新しい公益信託制度の「受託者の対債権者責任のルール」について ~ 公益信託[99]

公益信託の記事を掲載します。
公益信託における受託者の対債権者責任の基本ルール
を紹介します。
1 責任の原則
受託者は、信託財産責任負担債務(信託事務に関連して生じた債務)について、限定責任公益信託である場合を除き、信託財産のみならず自らの固有財産(受託者自身の財産)をもって履行する責任を負います。
<参照> ガイドラインP62
「また、受託者においても、①信託財産責任負担債務は、限定責任信託等を除き信託財産のみならず固有財産をもって履行する責任を負う(信託法第21条)こと」
2 契約主体としての責任
公益信託事務の実施に伴って行われる契約等の主体はあくまで受託者自身です。そのため、事務に要した費用を信託財産から償還(払い戻し)受けることは可能です。
信託財産が不足している場合には、受託者が債務者として自ら責任を負うことになります。
<参照> ガイドラインP120
「また、公益信託事務の実施等に当たって受託者が行う契約等の主体は受託者である。その費用等について信託財産から償還等を受けることは可能であるが、信託財産が十分ではない場合には、(限定責任公益信託を除き)受託者が債務者としての責任を負うことになる。」
3 信託財産の独立性(差押えの禁止)
一方で、信託財産の独立性も確保されています。
信託財産であることを第三者に対抗できる状態であれば、受託者個人の債権者(固有債権者)は、信託財産に対して差押えをすることは法律上できません。
もし誤って差し押さえられた場合でも、信託財産であることを疎明することで差押状態から回復することができます。
<参照> ガイドラインP52、P54
「受託者は、信託財産に属する財産と固有財産及び他の信託の信託財産に属する財産とを、信託法が定める方法により、分別して管理しなければならない(信託法第34条)。その趣旨は、受託者の固有債権者から信託財産に対する強制執行を抑止する効果に加え、受託者の忠実義務違反抑止効果にあるとされている。財産の分別管理は信託制度の前提となっており、公益信託においても、確実かつ適切に分別管理が行われる必要がある。」
「信託財産は、信託財産であることを対抗できれば、受託者の(固有財産の)債権者からの差押えは法律上できない(信託法第23条第1項)ことから、信託財産である旨が口座に表示されていると、差押えリスクが軽減される可能性がある。この場合、信託財産であることの疎明によって差押状態から回復される(信託法第23条第5項)と考えられる。
また、公益信託の信託財産から生じる収益は非課税扱いとなるため、非課税口座内に固有財産が混蔵すると税務上の混乱が生じ得る。
なお、信託財産たる有価証券が証券保管振替機構の振替口座にて管理される場合は、当該有価証券が信託財産に属する旨を振替口座簿に記載又は記録する方法にて管理する方法を含む。
本規定は、口座の名称について、当該公益信託の信託財産である旨を表示することが望ましいことを踏まえ、受託者に、社会通念に照らして過度の負担にならない範囲での対応を求める趣旨であり、網羅的な調査や受託者の実情等に照らして遠隔地での口座開設を求める趣旨ではない。」
(出所:内閣府公益法人行政担当室HP「新しい公益信託制度について令和8年1月14日時点版」、「公益信託認可等ガイドライン令和7年12月版」)
「変わっていくことができるものが、変えることができる。」
(白夜飛行)
春分の1日、笑顔の多い1日になりますようにお過ごしくださいね。
[編集後記]
トップの写真は、吹田の今朝のビール工場の様子。
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