井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2025.10.31.Fri | 公益信託

「軽量な公益信託について」ガイドライン案について【委員からの意見】~ 公益信託[65]




公益信託の記事を掲載します。






「第9回公益信託制度の施行準備に関する研究会(10/14)」で「軽量な公益信託について」各委員の考え方が示されています






を紹介します。




研究会においてガイドライン素案(イメージ(全体))が提示されています。

このうち事務局から軽量な公益信託の考え方が示されています。これを踏まえた各委員からの意見は次のとおりです。




A:




「軽量な公益信託の考え方には賛成するが、2点指摘する。

1点目として、公益法人との並びを取る必要がある。公益法人と何が違うから軽量化できると、公益法人との規制の程度の違いの理由説明や定義付けが必要ではないか。『②信託行為に定める公益事務の内容が明確かつ具体的であること』に比べ、『③事業が単一であること』は広く事業を書き込めてしまい、基準としての実効性はないのではないか。収益事務をするのであれば会計上の対応が必要であることから、公益法人制度との整合性の意味では、最低限、収益事業が行われないことを厳格に要求しなければならないと思う。

もう一点は、『信託財産が1億円を超えない公益信託』という基準について、現在は信託銀行が中心の受託を前提としていろいろな形でガバナンスが確保された、1億円までの規模を持つ単一な公益事業が統計的に多い。しかし、今後は事業内容も受託者類型も変化すると思われ、この統計をもとに意思決定するのが適当とは言いがたい。1億という基準は反対でないが、合理的な説明が難しいと考えられる。」




B:






「信託財産が1億円を下回るという基準は当初拠出額と期首期末のどちらで確認するのか、また一瞬でも信託財産が1億円を超えることがないようにしなければいけないのか等、明示する必要がある。

信託財産の1億円という基準については、公益事務の収益・費用の3000万円との比較でいうと、この水準がそんなに大きいとも小さいとも言えないところ、取引の感覚としても区切りとなり、それなりに根拠があるものだと感じられる。」




C:




「現在の公益信託財産は1億円までのものが8割というデータが出ている。新しい制度上どうなるかは分からないが、今回のガイドラインの対象を考える上では8割程度を占める軽量な公益信託がメインターゲットと想定されるのではないか。

 現在のガイドライン上で、軽量な公益信託の記載は散在しているため、読みやすさの観点から、一か所に集約する必要があると思われる。また、小さな団体はガバナンスが弱く、信託行為もあいまいであるが、一方で厳しくすると事業の運営が難しくなるという問題がある。そのような小さな組織に対して行政庁がどのように規制し、関与していくのかが重要である。」




D:




「軽量の公益信託の定義について、ガバナンスや会計の効果からこのような記載になっており、公益法人と同じ枠組みであると理解している。一方で、資料4のp.9記載の、普通の公益信託および大規模な公益信託の計算書類の承認について、そこまでのガバナンスが必要とは思えない。もし記載するのであれば『そのようなやり方が考えられる』程度の書き方にとどめるべきではないか。

p.10の『公認会計士又は税理士の関与』を求めると、会計監査まで話が及んでしまうので、断定的な記載にすべきではない。同様に、p.11の『公認会計士によるチェックの必要性』に言及すると、どのような手続きが必要かまで議論が及んでしまうので、現段階では『望ましい』程度の記載にすべきではないか。」




E:




「資料1の軽量の定義について、具体的な定義に関する設定については異論ないが、要件判断の在り方に困難が生じると思う。軽量の意味は、受託者のガバナンスをどう定めるかというところにあるから、信託行為の定め方および公益信託認可において、受託者のガバナンスを判断する際に問題となると思われる。

しかし、毎年度末の貸借対照表を参考とするということであれば、①の要件については、認可時にはそれら資料を入手できないため、軽量な信託に該当するか判断できないのではないか。したがって公益信託認可をする段階では、貸借対照表がない状態で信託財産額を想定して判断をすることとなるだろう。

例えば、最初の想定では一定規模を下回る想定であったが、実際に信託を組成したところ寄附の受け入れ額が大きくなったなどの事情で信託財産が1億円を超えてしまった場合、どういう対応をするのか。

その場合、いきなり公益信託の取り消しとはならずに、行政庁による何らかの監督が入るのだと思うが、例えば来年度末には1億円を超えないよう信託財産の支出を指示する、あるいは信託行為の変更を通じて軽量でない公益信託に必要なガバナンス等体制整備を要求していくことが考えられる。そういった対応について、ガイドラインに書き込んでいくことは必要ではないか。」




F:




「資料4中p.9の計算書類の作成について社員総会等による承認を不要とすべきと意見していたが反映されないのか、検討いただきたい。

もう一点、信託管理人が重要な意思決定について承認するというが、信託管理人には、事業を遂行する側ではなくチェックする側という議論もあった。制度構築の多様性については、信託行為の中の多様性として許容されるべきであり、監事型の信託管理人のあり方を模索するべきではないか。」




G:




「計算書類の作成に当たっては、法人で総会や理事会でしかるべき決議をとるべきと思っている。また、軽量な公益信託の説明についてはオーバースペックになる可能性もあり、ガイドラインでうまく抽出して記載すべきではないか。」







(出所:第9回会議関係資料 内閣府公益法人行政担当室)






「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。

(ピーター・F.ドラッカー)

霜降の1日、朗らかにお過ごしくださいね。










[編集後記]





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