相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例について ~ 贈与や相続・譲渡など資産税[178]

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相続または遺贈により取得した土地、建物、株式などの財産を、一定期間内に譲渡した場合に相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができます
を紹介します。
つまり次のようなイメージです
通常の譲渡所得の計算式
譲渡所得 = 譲渡価額 -(取得費 + 譲渡費用)
この特例を使うと
譲渡所得 = 譲渡価額 -(取得費 + 譲渡費用 + 取得費加算額)
※「取得費加算額」は相続税のうち一定額です。
この特例は譲渡所得のみに適用がある特例です
株式等の譲渡による事業所得および雑所得については、適用できません。
特例対象となるルール(対象となる方や対象となる物)は次のとおりです
① 相続や遺贈により財産を取得した方であること。
② その財産を取得した方に相続税が課税されていること。
③ その財産を相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。
計算方法や計算式について
① 取得費に加算する相続税額は、次の算式で計算した金額となります。

② ただし、その金額がこの特例を適用しないで計算した譲渡益(土地、建物、株式などを売った金額から取得費、譲渡費用を差し引いて計算します。)の金額を超える場合は、その譲渡益相当額となります。
チェックポイントは次の3つです。
① 相続や遺贈により取得した株式と同一銘柄の株式を保有している場合において、上記「特例の適用を受けるための要件」の③の期間内にその株式の一部を譲渡したときには、その譲渡については、その相続や遺贈により取得した株式の譲渡からなるものとしてこの特例を適用して差し支えありません。
② 令和6年1月1日以後に被相続人である特定贈与者から贈与により取得した相続時精算課税適用財産の価額は、贈与により取得した財産の価額から基礎控除額を控除した残額となります。
③ 令和6年1月1日以後に被相続人から暦年課税による贈与により財産を取得したことがある場合には、相続開始前3年以内に贈与により取得した財産以外の財産については、その財産の価額の合計額から100万円を控除した残額となります。
(出所:国税庁 相続税 タックスアンサーNo3267 )
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(ピーター F.ドラッカー)
立秋の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
クライアントに提案したいのは節税ではなく、より良い人生です。
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