井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2018.11.25.Sun | 税金(贈与)

「相続時精算課税」と「住宅取得等資金の贈与の特例」両方を活用するときの3つのポイント ~ 贈与税をわかりやすく㉔

 

日曜日は〝贈与税をわかりやすく〟です。

相続時精算課税の特例で、「住宅取得等資金の贈与の非課税」と「相続時精算課税」の両方を選択できます

この場合、贈与者が60歳未満でも相続時精算課税を選択できます。

 

つまり

平成33年(2021年)12月31日までに、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得または増改築等の対価に充てるための資金の贈与を受ける場合には

60歳未満の父母または祖父母からの贈与についても特別控除2,500万円を適用することができます。

 

 

具体例で説明します

 

平成30年11月に父親(55歳)から3,500万円、母(53歳)から1,000万円の住宅取得等資金の贈与を受けました。

11月中に省エネ等住宅以外の住宅用の家屋の取得に係る契約をし、いずれの贈与についても相続時精算課税を選択した場合

贈与税の計算は次のようになります。

 

父親からの資金贈与3,500万円の贈与税の計算

 

住宅取得等資金の特例および相続時精算課税の特例を受けます

①課税される金額の計算

3,500万円 - 700万円(非課税金額) - 2,500万円(相続時精算課税の特別控除額)

= 300万円

 

②贈与税額の計算

300万円 × 20%(相続時精算課税に係る贈与税率) = 60万円(贈与税額)

 

<参考> 贈与した金額3,500万円の内訳は次のとおりです

住宅資金非課税限度額   700万円(非課税部分)

相続時精算課税特別控除額 2500万円(贈与税申告時に課税されない部分)

課税部分         300万円(贈与税の税額の計算対象)

 

母親からの資金贈与1,000万円の贈与税の計算

 

相続時精算課税の特例のみを受ける場合

①課税される金額の計算

1,000万円 - 1,000万円(相続時精算課税の特別控除額) = 0円

 

②翌年以降に繰り越される特別控除額

2,500万円-1,000万円=1,500万円

 

 

相続時精算課税の特例で

「相続時精算課税」と「住宅取得等資金の贈与の非課税」との両方を選択した場合の3つのポイントは次のとおりです。

①相続時精算課税の特別控除額(2,500万円)は、選択した贈与者ごとにそれぞれ適用できます

 

事例では父親、母親の両方に相続時精算課税を選択しています

 

②住宅用の家屋の取得等に係る契約の締結日等により非課税限度額は異なります

 

③住宅取得等資金の非課税制度は、受贈者1人について700万円が限度となっています

 

事例では、父親からの贈与について非課税制度を適用しています。非課税枠いっぱいの700万円を非課税としていますので、母からの贈与については非課税制度の適用を受けることはできません。

 

<参考>住宅取得等資金の非課税限度額の700万円を分けて適用することは可能です。

事例において、たとえば父親からの贈与の一部(例えば350万円)と母からの贈与の一部(350万円)として、それぞれの贈与について、相続時精算課税の特例を受けることも可能です。

 

 

住宅取得等資金の贈与の特例とは

▶ 〝住宅取得等資金の贈与の特例〟を使えます

 

非課税限度額は

住宅取得等資金の贈与の非課税限度額700万円が、平成31年4月から約3.5倍に引き上げられます

 

 

個別の事情や関係を踏まえて、特例の活用の検討をおすすめします。

 

Every day is a new day!

今日も秋の1日を朗らかにお過ごしください。

 

贈与税や将来の相続の問題のご相談をお伺いしております。

問題をお伺いしたうえで、税務の専門家として、丁寧にアドバイスさせていただきます。

▶ 贈与税サポートプランなど

 

贈与税を中心とした「マイホームの税金」に関するブログ記事は

http://www.y-itax.com/category/kojin/myhome/

 

贈与税をわかりやすく

① 贈与税がかかる場合~親子間、夫婦間でも贈与税はかかります

② 贈与税は、贈与を受けたすべての財産に対してかかります。

③ 贈与する前にいったいどれくらいの贈与税がかかるのか知っておく必要があります

④ 相続時精算課税は相続税のかからない親の場合にはベストな贈与です

⑤ 共働きの夫婦が住宅購入した場合、購入資金の負担割合で所有権登記をして下さい

 離婚して財産をもらったとき、贈与税がかかる場合があります

⑦ 親から金銭を借りた場合、贈与税がかかります

 贈与税がかかる生命保険金、もらったつもりがないのにかかる贈与税

⑨ 親族間で低額で土地を譲り受けたとき、贈与税がかかります

⑩ 債務免除などを受けた3つのケース。贈与税がかかります

⑪ 借金付きの贈与は、やってはいけないし、もらってもいけません

⑫ 贈与税の申告と納付はどうやるの?払うのは誰?いつ払うの

⑬ 親の土地に子どもが家を建てたときに知っておきたい税金のこと

⑭ 無償で借り受けた土地を贈与により取得したとき

⑮ 親の借地に子どもが家を建てたときに知っておきたい税金のこと

⑯ 父親名義の建物に子どもが増築したとき、贈与税が課税されます

⑰ 親名義の建物に子どもが増築したとき、増築前の家屋の名義を子どもに変更する

 「生命保険契約」個人から個人への契約者変更

 生命保険契約の満期保険金を受け取ったら税金はどうなる

 相続時精算課税は、贈与財産の種類・金額・贈与回数を問いません

 精算課税か暦年課税かは、もらった人が選択します

㉒ 相続時精算課税の具体的な税額の計算と3つのポイント

 相続時精算課税の特例。住宅取得等資金の贈与の非課税と併せて適用可能

 

贈与税で誤りやすい事例

① 自宅の贈与を受け、その後離婚。特例の適用は受けられますか?

② 父親の土地に、子供の私が自宅を建てて住みます。問題はありますか?    

③ 父親の借地に、子供の私が自宅を建てました。何か問題は?   

④ 父親が借地している土地の底地を、息子の私が買い取りました

⑤ 無償返還予定の土地の贈与を受けました。宅地の評価は

 

毎年こどもや孫に110万円を贈与するときに、気をつけておきたいこと

⑥ 気をつけることは?

⑦ 贈与契約書が必要です

⑧ その資金はこどもや孫の預金通帳に振り込みましょう

⑨ 通帳の管理はこどもや孫にまかせましょう

⑩ もらったお金を、こどもや孫は自由に使えていますか?

⑪ 贈与税の申告は必要ありませんが、トラブルを生じさせない取扱いとして

⑫ 親名義の住宅を子の資金で増築等リフォームした場合~住宅ローン控除は使えませんか

 

 

ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。

・月曜日は開業の基礎知識~創業者のクラウド会計

・火曜日は「平成30年度介護報酬改定の重要事項」

・水曜日は新事業承継税制特例のポイント解説

・木曜日は法人節税策の基礎知識

・金曜日は「相続税ついてわかりやすく!」

・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」

・日曜日は「贈与税をわかりやすく!」

 

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