井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2019.04.07.Sun | 税金(相続・贈与・譲渡)

相続により取得した空き家の譲渡所得3,000万円特別控除の特例【基本ルール】 ~ 空き家売却の3,000万円特別控除⑦

 

相続した空き家を売却して、一定の条件を満たした場合に、譲渡所得から3,000万円を控除できる特例が平成28年4月に導入されています。

根拠条文は租税特別措置法第35条(居住用財産の譲渡所得の特別控除)の第3項です。

この特例の適用要件(基本ルール)を紹介します。

 

空き家の売却の3,000万円特別控除の要件とは

 

昭和56年5月31日以前に建築された家屋とその敷地であること

 

マンション等の区分所有建築物は該当しません。

 

被相続人(亡くなった人)のみが居住していたこと

 

市町村長から発行される「被相続人居住用家屋等確認書」が必要になります。

本人が亡くなる直前まで生活の本拠としていた家屋で、住民票の住所だけでなく居住していた実態で判断されます。

ただし、4月1日から老人ホームに転居していても一定の条件を満たせば、認められるルールに改正されています。

 

空き家は相続発生から3年後の12月31日までに売却すること

 

ただし、相続発生(亡くなって)から他の人が住んだり、貸し付けや事業をしていないことが必要です。

また、新ルール(老人ホームに転居)の適用をうけるには、平成28年1月2日以降の相続で、かつ、平成31年4月1日以降に譲渡すればよいことになっています。

 

家屋を取り壊すか、または、家屋を新耐震基準にリフォームすること

 

更地のケースでは、家屋を取り壊した後に土地を売却することが必要になります。

取り壊し前の売買契約は、3000万円の特別控除の適用はありません。

 

 

売却価額に注意します

 

①売却価格が1億円を超えると適用除外になります。

②その際には、売却価格は被相続人の家屋と土地を取得したすべての相続人の譲渡対価の額で判定します。

 

 

参考

租税特別措置法第35条(居住用財産の譲渡所得の特別控除)の第3項

相続または遺贈による被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等の取得をした相続人が、平成28年4月1日から平成35年12月31日までの間に、次に掲げる譲渡(当該相続の開始があつた日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間にしたものに限るものとし、対価の額が1億円を超えるものを除く)をした場合には、特別控除3,000万円を適用する。

 

一 当該相続もしくは遺贈により取得をした被相続人居住用家屋の政令で定める部分の譲渡または当該被相続人居住用家屋とともにする当該相続若しくは遺贈により取得をした被相続人居住用家屋の敷地等の政令で定める部分の譲渡

イ 当該相続の時から当該譲渡の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと。

ロ 当該譲渡の時において地震に対する安全性に係る規定または基準として政令で定めるものに適合するものであること。

 

二 当該相続または遺贈により取得をした被相続人居住用家屋の全部の取壊しもしくは除却をしたまたはその全部が滅失をしたにおける当該相続または遺贈により取得をした被相続人居住用家屋の敷地等の政令で定める部分の譲渡

イ 当該相続の時から当該取壊し、除却または滅失の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと。

ロ 当該相続の時から当該譲渡の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと。

ハ 当該取壊し、除却または滅失の時から当該譲渡の時まで建物または構築物の敷地の用に供されていたことがないこと

 

慎重に基本ルールにそって検討されることをおすすめします。

 

 

Every day is a new day!

今日も春の1日を元気にお過ごしください。

 

【編集後記】

日曜日の「贈与税についてわかりやすく!」はお休みしました。

 

贈与税や将来の相続の問題のご相談をお伺いしております。

問題をお伺いしたうえで、税務の専門家として、丁寧にアドバイスさせていただきます。

▶ 贈与税サポートプランなど

 

 

相続した空き家売却3000万円の特別控除の特例

 

① 家と土地をセットで相続により取得することが大前提

② 更地にして売る場合は、譲渡の時までに家屋を壊していることが必要です 

③ 売却価額は分割して何度かに分けて売却してもトータルで1億円判定します

④ 敷地が被相続人と相続人との共有になって居る場合

⑤ 被相続人しか住んでいなかったという証拠が必要になります

⑥ 被相続人が老人ホームに入所した場合が対象に追加されます

 

 

住宅取得等資金の贈与税の非課税 誤りやすい事例

 

① 資金の贈与を受けたが、翌年の3月15日までに家に住めない

 資金の贈与を受けたが、家がまだ完成しない

 資金の贈与を受けたがマンションの引渡を受けていない

④ 住宅ローン控除と併用可能ですが、贈与部分は適用できません

 贈与税を申告しなかったらどうなるか

⑥ 消費税10%引き上げ後に贈与する場合がトクな場合

 住宅取得のための資金を土地の購入にあてました

 父親からもらったお金で土地を妻が購入後、夫が自己資金で家屋を新築

 父親と祖母からそれぞれ1,500万円ずつ贈与を受けました

 

贈与税をわかりやすく

 

① 贈与税がかかる場合~親子間、夫婦間でも贈与税はかかります

② 贈与税は、贈与を受けたすべての財産に対してかかります。

③ 贈与する前にいったいどれくらいの贈与税がかかるのか知っておく必要があります

④ 相続時精算課税は相続税のかからない親の場合にはベストな贈与です

⑤ 共働きの夫婦が住宅購入した場合、購入資金の負担割合で所有権登記をして下さい

 離婚して財産をもらったとき、贈与税がかかる場合があります

⑦ 親から金銭を借りた場合、贈与税がかかります

 贈与税がかかる生命保険金、もらったつもりがないのにかかる贈与税

⑨ 親族間で低額で土地を譲り受けたとき、贈与税がかかります

⑩ 債務免除などを受けた3つのケース。贈与税がかかります

⑪ 借金付きの贈与は、やってはいけないし、もらってもいけません

⑫ 贈与税の申告と納付はどうやるの?払うのは誰?いつ払うの

⑬ 親の土地に子どもが家を建てたときに知っておきたい税金のこと

⑭ 無償で借り受けた土地を贈与により取得したとき

⑮ 親の借地に子どもが家を建てたときに知っておきたい税金のこと

⑯ 父親名義の建物に子どもが増築したとき、贈与税が課税されます

⑰ 親名義の建物に子どもが増築したとき、増築前の家屋の名義を子どもに変更する

 「生命保険契約」個人から個人への契約者変更

 生命保険契約の満期保険金を受け取ったら税金はどうなる

 相続時精算課税は、贈与財産の種類・金額・贈与回数を問いません

 精算課税か暦年課税かは、もらった人が選択します

㉒ 相続時精算課税の具体的な税額の計算と3つのポイント

 相続時精算課税の特例。住宅取得等資金の贈与の非課税と併せて適用可能

 相続時精算課税と住宅取得等資金の贈与の特例の両方活用時の3つのポイント

㉕ 住宅取得等資金とそれ以外の財産を同一年中に贈与されたとき(相続時精算課税)

㉖ 住宅取得等資金で取得した家屋に居住できないとき(相続時精算課税

㉗ 住宅取得等資金贈与と住宅ローンとの併用での適用誤り

 相続時精算課税を選択した場合の「相続税の申告義務」と贈与時4つのポイント

 贈与者が贈与した年の中途に死亡した場合の「相続時精算課税の選択」

 年の中途において養子となった場合の相続時精算課税の適用

 精算課税を選択する場合の手続きのポイントと贈与税申告書に添付する書類

 贈与の年に贈与者が死亡した場合、贈与税申告と相続税申告の考え方

 

贈与税で誤りやすい事例

 

① 自宅の贈与を受け、その後離婚。特例の適用は受けられますか?

② 父親の土地に、子供の私が自宅を建てて住みます。問題はありますか?    

③ 父親の借地に、子供の私が自宅を建てました。何か問題は?   

④ 父親が借地している土地の底地を、息子の私が買い取りました

⑤ 無償返還予定の土地の贈与を受けました。宅地の評価は

 

 

毎年こどもや孫に110万円を贈与するときに、気をつけておきたいこと

 

⑥ 気をつけることは?

⑦ 贈与契約書が必要です

⑧ その資金はこどもや孫の預金通帳に振り込みましょう

⑨ 通帳の管理はこどもや孫にまかせましょう

⑩ もらったお金を、こどもや孫は自由に使えていますか?

⑪ 贈与税の申告は必要ありませんが、トラブルを生じさせない取扱いとして

⑫ 親名義の住宅を子の資金で増築等リフォームした場合~住宅ローン控除は使えませんか

 

 

ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。

 

・月曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計

・火曜日は「平成30年度介護報酬改定の重要事項」

・水曜日は「新事業承継税制特例のポイント解説

・木曜日は「法人節税策の基礎知識

・金曜日は「相続税ついてわかりやすく!」

・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」

・日曜日は「贈与税をわかりやすく!」

 

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ブログ記事の内容は、投稿時点での税法その他の法令に基づき記載しています。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。

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