井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2025.06.12.Thu | 消費税

小売業など少額の売上げを大量に繰り返す業種において、売上税額の計算の「積上げ計算」を検討しましたか? ~ インボイス制度 消費税[692]




消費税の記事を掲載します






少額の領収金額を頻繁に受け取る小売業、飲食業などで、なぜ売上税額の計算において「積上げ計算」がなぜ有利になるのでしょうか?






を紹介します。




スーパーマーケットなどの小売業やカフェなどの飲食業では、販売する際の消費税額の端数処理の影響で、「積上げ計算」のほうが有利になることがあります。


たとえば


ハンバーガーショップのケース




1個当たりの販売価格780円(うち消費税額等57円)のハンバーガーを10,000回販売

(1回で10,000個の販売ではなく、1個のハンバーガーを10,000回販売した場合)


売上高 780円(税込み)×10,000個=7,800,000円

消費税 57円×10,000個=570,000円


※ ハンバーガー 780円×8/108=57.7777… → 57円(1円未満切り捨て)





消費税の納付税額の計算方法は次のとおりです




納付税額=(1)売上にかかる消費税額-(2)仕入などにかかる消費税額

売上にかかる消費税額は、「積上げ計算」または「割戻し計算」のいずれかの方法を選択することができます。





<参考>

→ 売上税額の税額計算は、割戻し計算が原則。特例は積上げ計算。特例が有利です





A:割戻し計算とは




税率ごとに区分した課税期間中の課税資産の譲渡等の税込価額の合計額に、108分の100または110分の100をかけて税率ごとの課税標準額を算出し、それぞれの税率をかけて売上税額を算出します。




B:積上げ計算とは




相手方に交付したインボイスの写しを保存している場合には、これらの書類に記載した消費税額を積上げた金額を売上税額とします。




今回のケースでは




■ 割戻し計算


7,800,000円(税込売上高)×100/108=7,222,222円→7,222,000円(千円未満切捨)

7,222,000円×8%=577,760円




■ 積上げ計算


57円×10,000回=570,000円

インボイス記載の消費税額57円を10,000回積み上げた金額です。




比べると、売上に対する消費税額が少ないほうが、納付税額は少なくなります。積上げ計算を選択したほうが有利といえます。


一方、仕入に対する消費税額も同じにように計算して、有利な方法を選択します。

しかし、インボイス制度において、売上税額を積上げ計算した場合は仕入税額も積上げ計算をしなければならないルールです。


売上税額の計算で積上げ計算が有利であっても、仕入税額の積上げ計算にあたっては事務負担が重くなります。総合的に検討します。




今回、「積上げ計算」のほうが有利になった理由は






消費税額を計算する際の端数処理にあります。


消費税額を計算する場合に、発生する1円未満の端数の処理方法(切捨て、切上げ、四捨五入)は、任意に選択できますが、「切捨て」が有利です。


つまり


積上げ計算はインボイスに記載された消費税額を積み上げるため、販売時の端数処理により切捨てられた消費税額は、売上にかかる消費税額にはカウントされません。




一方、「割戻し計算」は税込売上高の合計額をもとに売上に対する消費税額を計算します




この方法では、販売時の端数処理により切捨てられた10,000回分の消費税額(7,760円)が合算されます。


小売業など少額の売上げを大量に繰り返す業種において、実際に受け取った消費税額よりも大きくなることがあります。







「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」

(ピーター F.ドラッカー)

芒種の1日、朗らかにお過ごしくださいね。








クライアントに提案したいのは節税ではなく、より良い人生です。





[編集後記]





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