「課税事業者選択届出書」の適用開始期間の記載を忘れていた?書き間違えていた? ~ インボイス制度 消費税[672]

消費税の記事を掲載します
新規開業の場合の届出書の効力発生時期は、提出日の属する課税期間か翌課税期間かのいずれかを任意に選択できます
を紹介します。
「課税事業者選択届出書」とは
事業者が、基準期間における課税売上高が1,000万円以下である課税期間においても納税義務の免除の規定の適用を受けないこと、すなわち、課税事業者となることを選択しようとする場合に提出するものです。
「課税事業者選択届出書」の提出時期
届出書の効力は、提出した日の属する課税期間の翌課税期間から生じます。
したがって
課税事業者となることを選択しようとする課税期間の初日の前日までにこの届出書を提出しなければならないことになります。
ただし、新規開業した事業者は
その開業した課税期間の末日までにこの届出書を提出すれば、開業した日の属する課税期間から課税事業者を選択することができます。
さらに新規開業事業者は適用時期を選択できます
新規開業の場合には、提出日の属する課税期間から課税事業者となることができますが、事業者によっては開業1期目は設備投資の予定はなく、2期目に設備投資を予定しているようなケースも想定されます。
そこで、新規開業などの場合の届出書の効力発生時期については、提出日の属する課税期間が翌課税期間かのいずれかを任意に選択できます。
いずれの場合にしても、届出書は1期目の課税期間中に提出しなければなりません。
<参考1>
消費税法基本通達1-4-14
(事業を開始した課税期間の翌課税期間からの課税事業者の選択)
「事業者が課税事業者選択届出書を提出した場合には、当該課税事業者選択届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間以後の課税期間(その基準期間における課税売上高が1,000万円を超える課税期間を除く。)について、課税事業者を選択できるのであるから、当該課税事業者選択届出書を提出した日の属する課税期間が令第20条各号《事業を開始した日の属する課税期間等の範囲》に規定する課税期間に該当する場合であっても、当該課税期間の翌課税期間から課税事業者を選択することもできることに留意する。
(注)この場合、事業者は、当該課税事業者選択届出書において適用開始課税期間の初日の年月日を明確にしなければならない。」
<参考2>
消費税課税事業者選択届出書の適用開始課税期間の記載誤りにより還付不能消費税額が発生したケース
1 税理士は令和3 年8月に資本金1,000万円以下で設立された依頼者法人が令和4 年6月に太陽光発電設備を取得したことに伴う消費税還付を受けるため消費税課税事業者選択届出書の提出を依頼されたことにより関与を開始した。
2 しかし、税理士は、消費税課税事業者選択届出書の適用開始課税期間を本来は令和4 年9期より適用とすべきところ、誤って令和5年9月期から適用と記載して提出した。
3 令和5年2月、依頼者法人から、令和4年9月期の消費税の還付がないことについて問い合わせを受け、提出した消費税課税事業者選択届出書の適用開始課税期間の記載誤りが発覚した。
(出所:税理士職業賠償責任保険事故事例「5」)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
春の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
[編集後記]
ブログは、曜日によりテーマを決めて書いております。
月曜日~木曜日に、おもに消費税の記事を書いております。
金曜日は公益信託の記事を掲載しております。
土・日・祝日は、ブログをお休みしております。
・「贈与や相続・譲渡など資産税」または「確定申告などの所得税」
・「公益信託」
免責
ブログ記事の内容は、投稿時点での税法その他の法令に基づき記載しています。
また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。
本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。