水曜日は、税理士の視点から事業承継を記事にしています。

納税猶予割合が100%となる「新事業承継税制」とはどのようなものかを紹介しています。

 

今回は、そもそも事業承継税制とはどういう場合に利用するのかを考えます。

「新事業承継税制とは中小企業の株式を贈与・相続により移転する際に活用する制度です」

新事業承継税制の8回目です。

 

新事業承継税制の活用方法

中小企業の経営者に事業継続の意思があり、かつ後継者がいる場合に、その自社株式をどう後継者に移転するか?という場合に、この税制の活用を検討します。

経営者に事業継続の意思がなければ、事業を清算した上で、残余財産をあればその分配を行います。一方、経営者に事業継続の意思があり、かつ後継者がいなければ、そのオーナーから外部資本へ会社を売却するM&Aという手法を活用することになります。

 

経営者に事業継続意思が「あり」、かつ後継者「いる」の場合には移転方法は3つあります

1 譲渡(売買)

2 贈与

3 相続

移転方法の中で、事業承継税制は2と3の贈与・相続に活用する制度だと理解できます。

 

次に移転方法を順に検討します

1 譲渡(売買)

経営者が所有する株式を譲渡する場合には、買主側は個人または法人のどちらかになります。

①買主が個人(後継者)の場合

・後継者である個人に、買い取り資金の負担が生じます。

②買主が法人の場合(後継者が間接所有することになります)

・買い手である法人(HD等)に、買い取り資金の負担が生じます。

・個人での買い取りに比較して、法人の場合は買い取り資金が高くなります(法人税法上の時価で購入します。その場合には相続税評価額よりも高くなります)。

 

売主である経営者の税金は、買主が個人または法人にどちらに譲渡しても、所得税がかかります。所得税は次のような計算をします。

収入金額 -( 取得費 + 譲渡費用 )×20.315%

 

2 贈与

経営者が所有する株式を後継者に贈与する方法です。次の2方法があります。

贈与とは無償譲渡ですが、後継者に贈与税の資金負担が生じます。また、遺留分に配慮する必要があります。

①暦年贈与の場合 

・後継者には次のとおり贈与税の負担が発生します。また、一度に贈与すると多額の贈与税が発生します。 → 贈与税 累進税率(10%~55%)

②相続時精算課税贈与の場合

・贈与時は(贈与金額-2,500万円)×20%で、相続時には相続税が累進税率で課税されます(贈与時に生じた贈与税は相続税から控除します)。

・相続時の計算の際の評価は、贈与時の評価により行います。

・ただし、経営者と後継者との間の暦年贈与は不可になります。

 

3 相続

被相続人(経営者)の死亡により相続人(後継者)に株式が移転します。譲渡(売買)や贈与とは違って、株式の移転時期はわかりません(選択できません)。

・相続時評価により相続税を計算することになります。

・遺産分割の際に、自社株式が後継者以外に分散する可能性があります。

・相続人に相続税の負担が生じます。→ 相続税 累進税率(10%~55%)

 

経営者に事業継続意思が「あり」、後継者「いる」の場合には移転方法は3つ。

その方法のメリットとデメリットをまとめると次のとおりです。

■譲渡のメリットとデメリット

経営者は譲渡代金を受け取ることができます。しかし、後継者はそのための資金を調達する必要があります。

■贈与のメリットとデメリット

経営者は後継者へ無償で株式を移転することができます。しかし、贈与税が課税されます。

■相続のデメリット

いつ発生するか分かりません。相続税が課税されます。

 

新事業承継税制は、このうち贈与と相続による株式移転の税負担を解消する制度です。

反面、そのルールはしっかり定まっています。

納税猶予を受けて、その間に円滑に事業承継が行うことができるのであれば、メリットがあります。

 

認定経営革新等支援機関として、特例承継計画の作成を支援しております。

 

Every day is a new day!

みなさん、今日も春の1日を元気にお過ごしください。

 

水曜日は「新事業承継税制」を紹介しています。

https://www.y-itax.com/category/shokei/

 

新事業承継税制について

① 平成30年1月1日からの贈与・相続について適用されます

② そもそも事業承継税制とはいったい何なのか?

 非上場株式等の贈与税等の納税猶予及び免除~新旧制度の比較

④ 納税猶予を受けるための手続(その1)~贈与税の申告まで

⑤ 非上場株式等の贈与税の納税猶予を受けるための手続(その2)~贈与税申告の後

⑥ 納税猶予を受けるための手続(その1)~相続税の申告まで

⑦ 納税猶予を受けるための手続(その2)~相続税申告の後

 

事業承継・税理士の視点

① 相続と事業承継の相違はそもそも何か? 

② 事業承継に公的支援がされるのはなぜか?   

③ 「堀金箔粉」~京都老舗の事業承継のルールとは。   

④ 「誰に事業を承継させるのか?」~親族内承継、従業員承継、M&A  

 

 

「同族会社とその役員間の税務ルール」を紹介しています。

https://www.y-itax.com/category/houjin/

あてはまる事例を参考にしてくださいね。

 

土地貸借の税務ルール

・「会社が、社長から土地を借りる」と税金の問題が発生します」はこちら(1/24)

・「会社が権利金を支払うケース」はこちら(1/31)

・「会社が相当の地代を支払うケース」はこちら(2/7)

・「権利金に代えて、相当の地代に満たない地代を支払うケース」はこちら(2/21)

・「無償返還に関する届出書を提出すると認定課税は行われません」はこちら(2/28)

 土地売買の税務ルール

・「会社が社長から土地を買う。その時の時価をどう算定するか」はこちら(12/13)

・「会社が社長から土地を買う。社長と会社の税金はどうなりますか?」はこちら(12/20)

・「会社が、社長から低額で土地を買うと税金の問題が発生します」はこちら(12/27)

・「会社が、社長から高額で土地を買うと…」はこちら(1/3)

・「社長が、会社から低い価額で土地を買うと…」はこちら(1/10)

・「社長が、会社から時価より高い価額で土地を買うと…」とはこちら(1/17)

建物貸借の税務ルール

・「会社が社長から建物を借りる」はこちら(10/11)

・「会社が社長から建物を借りる、社長の税金」はこちら(10/18)

・「社長が会社から建物を借りる、家賃のルール」はこちら(10/25)

・「社長が会社から建物を借りる、低額家賃の場合」はこちら(11/1)

 金銭貸借の税務ルール

・「会社が社長からお金を借りる」はこちら(11/8)

・「会社が社長からお金を借りる、高金利の場合」はこちら(11/15)

・「会社が社長からお金を借りる、無利息の場合」はこちら(11/22)

・「社長が会社からお金を借りる」はこちら(11/29)

・「社長が会社からお金を借りる、無利息の場合」はこちら(12/6)

 

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