相続時精算課税選択の注意点について ~ 贈与や相続・譲渡など資産税[181]

個人の税金の記事を掲載します。
相続税のかからない親の場合は、相続税の基礎控除額の先取りとなる「相続時精算課税」
を紹介します。
先日、お客様から「相続時精算課税」について照会がありました。
相続時精算課税度とは
60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫などに対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。
この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に一定の書類を添付した「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があります。
相続時精算課税の適用を選択すると暦年課税に戻れません
この制度は贈与者(父母または祖父母など)ごとに選択できます。
一度選択すると、その選択に係る贈与者(「特定贈与者」といいます。)から贈与を受ける財産(「相続時精算課税適用財産」といいます。)については、その選択をした年分以降すべてこの制度が適用され、「暦年課税」へ変更することはできません。
選択適用できる対象者は
贈与者は贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母または祖父母です。
受贈者は贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の者のうち、贈与者の直系卑属(子や孫など)である推定相続人または孫とされています。
適用対象財産について
贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はありません。
贈与税額の計算について
相続時精算課税適用財産については、その選択をした年分以後、特定贈与者以外の者からの贈与財産と区分して、1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額を基に贈与税額を計算します。
その贈与税の額は、特定贈与者ごとに、1年間に贈与を受けた相続時精算課税適用財産の価額の合計額(課税価格)から、相続時精算課税に係る基礎控除額110万円を控除し、特別控除額(限度額2,500万円。前年以前において、既にこの特別控除額を控除している場合は、残額が限度額となります。)を控除した後の金額に、一律20パーセントの税率を乗じて算出します。
なお、相続時精算課税を選択した受贈者が、特定贈与者以外の者から贈与を受けた財産については、その贈与財産の価額の合計額から暦年課税に係る基礎控除額110万円を控除した後の金額に、贈与税の税率を適用し、贈与税額を計算します。
相続税額の計算は次のとおりです
相続時精算課税を選択した受贈者に係る相続税額は、特定贈与者が亡くなった時に、それまでに贈与を受けた相続時精算課税適用財産の価額と相続や遺贈により取得した財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めた相続時精算課税に係る贈与税相当額を控除して算出します。
その際、相続税額から控除しきれない相続時精算課税に係る贈与税相当額については、相続税の申告をすることにより還付を受けることができます。
なお、相続財産と合算する相続時精算課税適用財産の価額は、原則として贈与時の価額(令和6年1月1日以後の贈与により取得した相続時精算課税適用財産については、贈与を受けた年分ごとに、相続時精算課税適用財産の贈与時の価額の合計額から相続時精算課税に係る基礎控除額を控除した残額)とされています。
申告の方法について
相続時精算課税を選択しようとする受贈者(子または孫など)は、その選択に係る最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、「相続時精算課税選択届出書」を受贈者の戸籍の謄本などの一定の書類とともに提出する必要があります。
なお、特定贈与者からの贈与により取得した財産の価額が110万円を超える場合
贈与税の申告書を提出する場合には、「相続時精算課税選択届出書」および一定の書類を贈与税の申告書に添付して提出する必要があります。
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター・F.ドラッカー)
大雪の1日、元気にお過ごしくださいね。
[編集後記]
消費税の記事はお休みしました。
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また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。
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