合同会社のDES「役員借入金の資本への組入れ」について ~ 法人節税策の基礎知識[111]

法人税の記事を掲載します。
合同会社における役員借入金を資本金に振り替えの手続きと考え方について
を紹介します。
合同会社の方から次の質問がありました。
Q:
「合同会社の役員です。役員借入金500万円、資本金50万円の状態です。役員借入金を資本金に振り替えたいと思っています。かなり繰越欠損金(2,000万円)があります。どのような手続きが必要になりますか?」
A:
役員が会社に貸し付けている貸付金を現物出資するという考え方と手続きになります。
主な手続きは次のとおりです。
1 社員総会の決議を行います
合同会社の定款に従い、社員総会で増資(現物出資による出資金の増加)を決議します。
2 現物出資の評価を行います
役員借入金を現物出資として扱う場合、適切な評価手続きをします。借入金を増資に充 当します。
3 出資金を払込(現物出資)します
役員借入金を現物出資として資本金に充当します。実際の現金移動はありません。帳簿上で負債から資本への振替処理を行います。
4 登記申請をします
増資後、変更登記を法務局に申請します。
5 会計処理を行います
役員借入金を減額します。同時に資本金として計上します。
留意する点は次のとおりです。
債務消滅益の発生について
現物出資があった場合、増加する資本金の額は給付を受けた金銭以外の資産の価格に相当する金額です。つまり現物出資した債権の時価が資本金の増加額となります。
つまり、債権の時価と消滅する債務の帳簿価額との差額が「債務消滅益」として法人(債務者側)で益金に算入されます。
500万円の借入金(帳簿価額)に対し、債権の時価がゼロの場合、500万円が債務消滅益となり、課税対象となります。
累積損失(繰越欠損金)との関係について
債務消滅益は、累積損失(繰越欠損金)があれば、その範囲内で損金算入(控除)が可能です。
つまり、繰越欠損金があれば債務消滅益による課税負担を軽減またはゼロにできます。
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
小満の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
クライアントに提案したいのは節税ではなく、より良い人生です。
[編集後記]
消費税の記事はお休みしました。
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