井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2019.10.13.Sun | こう考えています

空き家発生のメカニズムを押さえると空き家問題の対策が取りやすい ~ 空き家問題④

 

空き家の増加を抑制する対策として、空家法により、空き家が立っている土地を固定資産税において「住宅用地の特例」からはずすという措置をもうけています。

固定資産税は地方税の分野ですが、国税である所得税でも「相続により取得した空き家の譲渡所得3,000万円特別控除」の特例を設けています。

 

《参照》

相続により取得した空き家の譲渡所得3,000万円特別控除の特例

 

固定資産税の「住宅用地の特例」をはずすという措置は、空き家の発生抑制のための対策です。

一方、所得税における「相続により取得した空き家の譲渡所得3,000万円特別控除の特例」という措置は、空き家所有者に対して空き家の適正管理をうながし、ひいては管理不全空き家の解消を目指すという視点からの対策です。

同じ税分野での特例ですが、それぞれの対策の視点はちがいます。

 

これらの税の分野での空き家対策は、空き家所有者に対して税負担の加重・軽減を通じて政策誘導することを意図しています。

効果的な措置だと思います。しかし、税での対応は空き家問題を解決するひとつの対策にすぎません。

 

空き家問題を考えるには、なぜ空き家が発生しているのか?

 

次のように、空き家発生のメカニズムを押さえると空き家問題の対策が取りやすい

 

■(空き家に)なぜ昭和 40 年代の物件が多いのかというと、この頃の物件は相続時期に差し掛かっており、相続人が相続しないため、空き家が発生するというパターンが多いと思われます。

■南吹田や江坂の区画整理の縁辺部というのは、ミニ開発の戸建が空き家となっていっている可能性があるのではないでしょうか。今のご時世では、住みたいと思える魅力を持ち得ていないような狭小物件が、老朽化して空き家化している可能性があります。

■一方、高級住宅街のようなところは、資産価値があるので、そこまでの積極的に手放そうという気になりません。

■仮にマンションに移住したとしても、資産に余裕があり、二件持っていても困らない。そのため、賃貸等もせず、空き家となっている可能性があります。

■(空き家発生には)様々なメカニズムがあり、それを押さえれば押さえるほど、見えてくるものがあります。数をカウントするだけでなく、どうして空き家になっているのかを押さえていったほうがよい。

■そのメカニズムが分かったときに、それぞれの所有者の空き家対策への動機付けをどう考えるかが重要になります。そこをどうするかでいくつかの対策は取れると思います。

 

(出所:吹田市空家等対策協議会 久隆弘委員 19/08/08)

 

それぞれの空き家所有者の「空き家対策へのモチベーション」の把握が大切です

 

次のように、「住まい方」、「暮らし方」、「使い方」などの生活を踏まえて、対策を考えること重要になります。

 

■空き家等対策計画は、住宅政策室が実施することもあり、物件対策として考えがちです。所有者にとって、空き家問題は、暮らし方など、生活全般の話です。

■そういったところに目を向けなければいけません。物件紹介のみでは対策が取れません。

■具体的には、吹田市は空き家バンクがありますが、登録が1件しかありません。物件を登録してくださいというだけでは所有者は乗ってきません。

■空き家に関する様々な講座等をやってきましたが、空き家対策講座ではほとんど人が集まらなかった。最も集客力があるのは、資産運用の講座です。これに関連付けて空き家対策の講座を行うと、人が集まります。

■動機づけをどうするかという点で、物件のことを表に出し過ぎると、人が集まりません。

■空き家防止対策の成功事例の多くは、きめ細やかな情報提供、相談を行っています。空き家発生メカニズムの分析により、なぜそうなるかが分かれば、どういった情報提供、相談をすればよいのかが見えてきます。

■住まい方、暮らし方、使い方をどうするかに焦点をあてて、計画を策定してほしいです。

■神山町や奈良ではNPOが入っています。外部にお任せした方が、きめ細やかな対応ができるかもしれません。市役所で抱え込まず、どういう方と連携すれば借主、貸主に届くのかを考えてもよいと思われます。

(出所:吹田市空家等対策協議会 久隆弘委員 19/08/08)

 

空き家問題を考えるにあたっては、税の対応は強力なモチベーションとはなりますが、

「住まい方」、「暮らし方」や「使い方」など生活全般を考えることが、さらに重要だと考えます。

 

 

空き家問題の記事

 空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)

② 「住宅用地の特例(固定資産税の軽減)」と空家法

 家を取り壊しても固定資産税の評価額がそのまま課税対象となるわけではありません

 

 

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