新しい公益信託制度の「監視・監督」の仕組みについて? ~ 公益信託[89]

公益信託の記事を掲載します。
新しい公益信託制度における監査や監督は「信託管理人による内部的な監視・監督」と、「行政庁による外部的な監督」の二段構えで適正な運営が確保される仕組みになっています
を紹介します。
1 公益信託に係るおもな監督・監査体制は次のとおりです
(1) 信託管理人による内部監督(必置)
公益信託には特定の「受益者」が存在しないため、受益者に代わって受託者を監視・監督する信託管理人を必ず置かなければなりません。
信託管理人の役割:
信託管理人は受託者の業務執行を監視し、公益信託事務の適正な処理を確保します。
信託管理人の主な権限:
① 毎年度の事業計画・収支予算書(執行方針)の承認
② 年度終了後の財務諸表(実績)の承認
③ 受託者への報告請求や、事務処理状況のモニタリング
④ 受託者の義務違反がある場合の差止請求、取消請求、損失補填の請求など
(2) 行政庁による外部監督
内閣府または都道府県(行政庁)は、公益信託の適正な運営を確保するために強力な監督権限を持っています。
① 実態把握
毎年度提出される定期報告書類を確認するほか、必要に応じて報告徴収(レポートの提出命令)立入検査を行います。
② 立入検査
認可後1〜2年を目途に行われる「点検調査」や、問題が疑われる場合に随時実施される「重点検査」があります。
③ 監督処分
運営に問題がある場合、行政庁は以下の処分を行うことができます。
ⅰ 勧告:改善を促す。
ⅱ 命令:法令違反などの是正を命じる。
ⅲ 認可の取消し:重大な違反がある場合、公益信託の認可を取り消します(これにより信託は終了します)。
2 情報開示と透明性の確保について
国民によるチェック機能を働かせるため、高い透明性が求められます。
(1) 書類の公表
事業計画書、収支予算書、財務諸表、財産目録などは行政庁に提出され、原則として公表されます。
(2) 会計の適正性
収益・費用額が1億円以上の公益信託では、公認会計士や税理士などの専門家が財務諸表の作成に確実に関与する仕組みが求められます。
3 受託者の自己規律(ガバナンス)
受託者自身にも厳しい法的義務が課されており、これに違反すると信託管理人や行政庁の監督対象となります。
(1) 善管注意義務
専門性に応じた高度な注意を払って事務を行う義務です。
(2) 忠実義務
利益相反行為の禁止など、信託目的のために誠実に事務を行う義務です。
(3) 分別管理義務
信託財産を自社の財産とは明確に分けて管理する義務です。
このように、「信託管理人による日常的なチェック」「行政庁による公的な監督」、そして「情報の公開」を組み合わせることで、公益法人の監査に準じたガバナンスが構築されます。
一方、公益財団法人は、内部監査と行政による監督の二重のチェック体制がとられています。内部では監事が理事の職務執行について、法令や定款に適合しているかを業務監査・会計監査の両面からチェックします。一定規模以上の法人では会計監査人による監査も行われます。
また、評議員会が理事・監事の選任や決算承認を行い、理事会を監督します。さらに、内閣府または都道府県の行政庁が報告徴収や立入検査、是正命令、公益認定の取消などの権限を持ち、公益性が適切に維持されるよう監督します。
(出所:内閣府公益法人行政担当室HP「新しい公益信託制度について」令和8年1月14日時点版)
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(ピーター・F.ドラッカー)
啓蟄の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
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