資産税の記事を紹介します。

 

今回は

 

相続開始後、相当期間経過して遺産分割協議により配偶者居住権が設定された場合は、相続税評価額が変わります

 

を紹介します。

 

配偶者居住権とは(ざっくりと)

 

配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物を対象として,終身または一定期間,配偶者に建物の使用を認めることを内容とする法定の権利です。

遺産分割や被相続人の遺言により、配偶者に「配偶者居住権」を取得させることができます。

 

配偶者居住権の評価額の算式中、ある部分の計算の時点は被相続人の相続開始日ではなく配偶者居住権の設定日とされています。

 

相続開始後、相当期間経過した後に、遺産分割協議により配偶者居住権が設定された場合は、配偶者居住権が遺贈により設定された場合と比較して、配偶者居住権の評価額が変わる可能性があります。

 

配偶者居住権の価額は次の算式で計算します

 

 

土地の利用権( 配偶者居住権に基づく敷地利用権の価額)は次の算式で計算します

 

 

 

 

上の算式で、黄色マーカー部分が被相続人の相続開始日ではなく配偶者居住権の設定日として計算します。

 

 

たとえば配偶者居住権の価額の具体的計算例を示すと次のとおりです。

 

【A】2021年3月20日に相続開始。配偶者は遺言によって配偶者は配偶者居住権の遺贈されたケース

 

前提として次のようなケースで

■相続税評価額 建物:2,000万円

■建物建築日:2010年12月1日

■建物構造:木造

■建物所有者:被相続人(夫)

■相続開始日:2021年3月20日

■配偶者の年齢:80歳10月(相続開始日)

■建物相続人:長男

 

配偶者居住権の価額を計算すると次のようになります。

 

〔配偶者居住権の価額〕 

 

2,000万円-2,000万円×(33年-10年-12年)/(33年-10年)×0.701=13,294,783円

 

耐用年数:33年(22年×1.5)

経過年数:10年(2010年12月1日~2021年3月20日:10年3ヶ月)

存続年数:12年(第22回生命表に基づく平均余命11.71年)

複利現価率:法定利率3%による12年の複利現価率は0.701

耐用年数は減価償却資産の耐用年数等に関する省令に定める住宅用の耐用年数を1.5倍したものを用います。

 

【B】10年後の2031年3月20日に遺産分割協議により配偶者居住権が設定された場合

 

【A】と比べて算式のうち次の計算要素が変わります。

 

経過年数:20年(2010年12月1日~2031年3月20日:20年3ヶ月)

存続年数:5年(第22回生命表に基づく平均余命5.11年)

複利現価率:法定利率3%による5年の複利現価率は0.863

 

配偶者居住権の価額を計算すると次のようになります。

 

〔配偶者居住権の価額〕 

 

2,000万円-2,000万円×(33年-20年-5年)/(33年-20年)×0.863=9,378,462円

 

 

この例でいうと

配偶者居住権が遺贈により設定された場合【A】と比較して、遺産分割協議により配偶者居住権が設定された場合【B】は、配偶者居住権の評価額は低額になります。

 

配偶者居住権の関連記事は次のとおりです。

 

[9] 配偶者居住権の対象となる建物が共有の場合

[10]配偶者居住権の対象となる建物を、その後に配偶者が取得した場合

[11]事業を廃止し、店舗兼住宅を居住用のみとして建物を使用する場合の配偶者居住権の取扱い

[12]相続時における配偶者居住権の評価の特徴となるポイント

[13]「配偶者居住権の価額」配偶者居住権の評価の考え方

[14]配偶者居住権の価額の算式の考え方について

[15]配偶者居住権の目的となっている敷地利用権の価額と土地所有権の価額の評価

[16]築年数の古い建物に配偶者居住権を設定する際に注意したいこと。建物の時価が配偶者居住権の価額になります

[17]相続人である配偶者が若い場合に、配偶者居住権を設定する際に注意したいこと

[18]遺言により配偶者に配偶者居住権を取得させる場合、遺言書には「相続させる」ではなく「遺贈する」と記載する

 

 

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