井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2025.11.11.Tue | 公益信託

「公益信託の事業検討ワークショップ」一般財団法人ちくご川コミュニティ財団の事業案 ~ 公益信託[71]




公益信託の記事を掲載します。






「新しい公益信託を活用した多様な学びに関する奨学金事業」の公益信託ワークショップ発表資料について






を紹介します。




「公益信託の事業検討ワークショップ」とは




ガイドライン等の作成にあたっての具体的な事業モデルやニーズの把握、制度利用促進に向けた横展開可能なモデル事例の検討を主な目的として、公益信託の事業検討ワークショップが開催されています。




参加組織は次のとおりです




・ 全国こども食堂支援センターむすびえ

・ 長野県みらい基金

・ 泉北のまちと暮らしを考える財団

・ ちくご川コミュニティ財団

・ キッズドア

・ 全国フードバンク推進協議会




このうち、一般財団法人ちくご川コミュニティ財団の「新しい公益信託を活用した多様な学びに関する奨学金事業(案)」とは




信託目的とは




不登校の子どもがフリースクール等を継続利用できる家計支援を行い、学びの機会を保障します。



事業期間と規模は




■ 2026–2028年(3年間)

■ 信託財産:1,000万円配分

事業費70%(700万円)、管理費30%(300万円:受託者200・管理人100)




対象地域は


筑後川関係地域(福岡県全域、佐賀県東部、大分県日田市、熊本県北部)



対象は


小学生~高校生。必要に応じて伴走支援(支援情報の提供・個別相談)




体制は次のとおりです




委託者:個人

受託者:一般財団法人ちくご川コミュニティ財団(地域の中間支援)

信託管理人:弁護士など




現状およびニーズなど




・ 福岡県内の不登校児童生徒約1.8万人、家計負担は月平均約4万円。

・ 公的家計支援の実施自治体は限定的。

・ 奨学金で家計負担を軽減し、学びの機会を保障。

・ 事業成果の見える化により政策提言の土台を形成。

・ 公益信託により事業の透明性・継続性・再現性を確保。

・ ニーズが高く、助成スキームであるため他地域展開も可能。

・ 休眠預金活用事業の出口戦略としても期待。





事業体制図と公益事務内容は次のとおりです









具体的な公益事務は次のとおりです




・事業内容

不登校の子どもがフリースクール等の多様な学びを利用するための給付型奨学金


・信託財産:1,000万円

A:事業費:700万円(信託財産の70%:奨学金)
24万円/年(2万円/月)を約10人/年に3年間給付(継続、入れ替わりあり)

対象年齢は小学生〜高校生-奨学生向けの支援プログラムも実施(支援情報の発信、個別相談等)

B:管理費:300万円(信託財産の30%:受託者200万円、信託管理人100万円)



・公益事務内容

委託者の意向を踏まえた奨学金事業の設計

募集ページの作成、広報

公募の実施

申請者との面談

選定委員会の実施、奨学生の選定

助成金交付業務

奨学生への伴走支援・委託者への報告、報告会の実施




公益信託を使用する理由は次のとおりです




① 公益信託という新たな財源により多様な学び、不登校支援に関する財源の種類が増えると考えます。


② 公益信託の場合、公益性の高い事業となるため、不登校支援における政策提言が行いやすくなります。


③ 奨学金ニーズの高さ

福岡県内で1万8千人の不登校の子どもがいるが、公的な家計支援制度がある自治体は60のうち3つのみ。弊財団調査により月謝、交通費で月に平均4万円が家庭の自己負担となっています。


④奨学金の場合、個人への支援のため、奨学生の変化を委託者に直接伝えることができます。そのため、事業への満足度が得やすい。


④ 事業の横展開の可能性が高い

ニーズは非常に高いが、不登校の子どもを対象とした奨学金事業自体が全国的に少ない。また、選定に関わる事務以外は負担がそこまで大きくないため、助成財団などには展開しやすいのでは。


⑤ 公益信託において、事業計画、収支計画などが明らかになるため、事業のノウハウを他団体が応用しやすいのでは。


⑥ 公益信託を休眠預金活用事業の出口戦略の一つに位置付けることで、選択肢が増えます。また、環境整備に設計できれば、潜在的委託者の調査・分析、公益信託についての普及・啓発活動などが実施でき、実現可能性が上がると考えます。


⑦ 休眠預金活用事業の資金分配団体(コンソーシアム構成団体)、実行団体で寄附金控除の対象とならない法人格の団体が資金調達しやすくなります。


⑧ 公益信託を活用することで、コンソーシアム構成団体や実行団体が地域の中間支援組織として事業を行う展開が期待できます。弊財団は信託管理人として信託全体のガバナンスコンプライアンスの整備、受託者の管理を行います。


⑨ 地域における公益信託の実現可能性や実施ノウハウなどが蓄積されれば、休眠預金を活用している団体以外にも受託者の幅を広げていく可能性もあるのでは。


⑩ 委託者に金融機関、法人等がなる場合、地域のCSO(市民社会組織)と公益に資する委託事業が実施でき、かつ別枠損金算入できるというメリットがあります。法人等にとっては事業として成果を見える化しやすく、CSR→CSVへと繋がる可能性があるのではないか。








(出所:第9回会議関係資料 内閣府公益法人行政担当室)







「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。

(ピーター・F.ドラッカー)

立冬の1日、元気にお過ごしくださいね。










[編集後記]


消費税の記事はお休みしました。





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また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。

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