夫)」と「会社の経理を全自動化する本(廣升健生)」

 

「簿記」と「記帳」に関する書籍を読みました。

 

ひとつは「新版簿記学入門」

昭和41年4月に初版発行、手元のものは昭和51年4月の14刷発行分です。(著者:木村和三郎、小島男佐夫共著)

この本は、約50年前に記された簿記の入門書です。

 

学校でこのテキストを使って、著者の小島先生に教えていただきました。

 

小島先生は、簿記学の歴史を研究されていました。この入門書においても「複式簿記が14世紀の末のイタリアで生まれた後」として、

 

複式簿記の沿革の説明では

「…コロンブスのアメリカ発見後2年、1494年にフランシスコ派の僧侶で数学者であった、ルカ・パチョーリ(Luca Pacioli、1444-1514~5)が、数学書『算術、幾何、比例及び比例総攬』を著わし…当時ヴェニスで用いられた簿記法をそのまま解説した」と、

 

そして、その後のどういうふうに記帳形式が変化し、元帳や仕訳帳などが発展したかについて触れています。

 

一方、帳簿となる材料やペンなども発展したそうです

紙を発見するまで、14世紀のイタリアでは帳簿や記録は羊皮紙(ようひし、動物の皮を加工して筆写の材料としたもの)が使われていました。

ようするに、動物の皮が記録材料として用いられていました。それが「紙」となり…帳簿となる材料は変化してきました。

また、帳簿記入にはペンが必要です。ペンも鷺ペンから鉄製のものに、インクは墨汁から鉄インクに発展していった。

 

しかし、複式簿記の原理・原則はずっと変わっていません

つまるところ、次の原則です。

(出所:簿記の仕訳のルールを身につけよう、弥生(株))

 

 

 

現在、複式簿記が生まれてから約500年、この原理・原則は不変です。

 

一方、「会社の経理を全自動化する本~全自動クラウド型会計freeeでお金も手間もかけずにらくらく経理」

 

税理士の廣升健生さんが、個人事業主やフリーランスの方を対象に、クラウド会計ソフトのfreeeの使い方を解説された書籍です。

 

廣升さんが、Freeeで日々の経理を全自動化するためには、Freeeというソフトについてどういう知識と工夫が必要になるかを、具体的な経験から説明されています。

 

廣升さんが著書で紹介されているように、私もfreeeというクラウド会計ソフトを使って、その仕組みやルールを構築して、工夫して記帳の取り組みを進めていけば、100%の全自動化までは困難ですが、最終的には日々の記帳業務について約80%ぐらいは、自動化は可能だと思っています。

 

500年前、羊皮紙に書かれていた記帳が、テクノロジーの進展により「自動で経理」などの方法により、経理業務が自動化にされるようになり、仕訳帳と元帳などがクラウド上に保存されるようになりました。

 

クラウド会計freee中でも、しかし、約500年前に生まれた複式簿記の原理・原則は変わってはいません。

 

なぜ、「新版簿記学入門」と「会社の経理を全自動化する本」がシンクロしたかと言いますと

 

50年前に書かれた小島先生の「新版簿記学入門」の序文には

「この入門書はこのような抱負をもって書かれたものであるが、これはわれわれのみのものではない。明治初年から大正・昭和の過去100年間に亘るわが国、洋式簿記学の多くの諸先輩学者、諸恩師の研究の賜である。今後来るべき簿記学は、電子計算機を応用した機械化簿記の入門書であろうと思う。」とあります。

 

FinTechのひとつであるクラウド会計の進展と活用の可能性は限りなく、一方、変わらない複式簿記の原理・原則があります。

歴史とは面白い!と考えています。

 

変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)

Every day is a new day!

みなさん、今日も春の1日を元気にお過ごしください。

 

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