新しい公益信託制度は「収益事業はできるのか?」について ~ 公益信託[91]

公益信託の記事を掲載します。
公益信託は公益法人制度とは異なり原則として収益事業を行うことは認められていません
を紹介します。
1 目的の制限
公益信託は、「公益事務を行うことのみを目的とする」ものである必要があります(公益信託法第8条第1号)。
公益法人は公益目的事業を行うことが「主たる目的」であれば収益事業等を行うことが可能ですが、公益信託は公益事務以外の事務を目的とすることはできません。
2 制度上のメリット維持
公益信託が収益事業を排除しているのは、区分経理などの複雑な会計処理を不要とし、公益法人よりも事務負担が少ないというメリットを活かすためです。
また、受託者が公益信託の本来の目的からかけ離れた収益事業を行うことを防ぐ狙いもあります。
3 「運用」と「事業」の区別
信託財産に属する金銭を増やすための「運用」(預貯金や有価証券の取得など)は認められます。賃貸不動産の運営や企業への貸付けなど、公益法人の収益事業に相当するような事業を「運用」として行うことはできません。
4 例外的なケース
ただし、実施する事務そのものが「公益事務」の定義に該当するのであれば、その事務から相応の収益が生じることが想定される場合でも、公益事務として実施することは可能です。
その際は、当該事務を公益事務として行う必要性や公益性の意義を申請書に明記し、行政庁の認可を受ける必要があります。
なお、これらは公益信託の信託財産を用いた活動に関する制限であり、信託財産を用いない受託者自身の固有事業(本来の業務など)を妨げるものではありません。
<参照>
ガイドライン P27
「相応の収益が生じることが想定される事務を公益事務として実施する場合には、申請書への記載を要するものとする。その際には、当該事務を公益事務として行う必要性・公益性の意義等について記載する。」
ガイドラインP33~
「相応の収益が生じることが想定される事務を公益事務の一部として実施する場合は、(1)及び(2)を満たす必要がある。
(1) 幹となる公益事務の趣旨・目的のために実施されるものであること
(2) 当該公益事務の規模・内容・実施の態様が、幹となる公益事務の趣旨・目的に即したものであり、かつ、必要な範囲を超えて行われないものであること」
「営利企業等が行う事業と類似する公益事務については、なぜ公益事務として当該事務を実施する必要があるか、当該事務を通じてどのように社会に貢献しようとし、そのためにどのような態様で当該事務を実施しようとしているか等を確認する。その結果、公益事務としての特徴がなく、営利企業等による類似事業の実施状況を勘案して、高い税制上の優遇措置を受けるなどの社会的なサポートを受けてまで公益事務として実施する意義が認められない場合には、公益事務として認められない。」
「なお、公益事務として実施する意義については、多くの営利企業が社会貢献活動を行い、あるいは社会貢献を目的の一つとして活動を行うなど、同じ分野で、様々な類型の法人等が切磋琢磨しながら活動している実態に留意し、公益事務として実施しようとする地域・社会の具体的な状況等に即し、かつ、公益信託の目的との関連性(いたずらに小さな単位で事務を切り出すのではなく、公益事務全体として判断する。)を踏まえて判断する。」
ガイドラインP34~
「なお、公益信託については、公益法人と比べて小さな規模でも公益活動が実施できるようにすることが重要であり、例えば、まちづくり等に関連する公益信託であって不動産等を信託財産とする場合等において、現実に利益を受ける者が事実上一定の範囲に限られるとしても、公益信託の目的及び公益事務の内容に不自然な点がなく、『民間公益の増進及び活力ある社会の実現』に寄与すると考えられる場合には、不特定かつ多数の者に受益の機会が開かれていると判断するものとする。」
(出所:内閣府公益法人行政担当室HP「新しい公益信託制度について令和8年1月14日時点版」、「公益信託認可等ガイドライン令和7年12月版」)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター・F.ドラッカー)
啓蟄の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
[編集後記]
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