井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2025.10.22.Wed | 公益信託

「信託概況報告」や「公益信託の会計の原則」、「ガイドラインに記載がない会計に関する事項について」の取扱い ~ 公益信託[58]




公益信託の記事を掲載します。






「第8回公益信託制度の施行準備に関する研究会(9/24)」でこれらの事項について事務局案が提出されています。






を紹介します。




「信託概況報告」について




公益信託の状況に関する重要な事項(公益事務の実施状況を含み、計算書類および附属明細書の内容となる事項を除く。)をその内容としなければなりません。


「信託概況報告」は委託者・信託管理人・寄附者・取引関係者・行政庁といったステークホルダーに分かりやすく開示するために作成します。


次の事項について記載する必要があります。(ガイドライン案)




1 公益事務の実施状況




① 事業計画において具体的な実施方法や規模等が示された公益事務の実績を記載します。(実際にどのように実施されたのか、事業計画との対応関係が分かるような書き方が求められます)。

② 実績(規模、内容等)が事業計画と異なる場合は、その理由を記載します。無償の資源提供等を受けて実施した場合には、その内容等の記載が望ましい。




2 その他公益信託事務の実施状況




① 合議制の機関を置く場合は、その活動状況(開催回数やその内容等)

② 公益事務の質の改善に向けた取組みがあれば、その実施状況

③ 利益相反行為や競合行為の状況

④ 公益信託において租税特別措置法令上の承認特例の関係で行政庁の証明を受けた基金の明細規程の制定・改廃を行った場合(軽微なものを除く)は、その内容




3 その他公益信託の状況に関する重要な事項




信託の変更、信託関係者の変更その他公益信託における重要な変化、公益信託の運営体制充実のための取組があれば、その内容について記載します。




一方、公益信託の会計の原則について




公益信託においては、公益法人会計基準のような詳細な会計基準を定める訳ではないため、公益法人や企業会計の原則などを参考に会計の原則を定めます。(ガイドライン案)




真実性の原則


公益信託の計算書類は、信託財産の状況及び公益信託事務の実施状況に関して、真実な報告を提供するものでなければなりません。




明瞭性の原則


公益信託の計算書類は、寄附者・取引先・信託管理人・行政庁といった関係者に対し、必要な会計事実を明瞭に表示し、公益信託に対する判断を誤らせないようにしなければなりません。




継続性の原則


会計処理の原則及び手続並びに計算書類の表示方法は、毎事業年度これを継続して適用し、みだりに変更してはなりません。




重要性の原則


計算書類を作成する目的は、公益信託の財務の内容を明らかにし、公益信託の運営状況に関する寄附者、取引先、信託管理人、行政庁その他のステークホルダーの判断を誤らせないようにすることにあります。このため、法令に従う限りにおいて、重要性の乏しいものについては、本来の会計処理によらないで、他の簡便な方法により処理することも認められます。





ガイドラインに記載がない会計に関する事項についての取扱いをどう考えるか?




事務局から次のようなガイドライン案が出されています。




1 ガイドラインに記載がない会計に関する事項については、原則「一般に公正妥当と認められる公益法人の会計の基準その他の公益法人の会計の慣行」に従うものとします。


2 ただし、軽量な公益信託である場合において、受託者の能力、公益事務の内容その他の事情に照らして合理的な理由があるときは、合同命令の遵守を前提に、ガイドラインに記載のない会計については、一般に公正妥当と認められる会計の基準等 (当該会計基準等の下で認められる会計の慣行を含む。)に従うこととして差し支えありません。

この場合には、「計算書類の作成のため、参照した会計基準を重要な事項」として注記を行うものとします。


3 無償又は低廉な価格で物的サービス又は役務の提供を受けた場合において、必要対価の額を損益計算書に計上することはできないものとします。

受託者が、社会福祉法人、学校法人その他行政機関の指導・監督の下で活動を行う非営利法人(行政機関の関与の下で策定された会計基準等に従い会計を処理するものに限る。)である場合も同様とします。




これを受けて委員から次のような意見が出ています。




「承認特例の基金の話が信託概況報告(資料1、p.12)で出てくることについては納得できるが、公益信託の中に基金がある入れ子構造のイメージではなく、これまでも指摘しているように公益信託それ自体が基金に該当するので、是非財務省と調整してほしい。また、今回の資料でも軽量な公益信託の話が色々なところで出てきており、大変望ましい。その上で、今回の公益信託ガイドラインは200ページを超えるようなものであるため、軽量版の公益信託向けのガイドラインを作成すべきではないか。」







(出所:第8回会議関係資料 内閣府公益法人行政担当室)







「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」

(ピーター F.ドラッカー)

寒露の1日、朗らかにお過ごしくださいね。









[編集後記]






消費税の記事はお休みしました。



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