居住用賃貸建物を取得後、調整期間内に民泊サービスの用に供した場合 ~インボイス制度 消費税[701]

消費税の記事を掲載します
居住用賃貸建物を調整期間内に課税賃貸用に供した場合に仕入税額控除の調整をします
を紹介します。
たとえば
Q:
1 A社(3月決算)は、X0年3月に3階建てのアパートを取得しました。
2 このアパートについては、「居住用賃貸建物」に該当するものとして、その取得に係る消費税額はX0年3月期に対応する課税期間の消費税の申告上、仕入税額控除の対象となりませんでした。
3 A社はX2年1月に、このアパートの一部(1階部分)において民泊サービスを開始する計画としています。
4 以後、1階部分は住宅として貸し付けるものではなくなります。仕入税額控除が制限されていたアパートの取得に係る消費税額の一部を、X2年3月期に対応する課税期間の申告において仕入税額控除の対象とすることはできますか?
A:
居住用賃貸建物の取得等に係る消費税額の調整をします
仕入税額控除が制限されていたアパートの取得に係る消費税額の一部については、一定の方法により計算した金額をX2年3月期に対応する課税期間の仕入れに係る消費税額に加算することにより、仕入税額控除の対象とすることになります。
すなわち
事業者が国内において行う居住用賃貸建物(住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物)に係る課税仕入れ等の税額については、仕入税額控除の対象となりません。
ただし
この制限により仕入税額控除の対象とならなかった課税仕入れ等の税額については、その居住用賃貸建物の仕入れ等の日の属する課税期間の開始の日から3年を経過する日の属する課税期間(以下「第3年度の課税期間」といいます。)の末日までの間にその居住用賃貸建物を非課税となる住宅の貸付け以外の貸付けの用(以下「課税賃貸用」といいます。)に供した場合又は譲渡した場合には、仕入控除税額の調整を行うこととなります。
具体的には「居住用賃貸建物の取得等に係る消費税額の調整」をします。
すなわち
その居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額に一定の方法により計算した割合を乗じて計算した金額に相当する消費税額を、第3年度の課税期間又は譲渡した日の属する課税期間の仕入れに係る消費税額に加算することになります
「民泊サービス」とは、住宅の全部または一部を活用して宿泊サービスを提供することをいいます。これは非課税となる住宅の貸付け以外の貸付けである「施設の貸付け」に当たることから、居住用賃貸建物の一部を民泊サービスの用に供した場合は、「居住用賃貸建物を課税賃貸用に供した場合」に該当します。
したがって
民泊サービスを第3年度の課税期間(X2年3月期に対応する課税期間)の末日までに開始した場合には、居住用賃貸建物の取得等に係る消費税額の調整の適用対象となります。
調整計算:第3年度の課税期間(X2年3月期に対応する課税期間)の仕入控除税額に加算
居住用賃貸建物の課税仕入れ等に係る消費税額:500万円
居住用賃貸部分の賃料合計:180万円
課税賃貸用(民泊サービスの用)に供した部分の賃料:20万円
加算額は次のように計算します。

(出所:国税庁 消費税 質疑応答事例)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
夏至の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
クライアントに提案したいのは節税ではなく、より良い人生です。
[編集後記]
トップ画像は今日のランチです。自炊しました。
今日は公益信託の記事はお休みしました。
ブログは、曜日によりテーマを決めて書いております。
月曜日~木曜日に、おもに消費税の記事を書いております。
金曜日は公益信託の記事を掲載しております。
土・日・祝日は、ブログをお休みしております。
・「贈与や相続・譲渡など資産税」または「確定申告などの所得税」
・「公益信託」
免責
ブログ記事の内容は、投稿時点での税法その他の法令に基づき記載しています。
また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。
本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。