売上対価の返還等に係る税額控除の7つのチェックポイント ~インボイス制度 消費税[706]

消費税の記事を掲載します.
返品・値引・割戻し・割引が「売上に係る対価の返還等」に該当するか?確認します。消費税法上、売上そのものとは別個の取引とされ、返還等が発生した課税期間で税額控除の対象となります
紹介します。
売上げに係る対価の返還等の税額調整とは
商品を販売した事業者がその取引を行った後に、売上値引きをしたり、売上割戻金や販売奨励金を支払ったり、売り上げた商品について返品を受けたことなどにより売掛金の減額を行う場合には、商品を販売した事業者は、これらの金額に対応する消費税額について調整する必要があります。
1 対象となる取引の確認をします(調整が必要な取引とは)
国内で行った課税資産の譲渡等に該当する取引に基因して支払われる次のものが調整の必要な取引となります。ただし、輸出取引など消費税が免除される取引に基因して支払われるものを除きます。
① 返品
② 値引き
③ 事業者がその直接の取引先に支払う割戻し、この他、間接の取引先(商品等の卸売業者、製造業者等)に支払う飛越しリベート等とされるもの
④ 海上運送事業を営む事業者が支払う船舶の早出料
⑤ 販売奨励金等のうち、事業者が販売促進の目的で販売奨励金等の対象とされる課税資産の販売数量、販売高等に応じて取引先に対して金銭で支払うもの
⑥ 協同組合等が組合員等に支払う事業分量配当金のうち、課税資産の譲渡等の分量等に応じた部分
⑦ 課税資産の譲渡等に係る対価をその支払期日より前に支払を受けたこと等を基因として支払われる売上割引
2 調整を行う時期とは
当初の課税資産の譲渡等を行った課税期間でなく、売上げに係る対価の返還等を行った課税期間において調整を行います。
3 控除方法とは
課税標準額に対する消費税額から売上げに係る対価の返還等に係る消費税額を控除します。
ただし、課税資産の譲渡等の金額からその売上げに係る対価の返還等の金額を控除する経理処理を継続して行っているときは、この処理も認められます。
4 適用税率を確認します
返還等の金額に適用税率を乗じて消費税額を算出します。
標準税率の場合は「税込返還額×110分の7.8」、軽減税率の場合は「税込返還額×108分の6.3」など、該当期間・税率に応じた計算が必要です。
つまり、返還等が生じた売上に適用した税率を確認し、正しい税率で控除しているかチェックします。
5 簡易課税制度を選択している場合においても、税額控除をします
6 次の帳簿記載ルールをチェックします
① 相手方の氏名または名称
② 返還等の年月日
③ 返還等の内容 返品・値引き・割戻し等の内容(軽減税率対象品目の場合はその旨)
④ 金額
7 軽減税率と標準税率の売上げの一括譲渡に係る値引き等については、次の区分によりチェックします
① 交付するインボイスなどに記載した適用税率ごとの値引額または値引額控除後の対価の額
② ①の記載がない場合は、対価の額の比により区分した額
(国税庁 タックスアンサー No.6359、公益財団法人日本税務研究センター「自己診断チェックリスト」)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
夏至の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
クライアントに提案したいのは節税ではなく、より良い人生です。
[編集後記]
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