固定資産の除却による節税効果について ~ 法人節税策の基礎知識[122]

法人税の記事を掲載します。
法人が所有する資産を取壊しまたは廃棄した場合には、帳簿価額が適正である限り、その帳簿価額を損失に計上できます
を紹介します。
法人税法上の「除却損」は損金の額に算入されます(ポイントは次の2つです)
① 未償却残高(帳簿価額-減価償却累計額)が全額損金となります。
② とくに耐用年数が長い建物、設備では、未償却残高が大きいため節税効果は大きいです。
<参考>
法人税基本通達7-7-1
取り壊した建物等の帳簿価額の損金算入
「法人がその有する建物、構築物等でまだ使用に耐え得るものを取り壊し新たにこれに代わる建物、構築物等を取得した場合(7-3-6《土地とともに取得した建物等の取壊し費等》に該当する場合を除く。)には、その取り壊した資産の取壊し直前の帳簿価額(取り壊した時における廃材等の見積額を除く。)は、その取り壊した日の属する事業年度の損金の額に算入する。」
一方、取り壊すことなく、用途廃止(使用を廃止)でも損金可能のケースがあります。
「有姿除却」のケースです
「有姿除却」とは、使用を廃止した固定資産につき「解撤」、「破砕」などのスクラップ、「廃棄」を行っていない場合であっても、すでに固定資産としての使用価値が尽きていることが明確なものについては、その現状有姿のまま除却処理をするというものです。
このように固定資産として使用価値が失われたことが外形的に明確な場合は
除却処理することが原則です。
しかし、現状有姿のまま除却をする場合は、外形的に見て将来再び使用する可能性がまったくないとは言えないといった誤解を生む恐れがあります。
これが原因となって税務上その除却処理の是非をめぐって問題が生ずるということが想定されます。
しかし実態として
「解撤」「破砕」等に多額の費用を要することが見込まれるため、スクラップにせず、そのまま放置するという選択があります。
また、固定資産としては廃止済みでも、再利用の可能性が残っている場合は、しばらくスクラップを控えて対応を先送りすることがあります。
こうした場合、資産が今後従前と同じように使用される見込みがまったくないか、またはほとんど再使用の機会が想定されないとすれば、たまたま現状有姿のまま放置し、わずかな再使用の可能性のために保有されているからといって、除却処理が認められないというのは、実情と乖離しています。
これを踏まえて次のようなルールがあります
法人税基本通達7-7-2
有姿除却
「次に掲げるような固定資産については、たとえ当該資産につき解撤、破砕、廃棄等をしていない場合であっても、当該資産の帳簿価額からその処分見込価額を控除した金額を除却損として損金の額に算入することができるものとする。
(1) その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産
(2) 特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなもの」
<参照>
固定資産管理の実務について
→ 固定資産台帳を作成する目的は減価償却をするためです
→ 固定資産管理で注意したいポイント!固定資産管理業務のざっくりの業務フローについて
→ 機械装置、器具備品などの固定資産管理をおろそかにした際の問題点
→ 固定資産のうち過去に売ったもの廃棄したものが帳簿に残っていませんか?
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター・F.ドラッカー)
小雪の1日、元気にお過ごしくださいね。
[編集後記]
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また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。
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