簡易課税の仕入税額控除のみなし仕入率を乗じる「基礎となる税額」は適正ですか?~インボイス制度 消費税[703]

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「基礎となる税額」とは課税売上に係る消費税額(=売上にかかる消費税額)のことですが、差し引きする項目があります
を紹介します。
みなし仕入率を乗じる「基礎となる税額」は次のように計算します
「基礎となる税額」=「課税標準額に対する税額」-「返還等対価に係る税額」+「貸倒回収額の税額」です。
控除対象仕入税額は次のように計算します
控除対象仕入税額=「基礎となる税額」×「みなし仕入率」です。
みなし仕入率は次のとおりです

ポイントは次の2つです
① 貸倒にかかる税額(申告書⑥欄)は基礎となる税額計算には考慮しません。一方で貸倒債権を回収した場合の消費税額(申告書③欄の貸倒回収かかる消費税額)は基礎となる税額の計算に加算します。
② 簡易課税による控除対象仕入税額は実際の仕入れ高とともに仕入返品値引きなども無視して計算します。返還等対価に係る税額を基礎税額の計算でマイナスするということは、純売上高に対して仕入率を適用することです。
<参考>
消費税法基本通達
(13-1-6 貸倒れがあった場合の適用関係)
簡易課税制度を適用している事業者の行った課税資産の譲渡等に係る売掛金等について法第39条第1項《貸倒れに係る消費税額の控除等》に規定する事実が生じたこと(以下「貸倒れ」という。)により同項の規定の適用がある場合又は同項の規定の適用を受けた貸倒れに係る売掛金等を回収した場合における消費税額の計算は、次によるのであるから留意する。
(1) その貸倒れとなった売掛金等に係る消費税額(当該売掛金等の金額に法第39条第1項に規定する割合を乗じて算出した金額をいう。以下13-1-6において同じ。)は、当該課税期間の課税標準額に対する消費税額から、法第37条第1項《中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例》の規定により当該課税期間における仕入控除税額とみなされる金額を控除した後の金額から控除する。
(2) 回収した売掛金等に係る消費税額は、その回収した日の属する課税期間における課税標準額に対する消費税額に加算され、加算後の金額を基に同項の規定により仕入控除税額を計算する。
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
夏至の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
クライアントに提案したいのは節税ではなく、より良い人生です。
[編集後記]
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