井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2025.11.04.Tue | 公益信託

任意団体からの「公益信託認可の申請」に対する取扱いについて ~ 公益信託[66]




公益信託の記事を掲載します。






「第9回公益信託制度の施行準備に関する研究会(10/14)」で任意団体からの「公益信託認可の申請」に対する対応方針案が示されています






を紹介します。




研究会においてガイドライン素案(イメージ(全体))が提示されています。

このうち事務局から、任意団体に対する審査・監督の対応方針案が示されています。




次のとおりです。



「任意団体」からの申請は、団体が次の要件のすべてを充足する場合には、団体としての申請を容認します




しかし、「法人格」とそれに伴う「権利能力」を有していないことに鑑み、次の取扱いとします。(「団体」の要件)


① 団体としての組織をそなえ、そこには多数決の原則が行なわれていること。

② 構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続すること。

③ 組織の規程等によって代表の選定方法、総会の運営その他団体としての主要な点が確定していること。

④ 公益信託の公益信託事務を処理することが、組織の目的や事業内容と合致していること。

⑤ 団体として銀行等の口座を開設していること。

⑥ 団体として各種法人法に準じた貸借対照表、損益計算書等の計算書類を作成していること。




A:「団体」の要件を充足する場合の取扱いは次のとおりとします




① 受託者の「経理的基礎」や「技術的能力」の審査及び監督は、「団体」を対象に行う。

② 受託者の名称は、「団体名(代表者●●)」のようにカッコ書きで代表者や管理者の氏名を明記する。

③ 受託者の住所は、団体の事務所の所在地とする。

④ 団体の本人確認資料は、団体の代表者の資料をもって代替する。

⑤ 団体の代表者の交代に伴う、受託者の変更は公益信託法第12条の公益信託の変更に該当しない。

⑥ 定期提出書類については、「法人その他の団体」として取り扱う。

⑦ 信託財産たる金銭を管理するための受託者名義の専用口座については、金融機関が団体名での専用口座の開設を容認する場合は団体名で開設し、容認しない場合は「代表者や管理者」名で開設する。

⑧ 登記・登録制度がある財産について「代表者や管理者」名での登記・登録を行うものとする。




B:「A」の団体要件が未充足で団体の関与が認められる場合は次のとおりとします




① 団体に属する権利能力を有する者(例えば、団体の「代表者」や「管理者」)を、法律上、公益信託法第7条第1項の「公益信託の受託者となろうとする者」として取扱う。

団体の要件①~③を充足する場合は、受託者の表示として、カッコ書きで団体名や役職名を表示できることとする。


②「任意団体」の実態に応じて、受託者の「経理的基礎」や「技術的能力」に係る審査や監督においては、「任意団体」の能力等を加味することができる。

たとえば、組織の規程等が定められ、かつ、信託行為に明確に規定されている場合には、団体の機関を「合議制機関」として取り扱うことができる。


③ 受託者の住所について、申請書上は、代表者の住民票上の住所を必要とするが、団体の事務所をもって情報開示を行う際の住所として表示することができる。


④ 任意団体の代表者の交代に伴う、受託者の変更は公益信託法第12条の公益信託の変更に該当する。


⑤ 団体の「代表者」が、公益信託法上の受託者となるが、信託管理人の選定や特別の利益を与えてはならない公益信託の関係者の取扱いについては、団体の実態に応じて団体を受託者とみなして審査及び監督を行う場合もあり得るものとする。




事務局の対応方針案を踏まえて、各委員からの意見は次のとおりです




A:




「 資料1のp.18に示された①~③と④~⑥の性質は異なるものではないか。前者は民法上の権利能力なき社団の要件であり、これを満たせば、法人が団体として扱われる。これに対し、後者は、団体が受託者となることを認められるための要件となる。そうであれば、団体として要求すべき要件は前者だけであり、後者は技術的能力や経理的基礎を判断するにあたっての要件(公益信託認可のための要件)という整理をすべきではないか。

一律に「団体」の要件として求めた場合、「⑤団体としての銀行口座を開設してい」なければ、申請自体が不受理という扱いとなる一方で、先述の考え方をすれば申請を受け付けた上で、不認可となるので、こちらの方が望ましいと思われる。




B:






「権利能力なき社団と認められる要件を最低限は満たしている必要があることを明示すべきである。

また⑤について、これまでに口座を開設している実績を求めるという趣旨か。(公益信託を始めるために新規口座を開設しようとする予定である場合は認められないという理解でよいか。→然り)

『団体の代表者の資料』については、定款や議事録で本人が代表者の地位であることを確認することになる。技術的能力と経理的基礎については実績も含めて判断されると理解した。」




C:




「任意団体を2つに分けて、①~③は最高裁判決をベースとした権利能力なき社団の成立要件を満たす団体と、権利能力なき社団でない場合でも『(前記の団体要件が未充足で団体の関与が認められる場合』」の記載の部分で団体として認められる可能性があるということが書いてあるという理解をしており、それでよいと思っている。

また、『④組織の目的や事業内容と合致している』という要件の趣旨がよくわからない。制度としては、例えば営利事業を行っている株式会社でも受託者となれるのであり、組織の目的や事業内容が、営利目的や収益事業であっても合致していればいいのか。」







(出所:第9回会議関係資料 内閣府公益法人行政担当室)









「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。

(ピーター・F.ドラッカー)

霜降の1日、朗らかにお過ごしくださいね。











[編集後記]




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