井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2025.10.24.Fri | 公益信託

公益信託の計算書類と経理的基礎「計算書類の作成手続についてどうすべきか?」 ~ 公益信託[60]




公益信託の記事を掲載します。






「第8回公益信託制度の施行準備に関する研究会(9/24)」でこれらの事項について事務局対応方針案が提出されています






を紹介します。




計算書類の作成手続についてどうすべきか?

事務局対応方針案は次のとおりです。




1 公益信託事務は、受託者として責任をもって実施するものであることを踏まえ




受託者が法人である場合には、計算書類および信託概況報告の作成について、原則として、その法人の受託者の計算書類および事業報告作成の手続と同様の手続(理事会の承認、監事の承認など)を得ることが信託行為に定められている必要があるものとします。




2 なお、年度のずれ等の理由で評議員会、社員総会等の承認を得ることが困難な場合は




これを省略することは差し支えないものとします。


ただし、受託者が信託銀行その他の大規模な法人である場合等において、内部統制の構築状況等に照らして、必要な情報を開示する仕組みが整備されているときは、この仕組みによることができます。




3 論点は次のとおりです




① 事業計画書・収支予算書についても同様に考えてよいか?


② このほか、財産目録等に該当する書類は、すべて同様に考えてよいか?




<参考> 公益信託規則




第1条(信託行為に定める事項)

五  信託財産の受入れ、運用、支出その他の信託財産に関する事項

六  受託者の職務に関する事項

七  公益信託事務の処理の方法に関する事項


第4条(受託者の経理的基礎及び技術的能力)

三…財産目録等の作成、備置き、閲覧等に関する公益信託事務の処理の方法が定められ、当該公益信託の信託財産の状況に係る情報を適正に開示することができる仕組みが整備されていること。


第44条

…貸借対照表、損益計算書及び信託概況報告並びにここれらの附属明細書については・・・信託管理人の承認を受けなければならない・・




これを受けて委員から次のような意見が出ています




A:「計算書類の作成に当たって理事会の承認を必要とすべきかという論点について、信託行為で定めることを求めるならば、それは法令上の義務(要請)を超え、過大な負担にならないか。

また、『なお』以降で『年度のずれ等の理由で評議員会、社員総会等の承認を得ることが困難な場合は、これを省略することは差し支えないものとする。』とあるが、年度がずれても監事の監査の対象は網羅されると思われ、当該なお書きの趣旨を確認したい。

また、監事の承認を求めるというのはやり過ぎと思われ、書類を確認して何か気付きがあればご意見をいただく、ということで良いのではないか。」


B:「計算書類の作成手続について理事会の承認が求められているところ、年度のずれ等の理由がある場合は評議員会、社員総会等の承認を得るとされているのはなぜなのか(決算の中に入れるからか)。

また、計算書類の作成に当たって理事会の承認について信託行為に定められていることが認可条件となるならば、それは認可条件を増やすということになるのか。『必要である』と記載されると、『絶対である』と解釈されうるので、書き方には留意されたい。」


C:「法人の監事の承認を求める、という事務局の説明に異論はない。法人がその目的の範囲内で受託者になるため、理事会や監事の承認を必要とすることを信託行為に記載するか否かにかかわらず、考え方としては妥当である。その上で、信託行為に理事会や監事の承認について定めなければならないとするのは過剰にも思われる。」


D:「理事会や監事の承認を義務付けるというのは、やや過剰ではないか。計算書類の作成手続に法人内部の手続が包含される訳ではないのではないか。技術的能力としてそのような内部手続が必要とされる趣旨は理解できるし、計算書類作成において法人内部のガバナンスを使うことが望ましいやり方だとは思うが、それを絶対必要だとすべきなのだろうか。

 どういった手続で計算書類を作るのか信託行為で明示して、当該公益信託における信託管理能力を考慮して最低限の技術的能力が備わっている場合に、総合的な評価として認可をすれば良いのではないか。」


F「受託者の理事会と評議員会、社員総会の承認の関係性については、受託者の理事会だけでなく、評議会等でも承認が必要ということか。理事会で承認を受けた後、評議員会でも承認が必要というのは負担が重くないか。」


G:「公益法人があってその中の小さい事務で公益信託をやっている場合だけでなく、公益法人で行われている事務の多くが公益信託というケースもある場合もあると考える。その場合は、当然、社員総会等の承認を得ていないとおかしいだろう。その点で、社員総会、評議員会の承認は必要な手続きではあると思う。」


H:「受託者である公益法人の監事と、信託管理人の両方によるチェックを経た上で、更に社員総会や評議員会での承認を求めるというのは重過ぎるのではないか。公益法人が収益事業として公益信託を行うケースも想定して、全ての場合に計算書類について理事会や監事の承認を求めるというのが妥当か検討する必要がある。」


I:「計算書類の作成手続について、信託銀行その他の大規模な法人とそれ以外の法人とを規定として区別するのはなぜか。公益法人が収益事業として公益信託を行うケース、公益目的事業として公益信託を行うケース、一つの法人で複数の公益信託を受託するケース、複数の法人が共同受託になっているケースなど、様々な形で法人が公益信託に関わることが想定されるが、これらに対して一律にルールを定めることは適切ではないと感じる。受託者の内部で一定のガバナンスがあれば当然望ましいと考えられるが、この点は基本的に法人自治に任せるべきではないか。」


J:「説明資料では特段記載がないが、「信託管理人に承認を受けたことを証する書面」(ガイドライン案第5章p.69)の形式について紙で署名捺印を求める形にする必要はないと思う。」







(出所:第8回会議関係資料 内閣府公益法人行政担当室)







『変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。』

(ピーター・F.ドラッカー)

霜降の1日、朗らかにお過ごしくださいね。






[編集後記]





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