公益信託の会計について「公益信託の信託帳簿として具体的に何を求めるか?」 ~ 公益信託[61]

公益信託の記事を掲載します。
「第8回公益信託制度の施行準備に関する研究会(9/24)」でこれらの事項について事務局対応方針案が提出されています
を紹介します。
「信託帳簿」として具体的に何を求めるか
読替信託法37条1項の規定に規定する書類(信託帳簿)は、公益信託法に基づく備置き・公表等の対象となります。
事務局対応方針案は次のとおりです。
1 貸借対照表および損益計算書等を適正に作成する上で、必要とされる項目(日付、勘定科目、金額等)が網羅的に組み込まれている帳簿を作成することが求められる。
具体的には、公益信託事務期間の全仕訳を勘定科目毎に集計し、期首残高に加減することで期末残高を表示する帳簿が該当し(合計残高試算表)、貸借対照表および損益計算書は当該帳簿に基づき作成されなければならない(合同命令29条3項)。
2 なお、当該帳簿(合計残高試算表)が作成されていない場合には、次の(1)又は(2)の書類を信託帳簿として扱うことも可能である。
(1)公益信託事務期間における、全ての取引を日付順に、借方勘定及び貸方勘定の各科目とその取引金額、摘要欄を網羅的に備えた帳簿(仕訳帳)
(2)(1)の帳簿から各勘定科目毎に取引を抽出し、日付と相手勘定名、取引金額を備えた帳簿(総勘定元帳)
公益信託の会計を適正に処理するためには、上記の「信託帳簿」だけでは十分ではなく、仕訳帳・総勘定元帳(信託帳簿として作成される場合を除く。)、現金預金出納簿・有価証券管理台帳・固定資産台帳・賃金台帳等の作成が必要となる。
これらは、読替信託法37条5項に基づき作成・備置きが求められる(信託管理人による閲覧請求は可能だが、公益信託法に基づく公表等の対象とはならない)
これを受けて委員から次のような意見が出ています
信託帳簿について P.20
A:「第5章信託帳簿について、信託帳簿は信託財産にかかる帳簿と定義されているが、合計残高試算表は通常の会計上会計帳簿とは言わない。帳簿から作られるものが合計残高試算表であり、帳簿はその前段階を示している。
加えて、
『合計残高試算表が作成されていない場合は
(1)公益信託事務期間における、全ての取引を日付順に、借方勘定及び貸方勘定の各科目とその取引金額、摘要欄を網羅的に備えた帳簿(仕訳帳)又は
(2)(1)の帳簿か勘定科目毎に取引を抽出し、日付と相手勘定名、取引金額を備えた帳簿(総勘定元帳)のいずれかの書類を信託帳簿として扱う』
とあるが、会計上ではその2つの組み合わせこそが帳簿と呼ばれるものであり、最低限必要なものという認識である。
したがって『又は』ではなく『及び』とするべきではないか。会計帳簿と信託帳簿が違うという前提(整理)のもとでは、(1)又は(2)でもいいというのも理解できるが、『帳簿』という文言を合計残高試算表として使うのは飛躍しているのではないか。」
B:「帳簿の類を仕訳帳や元帳まで全部行政庁に提出させ、信託帳簿に関しては公開するというのは、企業会計を基準に考えれば異常な水準であると従来から指摘しているところ、実現可能な形で規定すると政令府令のパブリック・コメントでも回答いただいている。
会計ソフトにより合計残高試算表が作成されない場合でも仕訳帳や総勘定元帳をもって信託帳簿に代えるということであれば問題ないと考える。」
C:「信託帳簿について、そもそも帳簿を開示するということ自体いかがなものかとも思うが、法令上定義されていることであり、『公益信託においては合計残高試算表が信託帳簿なのである』と定義することはやむを得ないと思う。
信託帳簿を開示する受託者側の負担も勿論あるが、開示されたものを確認することも相当に負担になるのではないか。だからこそ、信託帳簿について厳密に定義をすることが必要である。」
(出所:第8回会議関係資料 内閣府公益法人行政担当室)
『変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。』
(ピーター・F.ドラッカー)
霜降の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
[編集後記]
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