公益法人(公益社団法人と公益財団法人)が承認基金を設置するための手続き ~ 公益信託[53]

公益信託の記事を掲載します。
公益信託の受託者が特例を受ける場合、公益社団法人や公益財団法人と同様に承認基金で管理する方法が必要。公益法人の承認基金設置の手続きとは?
を紹介します。
承認特例および特定買換資産の特例を受けるためには、承認特例の場合は寄附前に、特定買換資産の特例の場合は40条1項対象資産を譲渡する前に、公益法人において、告示に定める要件を満たした基金を設置し、行政庁が要件の確認をした証明を受ける必要があります。
行政庁への申請に当たっては、証明申請書とともに、告示に定める要件を規定した基金規程(基金明細書の様式を含みます。)などを提出することとなります。
公益法人における基金の要件(ルール)は次の5つです
① 基金が他の経理と区分して整理されていること
また、基金に関する経理書類として、⑤にある基金明細書を作成すればよく、正味財産増減計算書や貸借対照表の中で区分して経理されることまでが求められるものではありません。
② 基金が公益社団法人および公益財団法人の認定等に関する法律第2条第4号に規定する公益目的事業に充てられることが確実であること。
③ 基金に組み入れた財産の運用によって生じた利子その他の収入金(当該収入金をもって取得した資産を含む。)を、この基金に組み入れることとしていること。
④ 基金への財産の組入れ、基金に組み入れた財産の運用、基金に組み入れた財産の運用によって生じた利子その他の収入金の使途など基金の管理および運用に関する重要事項について審議する合議制の機関を設置していること。
⑤ 基金に組み入れた財産の種類、贈与をした者の財産の取得価額、財産の贈与等の時における価額(贈与等に係る財産の譲渡をし、譲渡による収入金額の全部に相当する金額をもって資産を取得した場合には譲渡による収入金額、当該資産の種類及び取得価額を含む。)およびその他参考となるべき事項を記載した基金明細書であって監事の監査を受けたものを、毎事業年度終了後3か月以内に、行政庁に提出するとともに、その写しを作成した日の属する事業年度の翌年度の開始の日から5年間、当該公益法人の主たる事務所の所在地に保存することとしていること。
2 基金の証明申請に当たっての提出書類は次のとおりです
① 証明申請書
② 基金規程(基金明細書の様式を含む。)
③ 合議制の機関の名簿(合議制の機関を理事会以外にする場合に限る。)
3 基金規定のイメージは次のとおりです
基金規程(イメージ)
(設置)
第1条 〔法人の名称〕(以下「本法人」という。)に、○○基金(以下「基金」という。)を置く。
(目的)
第2条 基金は、本法人における○○○○に資することを目的とする。
(事業)
第3条 基金は、前条の目的を達成するため、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第2条第4号に規定する公益目的事業に充てることとする。
(基金の構成)
第4条 基金は、寄附者が基金に組み入れることを指定した寄附財産及びその運用益その他〔合議制の機関の名称〕において受入れることを決定した財産をもって構成する。
(財産の受入れ)
第5条 基金に係る財産の受入決定は、〔合議制の機関の名称〕の受入審査を経て理事会が行う。
(基金の支出方針)
第6条 基金内の財産の用途及び運用益の用途については、〔合議制の機関の名称〕において決定する。
(基金明細書)
第7条 基金については、別記様式に定める、基金の状況等を明らかにした基金明細書を作成し、毎事業年度終了後3月以内に、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第3条に規定する行政庁に提出するとともに、その写しを作成した日の属する事業年度の翌年度の開始の日から5年間、本法人の主たる事務所に保存することとする。
(基金の管理運営)
第8条 本規程で定めるもののほか、基金の管理及び運用に関する事項については〔合議制の機関の名称〕において決定する。
(事業年度)
第9条 基金の事業年度は、毎年○月○日に始まり、翌年○月○日に終わるものとする。
(事務局)
第10条 基金に、基金の管理及び運用に関する事務の遂行のために、事務局を置く。
2 事務局の組織及び業務運営に関しては、別に定める。
(出所:「公益社団法人・公益財団法人に対する個人からの現物資産寄附のみなし譲渡所得税非課税承認~証明申請等の手引き~」令和2年5月28日現在)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
白露の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
クライアントに提案したいのは節税ではなく、より良い人生です。
[編集後記]
消費税の記事はおやすみしました。
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