井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2020.05.12.Tue | 介護事業

“施設サービスにおける多床室の室料負担について”【介護保険制度の見直しに関する意見】~ 2040年問題㉕

 

2019年12月に開催された社会保障審議会・介護保険部会において、2040年を踏まえた2021年度の「介護保険制度改正」の考え方があきらかになっています。

 

介護保険制度見直しのポイントは、次の5つです

Ⅰ 健康寿命の延伸(介護予防・地域づくりの推進)

Ⅱ 保険者機能の強化

Ⅲ 地域包括ケアシステムの推進

Ⅳ 認知症施策の総合的推進

Ⅴ 介護人材の確保と介護現場の革新

Ⅵ その他の課題

 

このうち、今回は「その他の課題」の中でとして取りあげられている

 

“施設サービスにおける多床室の室料負担について”

 

を紹介します。

 

利用者は、個室では光熱水費および室料、一方、多床室では光熱水費を負担

 

特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設などの居住費は、平成17年10月より、在宅と施設の利用者負担の公平性の観点から、保険給付の対象外とし、居住環境の違いに応じ、個室は光熱水費および室料、多床室は光熱水費を負担することとされていました。

 

特別養護老人ホームは

 

平成27年度から、特別養護老人ホームについて、死亡退所も多いなど事実上の生活の場として選択されていることから、在宅で生活する者との負担の均衡を図るため、一定の所得を有する入所者から、居住費(室料)の負担を求めることとされています。

 

介護医療院は

 

平成30年度に、介護療養型医療施設の経過措置期限が令和5年度末まで延長されるとともに、介護医療院が創設されています。

居住費の取扱いは、介護老人保健施設、介護療養型医療施設と同じです。

 

介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院などの多床室室料について、給付の在り方を検討する必要があります。

 

検討する際の視点は次のとおりです

 

①在宅でサービスを受ける者との負担の公平性

②特別養護老人ホームの多床室については、死亡退所が多いなど事実上の生活の場として選択されていることを踏まえ室料負担を求めることとしています。

③介護老人保健施設、介護医療院、介護療養型医療施設は、医療を提供するという他の機能も有するといった施設機能の違いがあります

 

介護老人保健施設、介護医療院、介護療養型医療施設の多床室の室料を保険給付の対象外とすることについて

 

■見直しに慎重な立場の意見は次のとおりです

 

「介護老人保健施設や介護医療院は生活の場としての機能だけではなく医療サービスや在宅支援も提供する施設です。個室の設備は多床室とは異なっています。また、医療療養病床から介護医療院への移行推進にブレーキをかけることにもなります。」

 

「見直しにより、利用者の負担増となることを懸念します。負担能力を踏まえた議論が必要です。」

 

 

■一方で、見直しに積極的な立場の意見が次のとおりです。

 

「社会保険料の負担増により中小企業や現役世代の負担は限界に達しています。制度の持続可能性を確保するため、見直しを確実に実施すべきです。見直しを行わない場合には、その要因と対応策を検討するなど、見直しに向けた道筋を示すべきです。」

 

「施設の室料については個室も多床室も同様に扱うことが原則です。在宅と施設の公平性の観点からも、見直しを行うことが適当です。」

 

 

(出所:社会保障審議会・介護保険部会資料 19/12/27)

 

 

「2040年問題」とは

高齢世代の高齢化、団塊ジュニアの高齢化(65歳以上)という人口構造の変化により、日本の社会に新たな問題が生じることです。

しかし、それを「問題」ととらえるか、「変化」ととらえるかで、モチベーションに違いが生まれます。

後者の立場で、積極的な考え方をしていきたと考えています。

 

 

変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)

Never waste a good crisis!

春の1日を元気でお過ごしください。

 

2040年問題

① 介護保険制度地域支援事業の「生活支援サービス」へのニーズの増加

 介護サービスの利用者数は2040年度までに約1.5倍に増える見込です

③ 「ポスト2025年」2040年に向けて介護事業を考えるときの視点

④ 2040年に向けて介護事業を考えるときの視点「健康寿命の延伸」とは

 介護事業を考えるときの視点「医療・福祉サービスの改革」とは

⑥ 介護事業を考えるときの視点「健康寿命の延伸プラン」の内容とは

⑦ 生産性の向上を図るための「医療・福祉サービスの改革」の内容とは

 「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」マンパワーシミュレーション

 介護ロボット開発等加速化事業と税制優遇措置(税額控除と固定資産税の特例

⑩ 介護ロボットの導入による業務負担軽減と経営力向上計画の作成

⑪ 管理者要件」主任ケアマネジャー以外も継続可能です。経過措置を6年間延長

 2021年度介護報酬改定に向けた検討事項について

 2021年度「介護保険制度改正の全体像」(介護保険制度の見直し関する意見

 「一般介護予防事業の推進」~介護保険制度の見直し関する意見

⑮ 総合事業の効果的な推進 ~ 介護保険制度の見直し関する意見(介護保険部会

 求められるケアマネジメントとは何か

 保険者(市町村)機能の強化を図るためのPDCAプロセスの推進

 保険者(市町村)機能の強化【調整交付金】【データ利活用の推進】

 地域の実情に応じた地域包括ケアシステムの取り組みが必要

 地域包括ケアシステムの推進【医療・介護の連携

㉑ これからの介護保険事業計画における「認知症施策の総合的な推進

 「介護人材の確保と介護現場の革新」~介護保険制度の見直し関する意見

 被保険者範囲と受給者範囲の見直しの視点【介護保険制度の見直し関する意見】

㉔ 今後の補足給付の在り方についての検討【介護保険制度の見直し関する意見】

 

高齢化に伴う日本の社会的課題に対して、会計・税務専門職としての役割を果たしたいと考えております。

創業者には、事業を着実に成長させるために次のようなサービスを提供しています。

 

創業起業サポート 「創業者応援クラウド会計サービス」と「顧問相談クラウドサービス」

 

 

火曜日は、介護事業に関する記事を紹介しています。

ブログ記事は

http://www.y-itax.com/category/kaigo/

 

 

介護職員等特定処遇改善加算(2019年10月実施)

①  新たな介護職員処遇改善加算の「取得要件」と「加算率」

 3要件のうち「職場環境等要件」と「見える化要件」とは

 勤続10年以上の介護福祉士がいない「経験・技能のある介護職員」のルール

④ 勤続10年以上の介護福祉士がいない「経験・技能のある介護職員」のルール

 「特定加算」の仕組みと賃金改善の考え方の3つのポイント

 経験・技能のある介護職員」の賃金アップが不可能な場合

 特定処遇改善加算と処遇改善加算を合計した上乗せ率、最上位20%

 改善計画書作成2つのポイント。「特定加算の見込額」と「賃金改善の見込額」

 改善計画書の作成ポイント「各々のグループの平均賃金改善額を算出

⑩ 改善計画書の作成ポイント。3要件のうち「職場環境等要件」とは

 「見える化要件」とは

 実績報告書を提出する必要があります

 4月から“年5日の年次有給休暇取得の義務”をご存じですか

 2019年4月から「労働時間の状況の把握」が義務化されています

 「職場環境等要件」と介護プロフェッショナルキャリア段位制度

⑯ 特定加算(Ⅱ)の算定にあたっては介護福祉士の配置等要件は満たす必要はない

 既に賃金が年額440万円以上の者がいる場合

 配分ルールを決めるまでの6ステップ

⑲ 「特定加算」の算定単位、法人単位、事業所単位

 事業所内で働く介護職員がすべて「経験・技能のある介護職員」である場合

㉑ 介護だけではなく、看護や障害福祉サービスの業務を兼業している職員がいる場合

 

2025年に向けた介護人材の確保~介護人材確保の具体的な方策

 離職者の7割が入職後3年以内の者

② 新任介護人材の早期離職防止のための具体的な方策

③ なぜ、介護職は働き続けるためのキャリアパスの構築ができないのか

 介護職に必要なキャリアパスのキーワードは「多職種によるチームケアの推進」

 介護職のグループリーダーが担うべき役割と能力

 介護職のグループリーダー育成の考え方

 介護職のキャリアパスの考え方について

 介護人材のすそ野の拡大を図るための「入門的研修の実施

⑨ 介護の在留資格。外国人の在留資格「特定技能」(介護)の創設

⑩ 特定技能(介護)は技能実習生の重要な受け皿です

 特定技能(介護)制度における外国人保護の新たなルール

 

 

ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。

・月曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計

・火曜日は「介護事業」

・水曜日は「消費税」

・木曜日~日曜日はテーマをきめていません

 

 

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