納付税額または還付税額の経理処理(税込経理方式と税抜経理方式) ~ インボイス制度 消費税[715]

消費税の記事を掲載します。
消費税の経理処理は税抜経理方式と税込経理方式とがあります。どちらの方式を選択してもよいことになっています
を紹介します。
それぞれの方式を選択適用した場合の納付すべき税額または還付を受ける税額の経理処理は異なります。
A:税込経理方式を選択適用した場合
税込経理方式を選択適用した場合には、課税売上げに対する消費税の額は収入金額または収益の額に含まれます。また、課税仕入れに対する消費税の額は仕入金額や経費などの額に含まれます。
このため
納付すべき消費税の額は、租税公課として必要経費または損金の額に算入します。還付を受ける消費税の額は、雑収入として総収入金額または益金の額に算入します。
この場合の納付すべき消費税の額および還付を受ける消費税の額の計上時期は、原則として次のとおりです
① 申告に係るもの
その申告書が提出された日の属する年または事業年度
② 更正または決定に係るもの
その更正または決定があった日の属する年または事業年度
ただし
個人事業者は
申告期限未到来の納税申告書に記載すべき消費税の額を未払金または未収入金に計上した場合には、その計上した年の必要経費または総収入金額に算入することができます。
法人は
申告期限未到来の納税申告書に記載すべき消費税の額を損金経理により未払金に計上した場合または収益の額として未収入金に計上した場合には、その計上した事業年度の損金の額または益金の額に算入します。
B: 税抜経理方式を選択適用した場合
消費税が課される取引については税抜金額で計上し、課税売上げに対する消費税の額は仮受消費税とし、また、課税仕入れに対する消費税の額は仮払消費税とします。
原則として
納付すべき税額または還付を受ける税額は、その課税期間の仮受消費税の金額から仮払消費税の金額(控除対象外消費税等に相当する金額を除きます。)を控除して計算します。所得税または法人税の課税所得金額には影響しません。
その課税期間を含む年または事業年度において、納付すべき税額は未払消費税として、還付を受ける税額は未収消費税として計上します。
こうしたところから
税込経理の場合、還付税額が発生した場合は、法人税法上、当期または翌期の益金になりますが、税抜経理への変更を検討することも必要になります。
また、税抜経理に変更する理由には次のような理由もあります。
① 損益管理の正確性
税抜経理方式は、消費税を常に本体価格から分離して記帳します。損益を正確に把握することができます。営業成績を明確にすることができます。
② 消費税納税の予測や資金繰り管理がしやすい
消費税の納税・還付額が帳簿上で明確になります。資金繰り計画や納税準備が容易になります。
③ インボイス制度、取引先要請への対応
インボイス制度に伴い、会計処理で消費税額の明確な管理が求められるようになりました。税抜経理での報告や資料作成が必要となるケースがあります。
(国税庁:タックスアンサー 消費税No.6901 )
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
大暑の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
クライアントに提案したいのは節税ではなく、より良い人生です。
[編集後記]
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