「公益信託制度の施行準備に関する研究会」の公益信託認可ガイドライン案の「コンプライアンスの確保とガバナンスの水準」や「信託報酬の考え方」について ~ 公益信託[44]

公益信託の記事を掲載します。
第6回の研究会では「第3章公益信託認可基準等」において「コンプライアンスの確保とガバナンスの水準」や「信託報酬の考え方」について各委員から意見が出ています
を紹介します。
公益信託認可ガイドラインガイドラインは令和7年12月の策定予定です。
各委員からの意見は次のとおりです
① 「受託者の重要な意思決定」とは何か?
「受託者の重要な意思決定」とあるが、この範疇がどこまでなのかに関してコンセンサスが得られているだろうか。信託行為の終了や変更は重要な意思決定であると考えられる一方で、奨学金の助成対象選定は重要な意思決定には含まれないと考えられる。
日常的な活動も受託者の重要な意思決定に含まれる認識と考えられている参与もいらっしゃると感じた。
② どのような活動にコンプライアンスの確保、事務の適正性の確保を求めるのか?
コンプライアンスの確保、事務の適正性の確保ということは、利益相反や公益を称した私益的活動をカバーするべきであり、カバーの範疇に公益信託の受託者による様々な活動の展開は含めなくて良いのではないか。コンプライアンスの確保や事務の適正性というと、そのカバー範囲がいたずらに広がってしまうことを懸念する。
③ そもそも公益信託に公益法人と同じガバナンスの水準が必要か?
公益法人と同じようなガバナンスの水準を公益信託に求めるのであれば、公益法人と公益信託という同じような制度を二つ作ることの意味があるのだろうか。一般市場は、ベンチャー企業も良い企業もそうでない企業もたくさん出てくる中で成長するのであり、諸外国に比べてただでさえ日本の公益信託は規制が強い中で、公益法人と同様のガバナンスの水準を求めることは民間による活力ある社会に向けた活動を過度に規制することにならないか。
④ 信託報酬についての考え方
信託報酬について、不当に高額でなければよいという整理は妥当だと考える。比較的規制の中では許容度が高い方であると感じた。恐らく、株式会社が受託者になる場合、株式会社の前提として利益を最大化することが義務付けられていることと、受託者としての忠誠義務の間で方向性の違いが出てくるだろう。
その観点からも、「不当に高額である」という基準に関して、ガイドラインの中で想定される受益者の利益を最大化が受託者の義務であることを前提として書くべきであると思う。
今後大規模に株式会社が共同受託するケースなどがありうるため、そういった点でも受託者の義務を打ち出すべき。信託報酬の基準自体は緩くてよいと思うが、その内訳などを、公開性を高める形で規制する方向性が妥当だと考える。
⑤ 委託者と受託者に特別な関係がある場合の信託報酬について
信託報酬について緩い基準とすることには賛成だが、委託者と受託者に特別な関係がある場合はその基準では緩すぎるのではないかと意見書に記載されている参与がいらっしゃり、同感である。委託者が親、受託が子の場合には、贈与税の潜脱を目論んでいるという疑義が持たれるだろう。
⑥ そもそも不当に高額というのが何を指すのか分からない?
不当に高額なものについて説明を求めること自体には異論がないが、そもそも不当に高額というのが何を指すのか分からない。一般的な相場を逸脱しているという意味だと思うが、信託における費用は信託財産から出すことができることを前提に、信託契約に記載されている信託報酬を得ることができる。
受託者である会社としては、ビジネスの相場の中で報酬が決まるわけだが、従来は営利企業としての水準が満たされていなかったことが課題であった。今回の制度改正により新しく公益信託に参入するプレーヤーにとっては、信託報酬の相場を示すことは難しいと感じる。
⑦ 複数受託者がいる場合の信託報酬について
複数受託者がいる場合、それぞれの信託報酬の配分は明かさないこともありうるが、これは例外的に認められる取り扱いとすべきである。株式会社全般に信託報酬の配分を明かさないことを認めるということでなく、例えば信託銀行であれば社会的な信頼もあり、その点は例外として考えることが妥当である。
⑧ 「信託報酬」と「公益事務費用」についての考え方
信託報酬の中に公益事務の費用が含まれる場合があるという議論があるが、本来の信託法の建付けでは、報酬は報酬、費用は費用と分けられている。
その上で、実務上信託報酬の中に費用が含まれる場合もあるため、内訳を明示するのだと理解した。費用が信託報酬に含まれる場合に、「不当に高額」かどうかをどのように確認するのかは悩ましい。
⑨ 営利企業の注記について
営利競合の注記が、公益法人のガイドラインから流用されている。昨年のガイドライン研究会からの流れを踏まえて、営利企業についても時間はないと思うが検討していただきたい。
⑩ 情報開示の適正性について
情報開示の適正性については、信託財産が重要な指標なため、公益法人とは別の基準が必要と考える。
公益信託法では会計監査人監査の規定がない中で、どのような意見を求めるかは、今後検討が必要であると思われる。また、公認会計士によるチェックについては、必要な手続きの明確化と公認会計士業務との関係の整理が必要であり、信託管理人と受託者の経理的基礎、受託者のガバナンスレベル、信託財産の規模などとの関連を整理して、要件を示した方が良いと考える。
(出所:第6回会議関係資料 内閣府公益法人行政担当室)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
処暑の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
クライアントに提案したいのは節税ではなく、より良い人生です。
[編集後記]
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