「電気通信利用役務の提供」に該当しない取引とは ~ インボイス制度 消費税[726]

消費税の記事を掲載します。
インターネットの機能を使って役務提供が行われても、それが「他の資産の譲渡等に付随して行われるもの」であれば「電気通信利用役務の提供」に該当しません
を紹介します。
通信そのもの、または、その電気通信回線を介する行為が他の資産の譲渡等に付随して行われるものは「電気通信利用役務の提供」に該当しません
具体的には次のような取引は「電気通信利用役務の提供」には該当しません。
① いわゆる通信
電話、FAX、電報、データ伝送、インターネット回線の利用など、他者間の情報の伝達を単に媒介するもの
② ソフトウエアの制作など
著作物の制作を国外事業者に依頼し、その成果物の受領や制作過程の指示をインターネットを介して行う場合があります。この取引は著作物の制作という他の資産の譲渡等に付随してインターネットが利用されているものです。電気通信利用役務の提供に該当しません。
③ 国外に所在する資産の管理・運用など(ネットバンキングを含む。)
資産の運用、資金の移動の指示、状況、結果報告について、インターネットを介して連絡が行われたとしても、資産の管理・運用という他の資産の譲渡等に付随してインターネットが利用されているものです。電気通信利用役務の提供に該当しません。
ただし、クラウド上の資産運用ソフトウエアの利用料金などを別途受領している場合には、その部分は電気通信利用役務の提供に該当します。
④ 国外事業者に依頼する情報の収集・分析
情報の収集、分析を行ってその結果報告について、インターネットを介して連絡が行われたとしても、情報の収集・分析という他の資産の譲渡等に付随してインターネット等が利用されているものです。電気通信利用役務の提供に該当しません。
ただし、他の事業者の依頼によらずに自身が収集・分析した情報について対価を得て閲覧に供したり、インターネットを通じて利用させるものは電気通信利用役務の提供に該当します。
⑤ 国外の法務専門家等が行う国外での訴訟遂行
訴訟の状況報告、それに伴う指示について、インターネットを介して行われたとしても、その役務の提供は、国外における訴訟遂行という他の資産の譲渡等に付随してインターネット等が利用されているものです。電気通信利用役務の提供に該当しません。
⑥ 著作権の譲渡・貸付け
著作物に係る著作権の所有者が、著作物の複製、上映、放送等を行う事業者に対して、その著作物の著作権等の譲渡・貸付けを行う場合に、著作物の受け渡しがインターネットを介して行われたとしても、著作権等の譲渡・貸付けという他の資産の譲渡等に付随してインターネット等が利用されているものです。電気通信利用役務の提供に該当しません。
一方「電気通信利用役務の提供」とは
① インターネット等を介して行われる電子書籍・電子新聞・音楽・映像・ソフトウエア(ゲームなどの様々なアプリケーションを含みます。)の配信
② 顧客に、クラウド上のソフトウエアやデータベースを利用させるサービス
③ 顧客に、クラウド上で顧客の電子データの保存を行う場所の提供を行うサービス
④ インターネット等を通じた広告の配信・掲載
⑤ インターネット上のショッピングサイト・オークションサイトを利用させるサービス
⑥ インターネット上でゲームソフト等を販売する場所を利用させるサービス
⑦ インターネットを介して行う宿泊予約、飲食店予約サイト(宿泊施設、飲食店等を経営する事業者から掲載料等を徴するもの)
⑧ インターネットを介して行う英会話教室 など
<参考>
消費税法第2条第1項第8号の3
(電気通信利用役務の提供)
「資産の譲渡等のうち、電気通信回線を介して行われる著作物(省略)に規定する著作物をいう。)の提供(当該著作物の利用の許諾に係る取引を含む。)その他の電気通信回線を介して行われる役務の提供(電話、電信その他の通信設備を用いて他人の通信を媒介する役務の提供を除く。)であつて、他の資産の譲渡等の結果の通知その他の他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供以外のものをいう。」
→ インターネットなどを使って受ける各種サービス(電気通信利用役務の提供)は、提供を受ける者の住所が国内にあるかどうかにより内外判定をします
→ 消費者向け電気通信利用役務の提供を受けた場合の仕入税額控除の取り扱い
(出所:国税庁「国境を超えた役務の提供に係る消費税の課税に関するQ&A」令和6年7月改訂 問2-1)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
立秋の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
クライアントに提案したいのは節税ではなく、より良い人生です。
[編集後記]
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