新しい公益信託制度の「設定手続き」「事業運営、組織」について? ~ 公益信託[88]

公益信託の記事を掲載します。
公益信託はあくまで「財産管理の仕組み」。 ガバナンスは信託行為に基づく受託者と信託管理人の相互の牽制・連携によって確立されます
を紹介します。
1 新しい公益信託制度における設定手続きはとは
(1) 信託行為の実施
公益信託を設立するには、まず委託者(財産を出す人)と受託者(財産を預かり運営する人)との間で信託契約を結ぶか、委託者が遺言によって意思表示を行う必要があります。
委託者の役割:
公益信託の目的や事務内容などの「枠組み」を設定し、財産を拠出します。
受託者の役割:
信託契約の当事者として、委託者の想いに沿った公益活動を実施します。
(2)行政庁への認可申請
公益信託は、行政庁の認可を受けなければ、その効力を生じません。
申請者:
受託者が行います。
行政庁の区分:
公益事務を2つ以上の都道府県で行う場合は内閣府、それ以外は都道府県が担当します。
審査:
行政庁は、公益認定等委員会などの合議制機関への諮問を経て、認可基準に適合するかを判断します。
(3)申請に必要な主な書類
認可申請にあたっては、次の書類などを添付する必要があります。
信託行為の内容を証する書面:
契約書や遺言書など。
事業計画書及び収支予算書:
公益活動の具体的な計画
経理的基礎を証明する書類:
受託者が事務を適正に処理できる財務基盤があるかを確認するためのもの。
公益信託報酬の支払基準:
受託者や信託管理人に支払う報酬の基準。
(4)信託行為に定めるべき事項(必要的記載事項)
認可を受けるためには、信託行為の中に次の内容を必ず含める必要があります。
名称:「公益信託」という文字を用いた名称。
目的: 公益事務(学術、福祉、環境保全など)を行うことのみを目的とすること。
信託管理人: 受託者を監視・監督する立場の人を指定すること。
帰属権利者: 信託終了時の残余財産の帰属先(委託者に戻すことはできません)。
2 事業運営や組織は
新しい公益信託制度における事業運営と組織は、主に委託者・受託者・信託管理人という3つの役割を中心としたガバナンス構造によって成り立っています。
公益法人(財団法人など)のような評議員会や理事会といった法律上の固定された「型」はなく、信託行為(契約や遺言)の内容によって柔軟に枠組みを構築できるのが特徴です。
(1)組織の構成要素(主な関係者)
委託者:
財産を拠出し、公益信託の目的や事務内容などの「枠組み」を設定します。新しい制度では、委託者が受託者の事務処理状況を監督する権限を信託行為で定めることも可能です。
受託者:
信託契約の当事者として、信託行為に従い公益信託事務(公益活動や財産管理)を実施する「担い手」です。信託会社だけでなく、公益法人やNPO法人、さらには適切な能力を持つ個人が務めることも可能です。
信託管理人(必置):
公益信託には特定の「受益者」が存在しないため、受益者に代わって受託者を監視・監督する役割として必ず設置されます。受託者の業務執行方針の承認や、実績の確認などを行います。
行政庁(内閣府または都道府県):
公益信託の認可を与え、適正な運営がなされるよう報告徴収や立入検査などの監督を行います。
(2)事業運営の仕組み
事業運営は、委託者の「想い」が反映された信託行為(信託契約または遺言)に基づいて行われます。
意思決定と執行:
受託者が年度ごとに公益信託事務の執行方針(事業計画・収支予算書)を作成し、信託管理人の承認を得た上で事務を執行します。
義務と責任:
受託者には、自己の財産管理よりも高い注意を払う「善管注意義務」や、自己の利益を優先しない「忠実義務」、信託財産を固有財産と分けて管理する「分別管理義務」などが課せられます。
情報開示:
毎年度の事業計画や財務諸表などは行政庁に提出され、原則として公表されることで透明性が確保されます。
(3)遵守すべき財務規律
健全な運営を維持するため、次のようなルールが設けられています(特定資産公益信託を除く)。
中期的収支均衡:
5年間の中期的な期間において、収益と費用が均衡するように計画・運営することが求められます。
公益事務割合:
全体の費用のうち、公益目的の事務に要する費用の割合を70%以上にする必要があります。
特別の利益供与の禁止: 委託者、受託者、信託管理人やその親族、あるいは特定の営利企業などに対して、不当な利益を与えてはいけません。
3 公益法人との違い
公益法人が法人格を持つ「団体」であるのに対し、公益信託はあくまで「財産管理の仕組み」です。
ガバナンスは、信託行為に基づく受託者と信託管理人の相互の牽制・連携によって確立されます。
(出所:内閣府公益法人行政担当室HP「新しい公益信託制度について令和8年1月14日時点版)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター・F.ドラッカー)
啓蟄の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
[編集後記]
消費税の記事はお休みしました。
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