換価分割をした場合の譲渡所得や相続税の申告についての考え方 ~ 贈与や相続・譲渡など資産税[179]

所得税や相続税の記事を掲載します。
換価分割をした場合の譲渡所得や相続税の申告についての考え方について
を紹介します。
先日、お客様からご照会がありました「換価分割」について、たとえば
Q:
1 被相続人甲の相続財産のA土地については、これを売却して、その売却金額を3等分(相続人は、乙、丙、丁の3人)することになりました。
2 丙、丁は遠方に住んでいます。売却の都合上A土地の名義を乙の単独名義にし、売買契約をしました。
3 このA土地の譲渡に対する譲渡所得の課税はどのようなりますか?丙、丁は、乙からそれぞれ売却代金のうち1/3をもらうことになります。どのように課税されますか?
A:
換価分割とは
共同相続した財産を直接分割の対象とせず、これを未分割の状態で換価し、その対価として得られる金銭を共同相続人間で分割する方法をいいます。
この場合には
財産を処分するのは実質的には共同相続人全員になりますので、譲渡することによって得られる所得は共同相続人全員に帰属することになります。
譲渡所得は次のように考えます。
① 譲渡時までに換価代金の取得割合が確定している場合
譲渡所得はその換価代金の取得割合に応じて申告することになります。
② 譲渡時までに換価代金の取得割合が確定しておらず後日分割される場合には
譲渡時における換価資産の所有割合である法定相続分により申告することになります。そして、その申告後に換価代金が分割されたとしても、法定相続分による譲渡に異動が生じるものではありませんから、その譲渡所得について更正の請求をすることができません。
つまり、遺産分割の方法が代償分割なのか換価分割なのかによって譲渡所得の帰属が異なることとなります。
乙丙丁の遺産分割がいずれかの方法により行われたのか、また、乙の単独名義にしたことが便宜的なものであるか否かを遺産分割協議書等により判定することになります
そして遺産分割が換価分割により行われ、乙がこの土地を実際に利用することが予定されておらず、単独名義にした理由が売買契約締結上の要請など便宜的な理由によるものであれば共同相続人乙丙丁にそれぞれ譲渡所得が発生することになります。
相続税申告について
換価分割も遺産分割の一つの方法になります。
したがって、丙および丁が、実際には乙からA土地の売却代金の1/3を渡されるにしても、それはA土地の1/3を相続によって取得したこととして相続税の課税対象となります。
この場合の課税価格は、相続した財産が現物(A土地の1/3)であることから、換価分割により取得した売却代金にはよらず換価分割の対象となった土地の相続税評価額をもとに計算することになります。
この場合の課税価格は、相続した財産が現物(A土地の1/3)であることから、換価分割により取得した売却代金にはよらず換価分割の対象となった土地の相続税評価額をもとに計算することになります。
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
白露の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
クライアントに提案したいのは節税ではなく、より良い人生です。
[編集後記]
9月3日、久しぶり(7年ぶり?)に吹田市起業家交流会at江坂に参加しました。
というのは、Sabic(吹田経営革新支援センター)の元センター長佐藤雅一氏が「佐藤さんに聞く起業の成功法則~自分の軸をもつ!~」のお話をされるということで。
佐藤雅一さんには、開業から現在まで、適切なアドバイスや経験や体験を教えてもらっております。


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