井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2018.03.15.Thu | 介護事業

平成30年度介護報酬改定の動向~通所介護の論点②「心身機能の維持に係るアウトカム評価の創設とは何か?」

介護報酬改定に係る「通所介護」の主な論点をご紹介します。

次のとおりです。(出所:平成30年1月26日 第158回介護給付費分科会)

 

「通所介護」の見直しの主な論点

① 生活機能向上連携加算の見直し

 心身機能の維持に係るアウトカム評価の創設

③ 機能訓練指導員の確保の促進

④ 栄養改善の取組の推進

⑤ 基本報酬のサービス提供時間区分の見直し

⑥ 規模ごとの基本報酬の見直し

⑦ 設備に係る共用の明確化

⑧ 共生型通所介護

⑨ 介護職員処遇改善加算の見直し

 

今回は

「心身機能の維持に係るアウトカム評価の創設とは何か?」

です。

 

分科会では次のような意見がありました。

(平成29年11月29日 第153回介護給付費分科会)

□ 「自立」の概念については、身体的な状態の改善だけでなく活動・参加等も考慮に入れる必要があります。

□ 状態が改善し利用限度額等が下がることをディスインセンティブとして補填するのではなく、自立支援に資するサービスを提供したことを評価すべきです。

□ 個別サービス事業所の質の評価や個別サービスの質の評価については、要介護度等を指標にアウトカム評価を行うとクリームスキミングが起こる可能性もあるため、ストラクチャー評価、プロセス評価を適切に組み合わせて評価する必要があります。

□ 現在行っている社会参加支援加算、事業所評価加算等の加算の枠組みや実績についての評価・検証が必要です。

□ 介護の世界ではエビデンスが不足しているため、まずはアウトカム等に係るデータの収集等により、自立支援に係る介護の考え方について検討することが重要です。

□ 自立支援に向けた事業者へのインセンティブ付与については、介護報酬上の評価、自治体における取組の拡充等が考えられます。

 

※ 事業者が収益を優先して利用者を選定すること、ようするに「儲かりそうな高齢者だけを受け入れること」

 

これらの意見に対して、対応案が次のとおり示されていました。

(アウトカム評価についての課題)

通所介護における利用者の心身の機能の維持を促進する観点から、アウトカムに注目した評価を設けることについてどのように考えるか?

 

(対応案)

① ある事業所において、評価期間内に通所介護を利用した者のADLの維持又は改善の度合いが一定の水準を超えた場合、当該事業所における通所介護サービスを一定期間、高く評価してはどうか?

※ 評価指標として広く用いられているBarthel Indexによる評価を想定(下図参照)

 

② その際、評価期間中に以下について満たしていることを要件に含めてはどうか?

ⅰ データの信頼性を確保するため、一定以上の利用者数があること

ⅱ 要介護度が比較的重い利用者に対するサービス提供を確保する観点から、利用者のうち要介護3、4または5の者が一定割合以上であること。

ⅲ 機能訓練以外のサービスの提供を担保する観点から、利用者の求めに応じて、定期的に食事及び入浴介助を提供した実績があること

③ また、上記の要件を満たした通所介護事業所において、評価期間の終了後にもBarthelIndexを測定・報告した場合、より高い評価を行ってはどうか?

 

これらの課題を踏まえて、平成30年度には次の「心身機能の維持に係るアウトカム評価の創設」行われます。

平成30年1月26日 第158回介護給付費分科会

 

「自立支援・重度化防止の観点から、一定期間内に当該事業所を利用した者のうち、ADL(日常生活動作)の維持又は改善の度合いが一定の水準を超えた場合を新たに評価する」

下図参照

 

たとえば、このアウトカム評価は

「利用者のBI(バーゼルインデックス)を測定し、6カ月後との差(BI利得)を集計。その合計が0以上、つまり評価対象の集団全体でADL(日常生活動作)が維持・改善されていれば算定できる。ただし、算定要件に5時間以上のサービス提供回数が、5時間未満の回数を上回る利用者に限ることなどがあり、3-5時間で運営している機能訓練特化型の事業所は算定が難しい」とされます。

(出所:日経ヘルスケア2月号)

 

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火・木曜日は、「介護事業の基礎知識バージョンアップ゚編」として記事を紹介しています。

平成30年度介護報酬改定の動向

 

通所介護の改定見直しの主な論点

・論点①「生活機能向上連携加算の見直しとは何か?」はこちら(3/13)

訪問介護の改定見直しの主な論点  

・論点①「生活機能向上連携加算の見直しとは何か?」はこちら(2/6)

・論点②「自立生活支援のための見守り的援助の明確化とは何か?」はこちら(2/8)

・論点③「身体介護と生活援助の報酬の見直しとは何か?」はこちら(2/13)

・論点④「生活援助中心型の担い手の拡大とは何か?」はこちら(2/15)

・論点⑤「集合住宅減算(同一建物減算)の見直しとは何か?」はこちら(2/22)

・論点⑥「訪問回数の多い利用者への対応とは何か?」はこちら(2/27)

・論点⑦「サービス提供責任者の役割や任用要件等の明確化とは何か」はこちら(3/1)

・論点⑧「共生型訪問介護とは何か?」はこちら(3/6)

・論点⑨「介護職員処遇改善加算の見直しとは何か?」はこちら(3/8)

訪問看護の改定見直しの主な論点 

・論点①「在宅の中重度要介護者の療養生活に伴う医療ニーズへの対応強化とは何か?」はこちら(1/16)

・論点②「ターミナルケアの充実とは何か?」はこちら(1/18)

・論点③「複数名訪問加算の創設とは何か?」はこちら(1/23)

・論点④「訪問看護ステーションにおける理学療法士等による訪問の見直しとは何か?」はこちら(1/25)

・論点⑤「報酬体系の見直しとは何か?~基本サービス費を要支援者・要介護者で別立て」はこちら(1/30)

・論点⑥「集合住宅減算(同一建物減算)の見直しとは何か?」はこちら(2/1)

居宅介護支援の改定見直しの論点

・論点①「質の高いケアマネジメントの推進とは何か?」はこちら(12/26)

・論点②「公正中立なケアマネジメントの確保とは何か?」はこちら(12/28)

・論点③「訪問回数の多い利用者への対応とは何か?」はこちら(1/2)

・論点④「医療と介護の連携強化とは何か?」はこちら(1/4)

・論点⑤「末期の悪性腫瘍の利用者に対するケアマネジメントとは何か?」はこちら(1/9)

・論点⑥「障害福祉制度の相談支援専門員との密接な連携とは何か?」はこちら(1/11)

 

 

 有料老人ホーム等の併設事業所に対する集合住宅減算の強化について

・「有料老人ホーム等の訪問介護サービスの見直し」はこちら(12/5)

 

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