介護報酬改定に係る「居宅介護支援」の主な論点をご紹介します。見直しの論点は全部で6つ。次のとおりです。(平成29年12月18日「平成30年度介護報酬改定に関する審議報告」)

(上図は平成29年7月19日第143回「介護給付費分科会」の参考資料から)

 

「居宅介護支援」の見直しの主な論点

1 質の高いケアマネジメントの推進

2 公正中立なケアマネジメントの確保

3 訪問回数の多い利用者への対応

4 医療と介護の連携強化

5 末期の悪性腫瘍の利用者に対するケアマネジメント

6 障害福祉制度の相談支援専門員との密接な連携

 

今回は「公正中立なケアマネジメントの確保とは何か?」を紹介します。

 

次のとおり見直しを検討することとなっていました。

「介護保険制度の見直しに関する意見(平成28年12月9日 社会保障審議会介護保険部会)において、適切なケアマネジメントを推進するため、特定事業所集中減算の見直しも含めた公正中立なケアマネジメントの確保(省略)等の観点から、居宅介護支援事業所の運営基準等の見直しを検討する」

 

次のような現状が指摘されており、課題は「公正中立なケアマネジメントの確保」をどうするかでした。

 

(ケアマネジャーの義務)

・ ケアマネジャーは、「その担当する要介護者等の人格を尊重し、常に当該要介護者等の立場に立って、当該要介護者等に提供される居宅サービス、地域密着型サービス、施設サービス、介護予防サービス若しくは地域密着型介護予防サービス又は特定介護予防・日常生活支援総合事業が特定の種類又は特定の事業者若しくは施設に不当に偏ることのないよう、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない。」こととされています(介護保険法第69条の34)。

 

(特定事業所集中減算の見直し)

・ 特定事業所集中減算については、会計検査院から、必ずしも合理的で有効な施策であるとは考えられないことなどの指摘を受けており、参議院決算委員会において、現行施策の抜本的見直しも含め、その在り方を十分に検討すべきとの決議がなされています。介護保険部会においても、その実効性が乏しく見直しをすべきとの意見がありました。

 

(居宅介護支援の運営基準)

・ 居宅介護支援の運営基準では、ケアマネジメントの公平中立を確保する観点から、利用者の心身の状況等に応じた利用者本人の選択に基づくサービス提供体制の確保や、特定の居宅サービス事業者の利用に偏らないようにすること等が求められています。

・ また、管理者はケアマネジャーに対して特定の居宅サービス事業者等によるサービスをケアプランに位置付けるべき旨の指示等を行ってはならないこと等が規定されています。

 

こうした観点から、次の見直しを通じて「公正中立なケアマネジメントの確保」を図るというものです。

 

① 契約時の説明等

利用者の意思に基づいた契約であることを確保するため、利用者やその家族に対して、利用者はケアプランに位置付ける居宅サービス事業所について、複数の事業所の紹介を求めることが可能であること等(当該事業所をケアプランに位置付けた理由を求めることが可能であること)を説明することを義務づけ、これらに違反した場合は報酬を減額します。

 

なお、例えば、集合住宅居住者において、特定の事業者のサービス利用が入居条件とされ、利用者の意思、アセスメント等を勘案せずに、利用者にとって適切なケアプランの作成が行われていない実態があるとの指摘も踏まえ、利用者の意思に反して、集合住宅と同一敷地内等の居宅サービス事業所のみをケアプランに位置付けることは適切ではないことを明確化します。

 

② 特定事業所集中減算の対象サービスの見直し(訪問介護、通所介護及び福祉用具貸与のみに)

特定事業所集中減算について、請求事業所数の少ないサービスや、主治の医師等の指示により利用するサービス提供事業所が決まる医療系サービスは対象サービスから除外します。なお、福祉用具貸与については、事業所数にかかわらずサービスを集中させることも可能であることから対象とし、具体的には、訪問介護、通所介護及び福祉用具貸与を対象とすることとします。

 

12/5から介護報酬改定の動向を紹介しています。改定に伴う介護サービスの論点を知っておくことは大切だと思います。

次回、1/2(火)は居宅介護支援の見直しの主な論点のうち、3の「訪問回数の多い利用者への対応」を紹介します。

 

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火・木曜日は「介護事業の基礎知識~平成30年度介護報酬の改定」を紹介しています。

ブログ記事は

https://www.y-itax.com/category/kaigo/

 

居宅介護支援の論点

・「質の高いケアマネジメントの推進とは何か?」はこちら(12/26)

 

改定の方向性を踏まえて、TRAPE鎌田大敬氏が伝えたい「事業者が取り組むべき主な事項」

・「医療・介護報酬同時改定に関して現在までの整理」はこちら(12/14)

 

通所介護サービスの適正化の記事

・「通所介護に係る基本報酬の減算措置を含めた介護報酬の適正化」はこちら(12/12)

・「通所介護サービスの論点~生活機能向上連携加算の創設」はこちら(12/21)

 

訪問介護の生活援助の見直しの記事

・「身体介護を含めて訪問介護の報酬を見直し」はこちら(12/7)

・「訪問介護サービスの論点~生活援助の担い手の拡大(基準の緩和)」はこちら(12/19)

 

有料老人ホーム等の併設事業所に対する集合住宅減算の強化について

・「有料老人ホーム等の訪問介護サービスの見直し」はこちら(12/5)

 

改定の詳細な解説記事はたくさんありますが、改定スケジュールはざっくりと把握してください。

・「平成30年度介護報酬改定まで、あと4か月およびそのスケジュール感」はこちら(8/17)

 

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・日曜日は「住宅取得等資金の贈与の非課税」の誤りやすい事例