井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2022.07.16.Sat | 電子帳簿保存法

電子取引に該当する場合の電子データ保存について。令和5年10月以降、消費税仕入れ税額控除の適用可否に注意します~ 電子帳簿保存法改正[38]



今回は



消費税の仕入税額控除の取り扱いが変更になります。データ保存の取り扱いには注意します




を紹介します。





次のものが電子取引になります


1 電子メールにより請求書や領収書などのデータ(PDFファイルなど)を受け取り

2 インターネットのホームページからダウンロードした請求書や領収書のデータ(PDFファイルなど)またはホームページ上に表示される請求書や領収書などのスクリーンショットを利用

3 電子請求書や電子領収書の授受に係るクラウドサービスを利用

4 クレジットカードの利用明細データ、交通系ICカードによる支払データ、スマートフォンアプリによる決済データなどを活用したクラウドサービスを利用

5 特定の取引に係るEDIシステムを利用

6 ペーパーレス化されたFAX機能を持つ複合機を利用

7 請求書や領収書などのデータをDVDなどの記録媒体を受け取り



1~7はいずれも「電子取引」に該当しますので、改正後(令和4年1月1日以後)は紙での保存はNG


改正後、所定の方法により取引情報(請求書や領収書などに通常記載される日付、取引先、金額等の情報)に係るデータを保存しなければなりません。

令和3年度の税制改正前はそのデータを出力した書面により保存することも認められていましたが、改正後は、出力した書面の保存措置が廃止され、出力した書面は、保存書類(国税関係書類以外の書類)として取り扱わないこととされます。


<参考>

電子取引のデータ保存義務化について2年の猶予が設けられます



データ保存のポイントは次のとおりです


① 1~2などのPDFやスクリーンショットなどについては


受け取り側でデータの訂正削除が可能ですので、受け取ったデータにタイムスタンプの付与が行われていない場合には、受領者側でタイムスタンプを付与することまたは事務処理規程に基づき、適切にデータを管理することが必要です。

また、対象となるデータは検索できる状態で保存することが必要です。

データが添付された電子メールについて、メールソフト上で閲覧できるだけでは問題があります。


② 3~5などのクラウドサービスについて


取引情報(日付、取引先、金額などの情報)のデータについて、訂正削除の記録が残るシステムまたは訂正削除ができないシステムを利用して授受および保存をしていれば、電子取引の保存ルールを満たします。

他方、たとえば、クラウド上で一時的に保存されたデータをダウンロードして保存するようなシステムの場合には、①と同様の問題があります。


③ 6および7については


上記1~2と同じです。


④ すべてのデータは保存(おおむね7年)する必要があります


⑤ クレジットカードの利用明細データなど


クレジットカードの利用明細データを受け取った場合は、その利用明細データ自体も電子取引の取引情報に該当します。保存が必要です。

また、その利用明細データに含まれている個々の取引についても、請求書・領収書などのデータ(取引情報)を電子データとして受け取っている場合は、クレジットカードの利用明細データとは、別にその保存が必要となります。


⑥ 消費税の仕入税額控除の取り扱いが変更になります


現在、消費税の仕入れ税額控除を受けるためには、必要な事項が記載された帳簿および請求書など(書面)の保存が必要です。取引金額が3万円未満の場合や、3万円以上でも「電子取引」のようにデータのみが提供されるなど、書面での請求書などの交付を受けなかったことにやむを得ない理由がある場合には、帳簿のみを保存することにより仕入税額控除の適用を受けることができます。

令和5年10月以降(インボイス導入)は、帳簿のみの保存で仕入税額控除の適用を受けることができるのは、法令に規定された取引に限られることとなります。

したがって、電子取引を行った場合に仕入税額控除の適用を受けるためには、軽減税率の対象品目である旨や税率ごとに合計した対価の額など適格請求書等として必要な事項を満たすデータ(電子インボイス)の保存が必要となります。


<参考>

電子取引の取引情報に係る電磁的記録を出力した書面については、保存書類(国税関係書類以外の書類)として取り扱わないこととされましたが、消費税法上、電子インボイスを整然とした形式明瞭な状態で出力した書面を保存した場合には、仕入税額控除の適用を受けることができます。






(出所:「電子帳簿保存法一問一答 電子取引関係」問4 令和4年6月)






「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」

(ピーター F.ドラッカー)

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