住宅の貸付け(賃貸)の保証金と原状回復費用の「消費税の課税・非課税」について ~ インボイス制度 消費税[687]

消費税の記事を掲載します
住宅の貸付けにおける保証金は、返還されるか否かにかかわらず消費税は非課税です。一方、店舗や事務所などの事業用貸付けで返還されない場合は課税対象となります。また、原状回復費は例外として課税されます
を紹介します。
1 返還される保証金や敷金
賃貸借契約終了時に返還される保証金や敷金は、消費税の課税対象にはなりません。これは、「資産の譲渡等の対価」に該当しないためです。
言い換えると、賃借人からの預り金です。
つまり、課税対象外(不課税)の取り扱いになります。
2 返還されない保証金・敷金
契約上、返還されないこととなった保証金や敷金は「権利の設定の対価」となり、住宅の貸付けの場合であっても消費税は非課税です。
一方、店舗や事務所などの事業用貸付けの場合は、返還されない保証金や敷金は消費税の課税対象となります。
例外として、原状回復費などは
退去時に保証金から差し引かれる原状回復費などは、役務の提供の対価として消費税の課税対象となります。
賃借人(退去者)に対する役務提供に該当するため、課税取引として取り扱われることとなります。
<参考1>
消費税法基本通達6-13-9
(家賃の範囲)
「家賃には、月決め等の家賃のほか、敷金、保証金、一時金等のうち返還しない部分及び共同住宅における共用部分に係る費用を入居者が応分に負担するいわゆる共益費(6-13-1、6-13-2又は6-13-3の規定により住宅の貸付けに含まれないこととされる施設等に係る費用部分を除く。)も含まれることに留意する。」
<参考2>
質疑応答事例
建物賃貸借に係る保証金から差し引く原状回復工事費用
Q:
「当社はマンションの賃貸を行っており、貸付けに当たって保証金を徴しておき、賃借人が退居する際には、当社において原状回復工事を行い、これに要した費用相当額をその保証金から差し引いて、残額を返還することとしています。 この保証金から差し引くこととなる原状回復工事に要した費用相当額は課税の対象となりますか?」
A:
「建物の賃借人には、退去に際して原状に回復する義務があることから、賃借人に代わって賃貸人が原状回復工事を行うことは賃貸人の賃借人に対する役務の提供に該当します。したがって、保証金から差し引く原状回復工事に要した費用相当額は課税の対象となります。」
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
小満の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
クライアントに提案したいのは節税ではなく、より良い人生です。
[編集後記]
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