新公益信託の3つの財務規律(財務ルール)のうち「公益事務割合」とは? ~ 公益信託[35]

公益信託の記事を掲載します。
「公益事務割合」とは信託報酬などの管理費が過大とならないようにするため管理費の上限割合を定めるルールです
を紹介します。
公益信託の「財務規律(財務ルール)」について
公益信託の信託財産は、公益目的に活用されるべきものであり、それが死蔵することなく、適正に活用される観点から、財務規律が設けられています。
「財務規律(財務ルール)」は次の3つです。次のようなイメージです

3つのルールの前提となる「公益充実資金」というものがあります
「公益充実資金」とは
「公益充実資金」は、公益信託事務を充実させるため将来において必要となる資金(その資金を運用することを目的として保有する財産を含む。)です。
状況変化等に応じた公益事務のための柔軟な資金活用を可能とするものです。
「公益充実資金」の主な要件は次のとおりです
① 公益信託事務に係る将来の特定の事務の処理または将来の特定の公益目的保有財産に係る資産の取得もしくは改良に係る費用等の支出のために積み立てられるものであること。
② 公益充実資金の状況などについて公表していること。
「公益充実資金」と3つのルール(中期的収支均衡、公益事務割合、使途不特定財産保有制限)との関係は次のとおりです

公益事務割合の具体的割合とは次のようなイメージです

すなわち、次の3つがポイントです。
1 公益事務割合は損益計算書に計上されるべき、事業費/(事業費+管理費)により算定します。
① 事業費(公益実施費用額)とは、公益事務の実施に係る事業費の額です
② 管理費(管理運営費用額)とは、公益信託事務の処理に係る公益信託報酬その他の管理費の額の額です。
2 公益事務割合の下限は、収益事業等の費用が想定される公益法人の公益目的事業比率の下限(50%)より高くするとともに、現行の公益法人や公益信託の実情等を勘案して70%です。つまり、割合は70%以上となることが必要です。
3 公益事務割合の算定にあたっては、公益充実資金の積立額(資産取得のための積立てたと算定される額を除く。)を事業費に算入し、公益充実資金の取崩額(資産の取得のための取崩しを除く。)を事業費から控除します。
<参考>
基準割合の70%以上の考え方

(出所:「公益信託に関する法律施行令案等の概要 参考資料 内閣府公益法人行政担当室)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
立夏の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
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