「特定課税仕入れ」がある場合の納税義務の判定について ~ インボイス制度 消費税[744]

消費税の記事を掲載します。
基準期間における課税売上高に「特定課税仕入れ」に係る支払対価の額は含まれるのでしょうか?
を紹介します
たとえば
Q:
1 A社は国内に本店を有する法人です。
2 当課税期間に国外事業者から「特定課税仕入れ」である「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受けました。
3 また、当課税期間は一般課税で課税売上割合も95%未満です。特定課税仕入れに係る支払対価の額を課税標準として申告を行います。
4 この場合に、翌々課税期間の納税義務の判定を行う際の基準期間における課税売上高に、特定課税仕入れに係る支払対価の額は含まれるのでしょうか?
A:
1 納税義務の判定は、その事業者が行った課税資産の譲渡等の対価の額から計算した「課税売上高」により判定します。
2 「特定課税仕入れ」は、その事業者の仕入れであって課税資産の譲渡等ではありません。
3 「特定課税仕入れ」に係る支払対価の額を課税標準として消費税の申告・納税を行っていたとしても、納税義務の判定や簡易課税制度が適用されるか否かの判定における課税売上高には、特定課税仕入れに係る支払対価の額は含まれません。
<参考>
「特定資産の譲渡等」とは
電気通信利用役務の提供に該当する取引のうちで、事業者向け提供に該当する取引
「特定仕入れ」とは
事業として他の者(国外事業者)から特定資産の譲渡等を受けること
「特定課税仕入れ」とは
特定仕入れであって課税仕入に該当するもの
消費税法基本通達 1-4-2
(基準期間における課税売上高等に含まれる範囲)
「基準期間における課税売上高及び特定期間における課税売上高には、法第4条第5項《資産のみなし譲渡》の規定により資産の譲渡とみなされる場合及び法第7条《輸出免税等》、第8条《輸出物品販売場における輸出物品の譲渡に係る免税》若しくは租特法第85条《外航船等に積み込む物品の譲渡等に係る免税》から第86条の2《海軍販売所等に対する物品の譲渡に係る免税》まで又はその他の法律若しくは条約の規定により消費税が免除される場合の課税資産の譲渡等に係る対価の額を含み、消費税額等、特定資産の譲渡等の対価の額、法第31条《非課税資産の輸出等を行った場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例》の規定により課税資産の譲渡等とみなされるものの対価の額及び法第38条第1項《売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除》に規定する売上げに係る対価の返還等の金額は含まないのであるから留意する。
2 (省略)
3 (省略)
4 消費税の課税標準とされる特定課税仕入れに係る支払対価の額は、当該特定課税仕入れの提供を受けた事業者における課税資産の譲渡等の対価の額ではないことから、当該特定課税仕入れを行った事業者の基準期間における課税売上高及び特定期間における課税売上高には含まれないことに留意する。」
(出所:国税庁質疑応答事例 消費税 国境を越えた役務の提供に係る消費税)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
寒露の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
[編集後記]
今日のお昼は。「おろし蕎麦」を作って食べました。(トップ画像)
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